校内散歩

2010年12月の記事一覧

校内散歩32 「桜の更新」

校内散歩32「桜の更新」 女流作家の幸田文の『木』という著書の中に、「北海道の自然林では、エゾ松は倒木のうえに育つ」と始まる、倒木更新の話がある。厳しい大自然の中で育つエゾ松は、老いれば倒木となり、その樹幹の上に若い命を育むというのだ。命の輪廻を描く、非常に印象的な名文である。
 本校の桜は現在86本。実直に働き通してきた老人の節くれ立った手のような、こぶだらけの幹が目立つ桜も多い。教室棟の前の8本の桜も年老いて、さらに倒れる危険さえ出てきたので、同窓会の援助を得て更新することとなった。もちろん町中では倒木に芽吹くのを待つことはできないので、新しい木を植えるのではあるが。
 工事をする朝には事務長さんがお酒をまいて、引退する桜たちにお礼の心を示してくださった。みんなに見送られて古い桜は若い桜に場所を譲る。若木もちゃんと同じく8本、植樹された。来春には、若い花をつけ始めるはずである。
 学校とは、こうして更新を繰り返す場なのだな、と改めて思う。

校内散歩31 「第二体育館」

校内散歩31「第二体育館」 12月2日は期末考査の最終日だった。清掃の終了を待ちかねたように生徒達が部活動の場に飛び出していき、校庭、第一体育館、そして第二体育館からも元気な声が響く。
 その日、校庭の周囲を見回っている時に、近隣の方に声をかけられた。
「しばらく静かだったけど、今日は元気な声がしますね」
「テストが終わって部活ができるから、生徒達も嬉しくてしょうがないんでしょう。ちょっと元気すぎますか?」
「いやいや。あの声に、こっちがいつも勇気づけられてるんですよ。部活動をやって頑張っている声はいいですよ」
 いつもながらありがたい言葉である。
  本校の第二体育館では、主にバレーボール部、卓球部、ダンス部が活動している。それぞれ県内でも強豪なので、平日も遅くまでライトがついているし、練習試合に訪れる学校も多く、土日も賑やかなことが多い。懸命に活動している生徒達を見守り、そして声を聞いて応援してくださる地域の皆様に、深く感謝申し上げます。
☆写真は、インターハイの試合映像を見ながら反省をする卓球部員たち☆