日誌

2020年5月の記事一覧

校長室より「横山秀夫『影踏み』」

 図書紹介第5回は、横山秀夫さんの『影踏み』です。
 通常登校後も、図書紹介を継続していきたいと思います。ただ、今までの映画原作を中心としたものだけでないものも随時とりあげていきたいと考えております。
 さて、横山秀夫さんは、最新作『ノースライト』が、2020年本屋大賞第4位(大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。)となり、『クライマーズハイ』『半落ち』『64』など有名作品を多く持つ作家です。『ノースライト』は、横山ミステリー史上最も美しい謎と謳われる作品ですので、長編ですがミステリー好きに限らず挑戦してはいかがでしょうか。
 『影踏み』は、横山氏と、篠原監督、主演の山崎まさよしさんが意気投合し映画化となったという裏話があります。主人公の意識の中に、亡くなった双子の弟が存在するという設定で、のび師という犯罪者が主人公となるため、篠原監督からは「高校生にすすめるのはどうなのかわからない。笠原が見て大丈夫と思ったら紹介してくれ。」と封切り前に言われました。映画では小説に比べ明るい結び方となっていました。
 因みに、山崎まさよし主演の篠原作品は、『月とキャベツ』『けん玉(『Jam Films』内の一編)』に続く三作目。『月とキャベツ』が山崎さんの映画デビュー作となってから篠原監督と親交が深まり、篠原の結婚披露宴では、ギターを弾きながらセロリを歌ってくれました。演奏前、披露宴会場の中にあるバーカウンターで私がウイスキーを飲んでいる隣に山崎さんが来て5分ほど一緒に飲みました。といっても、お互いに何を語るということもなくただグラスを傾けるという貴重な経験に内心緊張していた自分がいたことを覚えています。
 次回は映画を離れて、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。
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校長室より「通常登校に向けて、生徒・保護者の皆さんへ」

 6月1日(月)より、いよいよ通常登校となります。
 先週5月18日(月)より分散登校を開始し、通常登校に向けた準備を2週間行ってまいりましたが、別途掲載してあります感染予防のための対策を一層充実させ、安全安心な学校生活とともに、学びの保障に努めてまいります。
 しかしながら、登校への不安もぬぐいきれないことと思います。
 私の二人の子供は、いずれも医療従事者のため、3月以降、病院(外来)が休みの日以外一日も休むことなく公共交通機関を用いて出勤しています。一人は東京在住のため、1月以降LINEのテレビ電話で話すことしかできていません。もう一人は同居しているため毎日顔を合わすことができますが、二人とも感染のリスクが高い環境のため、不安を抱えながら出勤しております。その分、感染予防の意識も高く、通勤時や買い出しのための外出時の行動にも気を配っています。帰宅後は、マスクを所定の場所に捨て、手洗いとうがいをしっかり行い、すぐにシャワーを浴びて着替えるなど、できうる対策をとって感染の予防に努めています。既に退職しましたが、妻も医療従事者であったため感染予防の意識は高いですし、私も子供に倣って手洗い、うがい、帰宅後のシャワー、感染リスクの高い場所を訪れない等によって家族全員が不安の低減をはかっています。
 第二波・第三波の発生予想や、どこに潜んでいるかわからないウイルスの存在は、誰にとっても脅威です。だからこそ、一人一人が適切な行動をとることによって不安を和らげ、日常を取り戻していくことが大切なのだと思います。
 先週来、校内で見られた生徒の笑顔、生徒の存在に私は希望を感じました。
 間違いなく光が射し始めたと感じております。
 どうか通常登校後も、他者を思い、自分を大切に思う行動によって、光に満ちあふれた宇都宮北高校にしていきましょう。


 

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校長室より「いくえみ綾『プリンシパル』」

 図書紹介第4回は、いくえみ綾さんの『プリンシパル』です。
 愛好家の方はおわかりでしょうが、今回の作品は『Cookie』(集英社)に2010年11月号から2013年9月号まで連載され、マーガレットコミックス全7巻 からなる漫画です。
『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』のタイトルで実写映画化され、ジャニーズWESTの小瀧望君と黒島結菜さんのW主演でした。
 高校生の主人公住友糸真が、母親の4度目の結婚相手と上手くいかず、入学した女子高でハブられ、実父を頼って北海道へ引っ越すところから話は始まります。
 現実的な問題、現実離れした展開等、それあり?、確かに!といったストーリーに全7巻一気に読み切ってしまいました。
 日本の漫画には、文化として世界に誇れるものがたくさんあります。
 それは、優れたストーリーテラーが、小説の世界ではなく漫画の世界でその才能を発揮しているからであり、それはロールプレイングゲームの世界でも言えます。
 『プリンシパル』は、文化云(うん)々(ぬん)というようなだいそれた内容ではありませんが、いじめという問題も含まれています。
 いじめや人間関係の問題について考える一冊としては、菅野仁さんの『友だち幻想』(ちくまプリマ-新書)をお薦めします。心が少し軽くなるかもしれません。
 次回は、横山秀夫さんの『影踏み』です。
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校長室より「今日は創立記念日です。」

 皆さん、昨日・一昨日の分散登校はいかがでしたか。
 1年生にとっては、高校に入って初めての授業、緊張の面持ちが見られました。
 2・3年生は、久々にクラスメートと会えた喜びからか、随所で笑顔が見られました。
 さて、今日5月20日は、宇都宮北高等学校の創立記念日です。
 創立10周年記念誌には、本校創立記念日の由来が次のように記されています。
 『本校の創立記念日は5月20日であるが、それは昭和55年が開校であるので5月とし、工事の鍬入れが6月20日であったことから20日を選び、5月20日とした。』
 また、創立10周年記念誌には、昭和57年5月20日に、校舎落成・校旗樹立記念式典が盛大に執り行われ、本校第2代校長花村冨士男先生が式辞で「今日、学校がこのように立派に完成したのは、地域の人々をはじめとする県民の協力の賜である。人間は一人では生きられない。両親をはじめとして社会の人々や大自然の恵みに報いるために真剣に学んでほしい。………本校は国際理解教育を特色とし、成果を挙げているが単なるコスモポリタンになることなく、自国認識を深め自ら郷土を愛し、国を愛する、すばらしい誇り高き日本人になってほしい。」と生徒を励ましたとあり、現同窓会長である四十物英晴先輩が生徒代表として「開校時の不自由さが、かえって宇北高の基礎づくりの意欲をかきたてた。あとに続く後輩のためにも、独自の校風と伝統を持ち、存在感ある学校になるよう一同努力する」と力強い誓いの挨拶を行ったと記されています。
 コロナウイルス感染症によって世界が劇的に変化している今、創立当時に思いを致し、宇都宮北高校のアイデンティティーを考える日としてください。
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校長室より「臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針」について

栃木県教育委員会より、「臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針」が発表されました。全文につきましては、栃木県教育委員会のホームページを御覧ください。
本校では、この指針をもとに学校再開に向けた準備を進めてまいります。
しかしながら、本校は県内最大規模の学校であるため、指針に示された目安通りにはゆかない面がございます。その点、生徒・保護者の皆様には御理解と御協力を賜りますようお願いします。具体的な方法については追って御連絡いたしますのでお待ちください。
以下に、指針に掲載された栃木県教育長の言葉を掲載いたします。


はじめに

 令和2年2月に本県で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、これまで県内55 件の発生が確認されています(5月8日現在)。

 この間、県立学校では、国の要請を受け、令和2年3月2日から春休みまでの期間、学校保健安全法に基づく臨時休業の措置をとりました。その後、東京都をはじめとする7都県(本県を除く)に対する緊急事態宣言(4月7日~5月6日)の発令に伴い、県立学校を始業式の翌日から4月22 日まで臨時休業としました。さらに4月17 日には、緊急事態宣言が全都道府県に拡大され、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく知事の要請を受け、県立学校の臨時休業を5月6日まで延長することとしました。

 そして4月30 日、依然として県内に感染拡大の危機感が広がっていることから、児童生徒の安全・安心に最大限配慮するため、臨時休業を5月31 日まで再延長することを決め、現在に至っています。また、国では、5月4日に緊急事態宣言を5月31日まで延長することを決めました。

 このように私たちは、3月から約3ヶ月にわたって、県立学校における教育活動が行われていないという未曽有の事態に直面しています。児童生徒の皆さんは、学校生活という日常から離れるとともに、外出の自粛など行動の制約が求められる中、辛い毎日を過ごされていることと思います。

 学校は本来、友人らとともに学び、人とのふれあいの素晴らしさを実感して日々成長していく場所であります。残念ながら現状では、こうした学校教育を受ける機会が長期にわたって失われております。一方で、児童生徒の安全を確保し、保護者の皆様が安心して子どもたちを学校に預けられるようにすることも大切なことです。教育を受ける機会の確保と児童生徒の安全の確保という2つを、可能な限り両立させながら、学校運営の舵取りをしていくことが各学校には求められていると言えます。

 そこで県教育委員会では、臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針を作成し、これを公表することといたしました。保護者及び県民の皆様におかれましては、何卒御理解、御協力をいただきますようお願い申し上げます。

 また、各県立学校では、この指針を踏まえ、校長のリーダーシップの下、臨時休業中の分散登校日の設定をはじめ、家庭学習の充実に向けた工夫、児童生徒に対する学習支援の工夫、さらには学校における感染防止対策の工夫等、万全の態勢を整えていただきますよう、お願いいたします。

令和2年5月8日

栃木県教育委員会 教育長 荒川 政利

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