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校長室から

創立20周年記念式典式辞

山並みが色づき、菊花の香り漂う今日のよき日に、栃木県教育委員会委員 尾崎宗範 様、さくら市長 中村卓資 様をはじめ、御来賓の皆様の御臨席を賜り、栃木県立さくら清修高等学校創立20周年記念式典が挙行できますことは、大きな喜びであり、学校を代表して心から御礼申し上げます。これもひとえに、本校の歴史と伝統を築いてこられた歴代の校長先生をはじめ、教職員の皆様、そして、保護者、同窓会、地域の皆様の温かい御支援と御尽力の賜であり、関係の皆様に深く感謝の意を表したいと思います。

本校は、平成18年、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、総合学科の高校として開校しました。創立以来、「自主自立 進取創造 敬愛協働」を校訓に掲げ、生徒一人ひとりの興味・関心や進路希望に応じて、幅広い分野から科目を選択できる総合学科の特色を生かし、主体的な学習と進路の探究を重視した教育活動を展開して参りました。

生徒は希望の進路実現に向けて、学習活動や探究活動をはじめ、学校行事や部活動、生徒会活動、ボランティア活動などに積極的に取り組んでいます。

さて、この10年を振り返ってみますと、部活動においては、平成29年のサッカー部関東大会ベスト4、令和元年の陸上競技部110mハードル全国大会3位をはじめとし、多くの輝かしい成績を収めてきました。今年度も陸上競技部が関東・全国大会に、弓道部が関東大会に出場するなど、活発に部活動が行われております。また、文化部では、美術部がこの4年間で3回のマンガ甲子園に出場を果たし、併せて今年度は全国高等学校総合文化祭に作品を出品するなど、着実に実績を重ねております。

ボランティア活動については、平成28年に、本校生の永年にわたる多様なボランティア活動が、さくら市の街づくりに貢献し、その活動する姿が市民に元気と感銘を与えたとして、さくら市から感謝状をいただきました。その後も伝統は受け継がれており、現在も、さくら市内の様々な行事に多くの生徒がボランティアとして参加し、人間的な成長の糧となっています。

地域や大学との連携においては、平成29年に国際医療福祉大学と高大連携協力の覚書を締結し、翌30年にはさくら市と包括連携協定を結ぶなど、相互の連携を強化し、特色ある活動を展開してきました。今年度は新たに学校運営協議会を設置し、小中学校や大学、保護者、地域の方から幅広く意見をいただく機会を設け、本校のさらなる魅力化・特色化に向けて取り組んでいるところです。

これらの成果は、生徒・教職員のたゆまぬ努力、関係各位の御支援の賜でありますが、開校以来の安定した歩みは、氏家高等学校と喜連川高等学校の歴史と伝統の上に成り立っていることを忘れてはなりません。ここに、両校の沿革を紹介したいと思います。

氏家高等学校は、今から101年前の1924年、大正13年に栃木県立氏家高等女学校として開校しました。その後、男女共学化を経て、昭和26年には栃木県立氏家高等学校となり、平成6年には全国初の総合学科を設置し、平成20年3月に閉校となりました。卒業生は22,283名を数えています。

喜連川高等学校は、今から79年前、戦後間もない1946年、昭和21年に栃木県立喜連川農学校として開校しました。昭和26年には栃木県立喜連川高等学校と改称され、その後、時代の要請に応えながら歩みを進めてきましたが、平成20年3月に閉校となりました。卒業生は9,784名を数えています。

このような歴史と伝統を持つ二校が統合され、新しくさくら清修高等学校が誕生して20年目を迎えました。平成21年3月に1期生を送り出して以降、卒業生は3,955名となり、氏家高等学校、喜連川高等学校の卒業生を合わせると卒業生総数は36,022名に達し、同窓生は、県内外の各分野において活躍しています。

在校生の皆さん。皆さんは、さくら清修高等学校の新たな歴史を築く担い手です。これまでの先輩方が築いてきた歴史と伝統を胸に刻み、挑戦する気持ちを忘れず、高い目標をもって頑張ってください。大切なのは、今目の前にあることに真摯に向き合い、集中し、精一杯努力することです。小さなことの積み重ねが大きな結果を生み出します。校歌の歌詞にある「友よ たくましく歩み出そう」、「友よ 未来への道を拓こう」の言葉のとおり、仲間とともに切磋琢磨し、将来、社会で活躍できる有為な人材となることを期待しています。

私たち教職員も、次の10年に向けて、これからも家庭や地域とのつながりを大切にし、生徒一人ひとりが未来を切り拓く力を育む場として、さらなる発展を目指してまいります。

結びに、本日ご臨席賜りました皆様に改めて感謝申し上げますとともに、今後とも本校の教育活動に対し、変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

令和7年11月13日

栃木県立さくら清修高等学校長 

   小 林 克 明

鉛筆 2学期始業式式辞

 皆さん、おはようございます。36日間の夏休みがおわり2学期が始まりました。

 今年の夏は例年以上に暑さが厳しく、記録的な猛暑が続きました。7月には北海道の北見市で39.0℃、8月5日には群馬県の伊勢崎市で過去最高となる41.8℃を記録するなど、全国的に本当に暑い夏でした。そんな中、勉強や部活動、さまざまなボランティア活動など、本当にご苦労様でした。学校が始まりますので、生活のリズムを整えて新たな気持ちで頑張っていきましょう。この暑さはまだ続きそうですので、明日からの桜花祭でも、各自熱中症予防に心がけてください。

 まずは、昨日の新聞で気になったニュースを二つ話します。

 一つ目は、「ゲーム依存」の話です。新聞記事によると、ゲーム依存の疑いがあると判定された県内高校生の割合は、17.3%。5、6人に1人の計算ですから、もしかすると本校にもいるのかもしれませんが、長時間のゲームは心身への悪影響を及ぼします。他県ではスマホの使用を2時間までとする条例ができたところもあるようですが、ゲーム依存症にならないように、自制しながら使うようにしてください。

 もう一つは、クマ出没のニュースです。クマの目撃情報が全国各地で相次いでいますが、さくら市でも目撃情報があったと報道がありました。8月26日午前3時頃、早乙女地内で、体長約1メートルのクマ1頭が目撃されたとのことです。通学で近くを通っている人は、十分注意してください。また、万が一クマを目撃した時には絶対に近づかず、すぐに警察に連絡するようにしてください。

 それでは、今日のメインの話、井村屋グループの代表取締役会長さんの講演を聞く機会がありましたので、そのことを少し話したいと思います。皆さんは井村屋という会社を知っていますか。あずきバー、肉まん・あんまんなどがあり、主力商品のあずきバーは年間3億本も売れているそうです。会長の中島伸子さんは、アルバイトから初の女性社長、そして会長へと抜擢された異色の経歴を持つ方で、これまでの壮絶な人生について話を聞いてきました。

 1972年、中島さんは19歳のときに、福井県で起きた列車火災事故に巻き込まれました。700人以上の死傷者が出た大きな事故ですが、中島さんはその生存者の一人です。列車火災の中で、向かい側に座っていた3人の子どもを連れた母親から「この子だけでも逃して」と託され、5歳の子を連れて逃げようとしましたが、自分自身も煙に巻かれて意識を失い、母子4人とも亡くなったことを後に知らされます。中島さんは火災の影響で喉を傷め、声が出なくなり、それまで教員になる夢をもっていましたが、諦めざるを得なくなりました。そんな絶望の中、父親から手紙が届きました。そこには「『辛』という字に一本足せば『幸』になる。君だけの“プラス1”を探しなさい」と書かれており、それが彼女の人生の支えとなったそうです。

 その後、結婚して、福井営業所で経理事務のアルバイトとして井村屋に入社。アルバイトながら、お客様の声を改善提案として提出したり、自分が作った標語が会社に採用されたりしました。正社員になることを勧められても、声が出るようになったら教員になりたいという思いがまだあったので、断っていたそうですが、次第に誠実な社風に惹かれていき、正社員となることを決意します。正社員になってからも大変なことがたくさんあり、当時は女性ではまだあまりいなかったトラック運転手をしたり、営業職をしていたときには「女のセールスマンなんて」と言われ、まともに取り合ってもらえないこともあったと話していました。それでも負けずに、謙虚さと粘り強さで信頼を築き、支店長になり、副社長、そして社長に就任。70歳を超えた現在も代表取締役会長として活躍し、女性の待遇改善に取り組んでいるとのことでした。

 印象的だった言葉に「自分の人生のハンドルは自分しか握れない」というものがあります。これは、困難な状況に直面した時でも、自らの意思と行動で道を切り拓いていくことが大切だという意味です。さらに、「人生において大きな壁にぶつかったときには、その壁に扉の絵を描き、その扉の鍵は自分自身が持っている、自分の心の中から鍵を引き出して、扉を開けていく力強さがあれば、どんな困難にも立ち向かえる」とも語っていました。

 90分の話のほんの一部だけなので伝わったかどうか分かりませんが、端から見ると、順風満帆に見えても、知らないところでいろんな辛い思いや苦労をされていて、それを乗り越えて今があるんだなと感じた講演でした。

 皆さんも、思わぬことが起きたり、進路のことや人間関係などで悩んだりすることがあると思いますが、悩むというのは一生懸命考えているということだと思うので、決して悪いことではありません。「自分の人生のハンドルは自分しか握れない」という中島さんの言葉どおり、自分で進む道を決め道を切り拓いていく、そんな強い力を身につけてほしいと思い、紹介させていただきました。

 さて、長い2学期が始まります。

 一人一人がさくら清修高校生としても自覚と誇りを持って、充実した学校生活を送ることを期待して式辞といたします。

 まずは、桜花祭頑張っていきましょう。

鉛筆 1学期終業式式辞

皆さん、こんにちは。

今年は6月からずっと暑い日が続いて大変だったと思いますが、本日で1学期も終了です。先ほど、壮行会、賞状伝達式を行いましたが、生徒の皆さん全員が、様々な場面で自分の力を発揮してくれたのではないかと思っています。

 

さて、始業式では二つのことを話しました。

一つは、誰かに引っ張られるのではなく、自分で主体的に考えて行動する、グライダーではなくて飛行機になろうという話。もう一つは、毎日小さな目標を立てて、それをクリアしながら、大きな目標に向かって頑張っていこうという話です。

勉強や部活、生徒会、ボランティア活動など、一人一人取り組んできたことは違うと思いますが、ぜひ、1学期の自分の良かった点、悪かった点をしっかり振り返ってから、気持ちを新たに、夏休みをスタートさせてもらいたいと思います。

 

私も一学期を振り返ると、勉強や部活動、学校行事など、皆さんの頑張っている姿をいろんなところで見ることができました。特に部活動の大会では、全ての大会を見に行くことができませんでしたが、一生懸命プレーする姿を見せてもらいました。勝った試合だけではなく、僅差で敗れた惜しい試合や力の違いを見せつけられた試合もありましたが、どの試合でも最後まであきらめずに頑張っていたと思います。納得のいく結果を出せず、悔しい思いをした人もいると思いますが、そういう人は、その悔しさをエネルギーに変えて次の目標に向かって進んでほしいと思います。負けた時こそ学ぶことは多いと思うので、1、2年生はお世話になった3年生を越えることが恩返しですから、ぜひ悔しさをバネに頑張ってください。期待しています。部活を引退した3年生は本当にご苦労様でした。切り替えが大切ですので、次は進路に向かって頑張っていきましょう。

 

また、頑張っている人が大勢いる一方で、残念だったのが、生徒指導を受ける生徒が何人か出てしまったことです。うっかり、あるいは軽い気持ちでやってしまったことが、自分自身の信頼を損なうだけでなく、学校や生徒全体の信頼や品位を失うことにつながります。今年は本校創立20周年です。皆さんの先輩方が築いてきたさくら清修高校の歴史と伝統にさらに磨きをかけてほしいと思います。何かしようとするときには一旦立ち止まって、自分の行動が周囲にどんな影響を与えるのか、よく考えてから行動してください。皆で素晴らしいさくら清修にしていきましょう。

 

さて、振り返りが長くなりましたが、夏休みに向けて3つのことを話します。

皆さんは夏休みが何日あるかすぐ答えられますか? 答えは36日、一年のおよそ10分の一です。その36日間を無駄に過ごさないために、きちんと計画を立てるようにしましょう。1週間毎の計画、そして一日毎の計画などを手帳にまとめていくといいと思います。ポイントは、「見える化」することです。見える化することで、頭で考えていたよりもずっと、やるべきことや課題がはっきりと見えてきます。何か大きなことを成し遂げようとするときに、具体的な計画も立てずに、行き当たりばったりというのはないと思います。ぜひ目標達成に向けて、しっかりと計画を立てて、そして計画通りに進んでいるか毎日確認しながら進めてほしいと思います。計画を手帳で管理していくというのは、大人になってからも役に立ちますので、今から習慣にしてほしいと思います。

 

二つ目。皆さんは「1.01と0.99の法則」というのを聞いたことがあるでしょうか。1を基準として、毎日0.01、つまり1%だけ余分に、1.01の努力する、それを365日続けるとどうなるか。1.01の365乗です。すると驚いたことに、37.78でおよそ38倍になるそうです。逆に1%サボって0.99だと、1年経った後には、1.01の場合とものすごく大きな差がついてしまう。実際に計算してみてください。これは、毎日のちょっとした頑張りが大きな差を生むことを数字で示したものですが、夏休みは、勉強でも部活でも何でもいいので、自分のやりたいことに1%でも多く努力してほしいと思っています。もうやめようかなと思ったときに、もうちょっとだけ努力してみてください。きっと夏休みが終わった頃には自分でも成長を実感できると思います。これが伝えたい2つ目です。

 

最後3つ目ですが、夏休みに読んでほしい本の紹介です。私は専門が国語なので、ぜひ皆さんに図書館を活用してもらいたい、本を読んでもらいたいと思っています。図書館にはどんどん新しい本を入れてもらっているのですが、近年貸し出し数があまり芳しくないという話も聞いています。ぜひ、夏休みにはスマホを手放す時間を作って、読書をしてほしいと思います。静かな場所で本の世界に没頭し、自分自身と向き合う時間を作ってください。読書をすることで、新しい何かを手に入れることができるはずです。

この夏私が勧める本は、恩田陸さんの『夜のピクニック』(新潮文庫)です。主人公は、高校生で、高校の伝統行事である「歩行祭」を舞台として展開される青春小説です。ちょっと前に書かれた本で最新刊ではないですが、楽しく読めるのではないかと思います。

 

3つ話しました。繰り返すと、

①夏休みの予定を見える化する。

②毎日プラスで少しだけ努力してみる。

③スマホを手放して読書の時間を作る。

 

以上、3点です。高校生の夏休みというのは、過ごし方次第で最も成長できる時間だと思うので、だらだら過ごしてしまうのはもったいないです。ぜひ皆さんの夏休みが充実したものとなるよう期待しています。もし、夏休み中に何か起きて、先生に相談したいことが出てきたら遠慮なく連絡してください。いつでも話を聞きます。

それでは、健康に気をつけて夏休みを過ごしてください。また2学期の始業式でお会いしましょう。以上で式辞といたします。

1学期始業式式辞

 新入生240名を迎え、全学年そろって新学期が始まります。

 一人一人の思いも異なるとは思いますが、皆さんが胸に秘めている今の思いや決意をずっと持ち続けて、一日一日を大切に過ごしてください。

 では、1学期のスタートに当たり、3点お話しします。

 1点目。「飛行機人間」と「グライダー人間」の話をしたいと思います。これは、大学教授で英文学者、評論家でもある外山滋比古さんという方が使った言葉です。外山さんの書いた文章は、国語の教科書に載っていたり、あるいは大学入試などに出題されたりしますので、聞いたことある方もいるかと思います。外山さんは数年前になくなられましたが、九〇歳を過ぎても現役で執筆活動を続けていました。最もベストセラーとなったのが『思考の整理学』という本で、「飛行機人間」「グライダー人間」という言葉はそこで使われているものです。

 飛行機とグライダーは、空を飛ぶのも同じで、遠くから見るとよく似ている訳ですが、大きな違いは、グライダーは誰かに引っ張られないと自力で飛ぶことができないが、飛行機は誰かの力を借りずとも自分で飛び立てるという点です。外山さんは、「誰かに引っ張られて飛ぶグライダー型ではなく、自分の頭で考え、自力で飛び回る飛行機型人間こそ必要」と述べています。誰もが最初はグライダーだと思いますが、いずれは飛行機のように自分で飛ぶ力を身につけなければなりません。今社会で求められているのは、まさしく飛行機型の力です。

 ではどうすればそういう力が身に付くのか、それは何事も受け身ではなく、自分で考えて主体的に行動することです。一例を挙げると、皆さんは、普段の生活の中で、「先生、どうすればいいですか」とか「次は何をやればいいですか」と言ったりすると思います。それを是非変えてください。数学の質問にいくときには、「解き方がわからないので教えてください」ではなく、「こういうふうにやってみたんですけど、ここから先がわかりませんでした。でも考え方は合っていますか」とか、部活なら「今日の練習メニューはなんですか」ではなく、「今日はこういう練習をしたいんですけど、どうですか」というように、全部教えてもらおうとするのではなく、まずは考えた結果を伝えて、その後アドバイスをもらうということを繰り返していけば、飛行機型の力が身につくのではないかと思います。ぜひ、グライダーから飛行機になることを意識して、一学期を過ごしてほしいと思います。

  次に2点目。2、3年生には、4日の登校日の日に、「目標を持って努力してほしい」という話をしましたが、今日は、元大リーガーで日本人初の野球殿堂入りを果たしたイチロー選手の言葉を紹介したいと思います。イチロー選手は、日本のプロ野球から大リーグに渡って、主にシアトルマリナーズというチームで活躍しましたが、日米通算4367安打という前人未踏の記録を始め、数々の記録を打ち立てました。彼の目標設定に関する言葉です。

 「目標は高く持たないといけないんですけど、あまり高すぎると挫折してしまう。だから小さくとも自分で設定した目標を一つずつクリアして満足する。それを積み重ねていけば、いつかは夢のような境地にたどり着く」。このような言葉を残しています。

 今の自分とかけ離れた目標ではなく、努力すれば手の届く目標を立てることの大切さやそれをクリアすることで得られる達成感や満足感が、次への意欲につながっていくということを言っています。皆さんも大きな最終目標だけでなく、今日はこれをやろうとか、ここまでやろうとか、毎日小さな目標を立てて、達成感を味わいながら毎日を充実したものにしてほしいと思います。

  3点目は、皆さんに期待することを学年ごとに話していきたいと思います。

 まず3年生。3年生は、いよいよ勉強も部活も集大成となる最終学年です。部活動をやっている人は、多くの部で最後の大会が迫っています。結果も大事かも知れませんが、どれだけ一生懸命取り組んできたかの方がもっと大切だと思いますので、悔いを残さないように最後までやり切ってください。限られた時間の中で部活も勉強もやらなければならないわけですから、時間を大切にして、スキマ時間を有効に活用するなど、工夫しながら頑張ってほしいと思います。集中力とメリハリ、そして切り替えを大切にしてください。

 次に2年生。2年生はターニングポイントになる学年です。1年が終わって、勉強でも部活でもなんとなく自分の立ち位置というか、自分の力はこのくらいなのかな、と思い始めている人もいるかもしれません。でも「自分で自分の限界を決めずに」頑張ってほしいと思います。ここで目標を持ってもうひと頑張りできるか、なんとなく日々の生活に流されて惰性で過ごしてしまうか、そこは自分次第です。勉強しても伸びない時期とか、部活で頑張っているのにうまくならない時期というのは、誰にでも必ずあります。その時にどれだけ粘れるか、我慢して続けられるかが大切です。その辛い時期を乗り越えられれば、また力がついてきます。頑張ってください。また、2年生には、あらゆる面で1年生の見本となってくれるよう期待しています。

 最後に1年生。1年生には、入学式で「自分の頭で考えて、自分で判断してほしい」ということ、「自分も他人も大切にしてほしい」という二つの話をしました。これまでとは環境が変わるので、まずは新しい慣れること、そして学校生活に慣れてきたらやりたいことにどんどんチャレンジしてほしいと思います。大切なのは、考えているだけではなくて、行動することです。行動すれば、次にやるべきことが見えてきます。今日はこの後部活動紹介もありますので、いろいろ見たり聞いたりしながら興味を持った部活に入ってほしいと思います。失敗を恐れずチャレンジし、自分の世界を広げてくれることを期待しています。

  いくつか話をしましたが、1学期を過ごす上では、行き詰まって悩んだり、迷ったりすることもあると思います。そういうときには、一人で悩まずに、是非友達や先生に相談してください。

 それでは、まずは皆さんが元気であること、そして、一学期が充実した日々となることを期待して、式辞といたします。

入学式式辞

 寒暖を繰り返しながら、待ちわびた春がようやくやってきました。桜咲き誇る今日のよき日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 大野 光臣様をはじめ、御来賓の御臨席を賜り、保護者の皆様の御列席のもと、令和七年度栃木県立さくら清修高等学校第二〇回入学式を挙行できますことは、本校教職員にとりましても大きな喜びであり、学校を代表して心から御礼申し上げます。

 ただ今入学を許可した二四〇名の新入生の皆さん、本校への入学、まことにおめでとうございます。

 さて、本日、晴れて皆さんが入学した本校は、氏家高等学校と喜連川高等学校の長い歴史と伝統を受け継ぎ、各自の興味や関心、進路に応じた幅広い科目選択と主体的な学習が特徴である総合学科の高等学校として、平成十八年に開校しました。「自主自立」「進取創造」「敬愛協働」の校訓を掲げ、生徒たちは学業のみならず、特別活動にも熱心に取り組み、成果を上げている活気溢れる学校です。今年は創立二〇周年の節目を迎える年であり、尚一層の飛躍する時期にさしかかっています。

 これから新しい歴史を築いていく新入生の皆さんに、この三年間で大きく成長することを期待して、二つのことを話したいと思います。

  一つ目は、「自分の頭で考えて、自分で判断する」ということです。他人から言われてやるのではなく、自分の意思で、自ら進んで行動するということです。現代社会は、様々な情報にあふれ、人々の価値観は多様化し、変化の激しい予測困難な時代となっています。そのような社会を生き抜くには、「自分で考え、判断し、主体的に行動すること」が必要となります。単に受験に合格できる力ではなく、その先に待ち受けている社会で自立して生きていくために必要な「生きる力」を、是非身につけてほしいと思います。しかし、このような力は一朝一夕で身につくものではありません。高校生活三年間はあっという間に過ぎていきます。日々の授業はもちろんのこと、ぜひ、学級活動、生徒会活動、部活動、そして学校行事に、主体的に、一生懸命に取り組み、逞しく生きる力を身につけてください。

  二つ目は、「人を大切にする」ということです。これは、「自分も他人も大切にする」ということです。今ここにいる皆さんは一人一人、本当に「かけがえのない」存在です。「かけがえのない」とは、「代わりがきかない、たった一つの大切なもの」ということです。皆さんは、これから始まる高校生活でたくさんの人に出会い、様々な経験をしていくことになります。そのふれあいの中で、ともに学び、ともに喜び、励まし合える「真の友人」「かけがえのない友人」をつくってください。高校時代の切磋琢磨の中から生まれる友人は、一生にわたって皆さんの力となってくれるはずです。人を大切にし、優れた仲間と互いに切磋琢磨し、他人の痛みがわかる人間、心豊かで活力ある人間に成長していってください。

 最後になりましたが、保護者の皆様方、お子様の御入学を心よりお祝いを申し上げます。小学校入学以来の長い年月に渡り、お子様の学校生活を支えてこられました保護者の皆様の思いもひとしおであろうと、心からお慶び申し上げます。

 私ども教職員は、お預かりしたお子様一人ひとりの持てる力を十分引き出し、自己実現が図れるよう精一杯努力して参る所存です。保護者の皆様には、ぜひ本校の教育方針、教育内容等についてご理解いただき、ご協力・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 結びに、新入生の皆さんが本日の入学式の感激を忘れず、努力を重ね、貴重な三年間の高校生活を有意義な実り多いものとなるよう改めてお願いし、式辞といたします。

  

鉛筆 ご挨拶

こんにちは。私はこの4月から校長として赴任しました小林と申します。

さくら清修高校ホームページをご覧いただきありがとうございます。

本校は、「喜連川高校」と全国初の総合学科設置校「氏家高校」の長い歴史と伝統を受け継ぎ、総合学科の高校として平成18年に開校しました。「自主自立・進取創造・敬愛協働」を校訓として日々の教育活動を展開しており、今年度創立20周年の節目を迎えます。

本校の特色は、なんと言っても、一人一人の進路実現や興味・関心に応じた選択ができるよう多様な科目講座を開設し、自分だけの時間割を組むことができるところです。授業は少人数で行われることも多く、きめ細やかな授業が展開され、体験学習や外部講師による専門的な授業も実施しています。

学校行事も多く、大いに盛り上がる桜花祭、全力で競い合う球技大会、体育祭といった大きな行事を毎年実施しており、充実した学校生活につながっています。また、部活動も充実しており、全国大会や関東大会に出場している部活動もあります。

卒業後の進路は、国立大学、私立大学、短期大学、専門学校、公務員、民間企業と幅広く、充実した進路指導体制のもとで、多様な進路実現を図っています。

いかがでしょうか。多岐にわたる選択科目、自分だけの時間割、様々な学校行事、それに加えて、情熱あふれる個性豊かな先生たちがたくさんいます。本校は、誰でもやる気さえあれば、それに応えられる環境が整っている学校です。

教員と生徒が本気で向かい合いながら授業や部活、学校行事に一生懸命取り組んでいる姿をぜひご覧ください。

ここでは概要のみ記しましたが、興味を持っていただけた方は、様々なページに入っていただき、さらに深く本校を知っていただければ幸いです。ホームページを見てくださる方々のご期待に添えられますよう、より充実した内容にしていきたいと思います。

教職員一同、本校で学ぶ生徒たちが充実した高校生活を送れるよう尽力して参りますので、今後とも「さくら清修高校」をどうぞよろしくお願いします。

栃木県立さくら清修高等学校長
小林 克明

学校 令和6年度修業式式辞

早いもので、本日、令和6年度修業式になりました。1・2学期の終業式は、学期が終わる節目の日ですが、年度末は、業を修める式です。皆さんの生業は学業ですから、1年間の学業を修め終える節目が、本日の修業式であると言えます。

先程は皆さんを、卒業した先輩方は卒業式予行の日に実施した表彰伝達式で称えたことでもわかるとおり、部活動、検定試験、模範篤行、皆勤など、本校には多方面にわたり努力し素晴らしい成果を修めている生徒たちが本当に多く、校長としても誇らしい皆さんですが、個人個人を振り返ると不足している点や改善すべき点が見つかるなど、まだまだ伸びしろのある皆さんでもあると思います。修業式を機に、各自、反省してみましょう

今年度は生徒会の要望を受け、男子の頭髪規定について若干の変更を加えたり、先生方が皆さんの健康を考え休業日の部活動における登下校時の服装規定を見直しました。次年度の入学生は、始業・終業時間は同じですが、皆さんと比べて正規の授業時間数が1週間当たり2時間少なくなりますし、例年、年明け早々に実施していた野外活動(スキー、スノーボード)は廃止になります。時代や実態に即した変更があるのは、当然のことですね。

数年経ちましたが、18歳成人という大きな法改正があり、来年度からは高等学校の授業料無償化が始まる予定です。今現在、日本はここ数年では例を見ない税制改革が行われようとしているなど、皆さんの生活に直接関わることだけでも大きな社会制度・構造の変化が起きています。ですから、皆さんにはコロナ禍の対応と同じように様々な出来事に対し柔軟に、そしてそこには何らかの意図があるのではないかと深く考えながら過ごして欲しい思います。目の前の愉しみ事ばかりに時間を費やすのではなく、将来、社会で活躍できるよう、その土台づくりをしているのだと意識しながら高校生活を過ごしてください。

そうすると、挨拶や身なりを整えることの大切さ、勉強の面白味さや意義、自身の目標などが自ずと見えてきます。来年度、創立20周年を迎える本校の二十歳の誕生日を祝うために皆さんが主体になって来賓をもてなし、記念芸術鑑賞会を楽しみ、そして先輩方に感謝しながら21年目の歴史をつくる主役としての自覚や責任をもつよう、期待して止みません。今が正にその準備期間です。

間もなく見頃を迎える「桜の花」が美しいのは、寒い冬をじっと耐え、春の来るべき時に一気に開花するからです。中には寒桜とも呼ばれ、冬の寒い時期に開花することで知られる「河津桜」や「土肥桜」などもありますが、これらは人に例えるならば、一握りの特別な才能がある人か、或いは努力が結実した人と言えるのではないでしょうか。ひょっとすると、冒頭話した表彰伝達式で称えられた人たちのことかも知れません。

2年次生は、進路実現のためにもう1日たりとも無駄にできませんね。夏休み後、部活の引退をしてからとか、桜花祭や秋の体育祭後に頑張ればいいのだなどと努力を先送りにしていては、それだけの結果しか得られないのは明らかです。後輩の面倒を見ながら自分を磨く日々は辛く厳しいと感じる時もあるかも知れませんが、楽をしたい自分に打ち克ち、じっと絶えた暁には、夢の実現という素晴らしい結果が待っています。桜の花と同じです。今から3年次生、最上級生としての自覚と覚悟を期待します。

1年次生には、先月、「さくらレポート」で素晴らしい発表をしたことからも、本校で確実に成長した姿を垣間見ることができました。ご指導くださった「さくら市」の方からも、高校1年生ともなると、随分、研究内容に厚みが出るもんだとのお褒めのことばをいただいています。2年次生というポジションは、上級生と下級生に挟まれた中間年次生ですから、学校の中心であると考えてください。良い先輩を手本に、自分が歩んできた1年間よりも本校生として素晴らしい高校生になれるよう、後輩を導いてください。上にも下にも自分を省みる人たちがいるということは、本当に幸せなこと、全日制の学校に通うメリットだと思います。頑張ってください。

『生徒会誌』や『さくら清修高校新聞』に記したように、「夢は見るものではなく、叶えるもの」です。とは言っても、そう簡単に物事は進まず思い悩むのが人間、特に青春期の皆さんです。人は予期せぬことに出会うとネガティブな思考に陥る傾向がありますが、そんな時には「雨過天晴」ということばを思い出してください。降り止まない雨はありません。雨の後には、空高く大きな虹が架かる晴天が広がる様子を思い描き、ポジティブな思考に変えてください。同時に、事ある度に伝えてきた「自他ともに大切にする」ことも忘れずにいてほしいと思います。

自然界の「さくら」もすぐに満開になります。卒業式の式辞でも述べたように、前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には新たなクラス、環境にも慣れ活気に満ちながらも落ち着いた学校生活を送っている皆さんの姿を見るのが、今から楽しみです。一人一人が卒業生が残した実績を上回り、「さくら清修高校」の佳き伝統の継承者となるべく、また、4月に迎える新入生の先輩としての自覚を持ち様々なことへの準備期間である春休みを有意義に過ごすよう期待し、式辞とします。

令和6年度卒業式式辞

厳しかった冬の寒さも和らぎ、柔らかな春の息吹が感じられるこの佳き日に、同窓会会長 和氣 久一様、PTA会長 大野 光臣様をはじめとするご来賓のご臨席を賜り、保護者等の皆様のご列席のもと、栃木県立さくら清修高等学校令和6年度卒業式をこのように盛大に挙行できますこと誠に喜ばしく、教職員を代表して厚く御礼申し上げます。

ただ今、卒業証書を授与した222名の卒業生の皆さん、栄えある卒業、おめでとうございます。保護者等の皆様におかれましては、お子様の逞しく成長した姿に感慨ひとしおのものがあるかと存じます。この3年間、本校の教育活動に対し、深いご理解とご支援をいただきました。お子様のご卒業にあたり、心より御礼と御祝いを申し上げます。

卒業生は「自主自立」、「進取創造」、「敬愛協働」の校訓のもと、学業に勤しみ高等学校の全課程を修了しました。本校は個の興味や関心、進路に応じた幅広い科目選択ができる総合学科であることに加え、活発な生徒会、部活動、ボランティアの諸活動及び学校行事が、大きな魅力と特色であることを体感してきました。

クラスや部活動の仲間と知恵を出し合い、企画・運営や発表を行った「桜花祭」や「芸術合同発表会」のような文化的行事、クラスが団結してプレーした「球技大会」や縦割りのチーム編制で挑んだ「体育祭」の体育的行事は、共に大いに盛り上がりましたね。いずれの場面でも一人一人が主役として輝いており、これからも佳き思い出として脳裏に刻まれていくことでしょう。皆さんが築いた伝統は、必ずや在校生がさらに磨きをかけて紡いでいきますので、見守っていてください。

後輩たちに生徒会役員等の座を譲り、部活動を引退してからは、進路実現という目標に向かって努力を惜しまず過ごしていましたが、最上級生として何事にも率先して取り組み、後輩たちに範を示す姿が窺えました。何より、友人と切磋琢磨し絆を強固にするなど、青春を謳歌し充実した日々を過ごしたことと思います。こうして本校の歴史に輝かしい1ページを加えた第17期生として、本日、晴れの日を迎えている皆さんを大変誇らしく思います。

皆さんを待ち受けている社会は、少子高齢化や高度情報化が加速度を増し、既存の考え方や仕組みが著しく変貌を遂げようとしています。そうした物事が複雑化し予測困難な時代を生き抜くためには、多様な価値観を受容し柔軟に振る舞う対応力、新たなものを創造しようと思考し行動する実践力、そして、他を敬うなどの優れた人格を備えた人間力が重要であると考えます。皆さんは、地域の方々のご支援や保護者等の皆様の愛情と庇護のもと、3年間の高校生活をとおして、社会を立派に生き抜く素地を培ってきました。卒業後、進む道は人それぞれですが、未来を切り開いていけると確信しています。

ここで、夏目漱石も影響を受けたとされる19世紀に活躍したアメリカの哲学者で心理学者でもある「ウイリアム・ジェームズ」のことばを紹介します。「できるかどうか分からないような試みを成功させるただひとつのものは、まずそれができる、と信じることである。」日々、目標に向かって一生懸命努力した皆さんですから、夢は叶います。自分と周りにいる仲間を信じて頑張ってください。きっとできます。

「さくらの花」が間もなく満開になります。前庭の「御衣黄」が萌黄色の花を咲かせる頃には、新天地での生活にも慣れ、活気に満ちながらも落ち着いた生活を送っていることでしょう。来年度、創立20周年を迎える本校には、いつでも皆さんを応援している教職員がいます。時には母校に足を運び、近況報告をしてくれるよう望みます。卒業生の皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈り、式辞といたします。

第3学期始業式 式辞

おはようございます。松の内は過ぎてしまいましたが、年が変わりましたので、年頭の挨拶をします。皆さん、明けましておめでとうございます。年末を穏やかに過ごし、希望に満ちた新年を迎えることはできたでしょうか。第2学期の終業式に続き、防寒及び感染症対策のため、リモートでの配信としています。

さて、今年は十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」を組み合わせた「乙巳(きのとみ)」が干支になります。「乙(きのと)」は、植物が育ちきった状態を表す言葉で、これまでの努力が実を結び始める時期を表しているそうです。「巳(み)」は知ってのとおり、古くから豊穣や金運を司る神として崇められている蛇のことですが、脱皮する度に体表の傷が癒え大きくなるため、逞しい生命力があることでも知られています。

ですから「乙巳(きのとみ)」の今年は、努力に応じて成長が見込め、知識や技術・技能の獲得が実感でき、さらには過去の失敗や挫折を新たな出発に変えられる年であると言えます。ここで、幕末の志士「坂本龍馬」が遺した言葉を紹介します。「俺は、昨日の俺ならず」という非常にシンプルなものですが、彼らしい強い決意が伝わってくるとは思いませんか。皆さんにも竜馬の如く未来を志向し、日々成長することを期待します。

話題を転じますが、2学期の終業式では、オリンピックに触れながら日本漢字能力検定協会が選定した2025年の漢字、「金(きん)」について話したのを覚えていますか。本日は巳年の金運にあやかり、「金(かね)」に関した話をします。新1万円札の肖像画にもなった「渋沢栄一」は、「近代日本経済の父」とか「日本資本主義の父」と呼ばれています。NHK「大河ドラマ」の主人公にもなったことから、生誕の地である埼玉県深谷市は、大変な賑わいがあるようです。

彼は明治維新後、当時の大蔵省に入省、実業家になってからは、日本初の銀行「第一国立銀行」や現在の「東京証券取引所」や「東京商工会議所」などの団体、「帝国ホテル」や「日本郵船」などに繋がる数多くの企業の設立に携わりました。企業の目的が利潤の追求であってもその根底には道徳が必要で、公益(公共の利益)を第一に考えるべきだという「道徳経済合一説」をその著『論語と算盤』で説いています。儲けのみを求めるのではなく、世のため人のために働いて儲けることにより、国が豊かになると考え実践しました。これは、近江国(現在の滋賀県)の商人、所謂「近江商人」の「三方よし」の経営理念と同じですね。

もう少し彼の功績を伝えますが、現在の一橋大学、日本女子大学、二松学舎大学などの教育機関及び日本赤十字社、聖路加病院などの医療機関の設立や社会事業の支援なども行ったそうですから、新1万円札の肖像画になっても不思議ではありません。紙幣を手にした際には、彼の偉業や公益について振り返ってください。

皆さんには、それぞれに叶えたい夢や理想があると思います。目標が明瞭でないから困っているという人もいるかも知れませんが、それを模索しているだけでも立派な思考であり、活動であると思います。是非、その夢や理想が、そして思考や活動が、自分にとって、そして身近な人にとって、さらには将来、社会にとって健全で有益なものになるよう、高校生活を過ごしてください。周囲に迷惑をかけずに自分が好きなことをやるというだけでなく、自分の行為で周囲が豊かになれば、これ以上の幸せはないのではないでしょうか。

さくら清修高校の関係者全員にとって、2025年が更なる飛躍の年になることを願い、式辞とします。

ノート・レポート 第2学期終業式 式辞

温暖化の影響で夏休み後も気温が高い日が続き、いつの間にか冬になっていたと感じる程に秋が短かったと思います。月日が経つのは早く、第2学期、そして令和6(2024)年が終わろうとしているので、各自、生活を振り返り来学期や来年の目標を立てましょう。防寒と感染症予防のため、リモートでの配信とします。

季節毎に今年を振り返ってみます。夏には、パリで開催されたオリンピックとパラリンピックにより、世界中が感動の渦に巻き込まれました。日本の選手たちが多くの金メダルを獲得したことが、今年の漢字に「金」が選ばれた理由の1つでもあったように思います。改めて、将来の夢をオリンピック出場に定めたという人が、皆さんの中にもいるようですので応援しています。

秋の紅葉は、関東有数の紅葉狩りの景勝地がある本県に、今年も多くの観光客を誘いました。中でも、日光連山を背景にした一大パノラマ、「いろは坂」周辺の眺望が絶賛されるのは、日本にある35種類の楓のうち21種類がそこに自生しており、様々な色合いが秋の澄んだ空気に映えるからだと言われています。春の桜並木の美しさは、多くは淡いピンク一色によるものですが、紅葉の良さは多くの異なる色にあります。校内で、落葉の除去などの環境の整備にあたってくださる公仕さんへの感謝も忘れてはなりませんね。

総合学科である本校の特色の1つに、生徒一人一人の興味・関心、進路に応じた科目選択があるわけですが、これにより学びの幅が広がり、また、異なる学習集団が形成されるため他者理解も進みます。木々の紅葉のように、多様な彩―異なる価値観や個性―に溢れながらも規律ある生徒集団が、本校の魅力を生み出していると私は考えます。一人一人が違って当たり前、今後も自分らしさを模索し、そして発揮してください。

各地で、地震や豪雨などによる自然災害や戦禍により、尊い命までもが失われるという悲惨な現実を目の当たりにした年でもありました。そのような中、「日本原水爆被害者団体協議会」に10日、「ノーベル平和賞」が授与されました。特に2年次生には、修学旅行で長崎の平和公園を訪れるなど、平和学習に取り組んだこともあり、印象深い出来事の1つであったと思います。当然のことですが、命の尊さや平和の有り難さ、災害対策や環境保全について考えることも重要です。

今学期を振り返って見ると、いつにも増して大きな成果がありました。2,000名程の来校者があった「桜花祭」や縦割りのチーム編制で実施した「体育祭」などの学校行事では、皆さんのアイディアやホスピタリティー、互いに協力する姿が随所に見られました。先日は、生徒会や委員会、有志の生徒が中心になって企画した台湾の「新北市荘敬高職国際学校」から生徒40名を迎えての交流により、本校の良さを伝え、また、「国際理解とは何か」を知るヒントを得られたと思います。

「表彰伝達式」や「壮行会」でも披露したように、部活動では、ダンス部の「県新人ダンス大会」優勝や、県高文祭「写真展」特選での関東大会への出品、「美術展」最優秀賞による、2年連続の全国大会への出品決定といった輝かしい成果を写真部・美術部の人たちが修めています。他にも、さくらテラスでの「さくら市議会報告会」へのパネリスト参加などの様々な取組が、多くの方々に称賛されています。

以上、皆さんの活躍の一端を紹介しましたが、このような目立った活動をしたり、優れた成績を残すことは容易ではありません。「自分らしさ」を追究する中で、いつかその高みに到達するものですから、これからも学校生活のあらゆる機会―友人との語らい、読書、学校行事、部活動、ボランティア活動など―を大切にしていきましょう。本校は、役立つ豊富な資源に満ち溢れていますし、皆さんには大きな可能性があります。

3学期は瞬く間に過ぎていきます。卒業という大きな節目を迎える3年次生には、殊更に早く感じられるでしょう。全校生徒の皆さん、当然ながら「今という時間は今しかない」と肝に銘じ、また、「信頼できる大人への相談」も忘れずに、健康・安全に留意にしながら冬休みを過ごしてください。「自他ともに大切に」して、穏やかな年末と希望に満ちた新年を迎えられることを願って式辞とします。