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2020年4月の記事一覧
校長室より「インターハイ中止を受けて」
この報に接し、どれほどの生徒・保護者・先生方が涙したことでしょうか。私自身も受け止めきれません。
選抜がなくなり、関東大会がなくなり、集大成の全国大会に挑戦することもできずに高校部活動が終わってしまう。さぞかし無念でしょう。
私は高校3年のインターハイ予選まで部活動中心の高校生活でした。結局全国大会にも関東大会にも出場することはできませんでした。強かったわけでもなく、実績も残していませんが、最後までやりきったことが今も私の支えになっています。ですから、3年生には結果はどうあれ、最後までやりきったという思いを持ってもらいたかったのです。
一昨日、学校の敷地をくまなく歩きました。グランドも体育館も誰一人いない虚しい空間ではありましたが、一方で皆さんの帰りを待ち焦がれる場でもありました。
野球部についてはまだ希望が残るものの、他の運動部では、ここに3年生が現役部員として大会に向けた姿を見せることはないのかと思うと残念でなりません。
3年生に限らず、誰もが「なんで。」と思っていることでしょう。一刻も早い学校再開のために、外出を控え窮屈な生活を我慢しているのに報われることがないのかと。
でも改めて考えてください。今私たちが直面している現実はそれほど厳しいものなのだと。ここで心折れることなく気持ちを強く持つことが必要なのだと。
コロナ終息までの期間もそうですが、コロナ終息後の世界は、今まで私たちが経験してきた世界とは全く異なることでしょう。その世界に適応し、新たなステージで活躍できるよう力を蓄えておきましょう。
校長室より「恩田陸『木曜組曲』ほか」
『蜜蜂と遠雷』は、史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)のW受賞を果たした傑作。恩田さんにとっては『夜のピクニック』以来の二度目の本屋大賞受賞作となります。
風間塵16歳、栄伝亜夜20歳、高島明石28歳、マサル・C・レヴィ=アナトール19歳の4人の若きピアニストの姿が国際ピアノコンクールを舞台に描かれています。
音楽の知識がない私でも作品の世界に引き込まれ、わくわくしながら一気に読み切ってしまいました。1次予選から3次予選、本選で演奏される曲を知る人にとっては、演奏を頭に浮かべながら、いや4人の演奏をあたかも実際に耳にしているように感じながら読み進めることができるのだろうなと羨ましく思いながら読みました。
ピアノを題材とした映画で小説を原作としたものには、一昨年公開された宮下奈都さん原作で橋本光次郎さんが監督した『羊と鋼の森』があります。
『羊と鋼の森』は、2016年・第13回本屋大賞を受賞した作品。
将来の夢もなく生きていた主人公が、高校でピアノ調律師と出会い、その音色に魅せられ専門学校を出て調律師として働くなかで人間として成長していく姿が描かれています。特に、高校生の姉妹との交流の場面は胸に熱く迫るものがあります。
さて、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、この小説は、恩田さんが作家を専業とした後、1999年に単行本が刊行され、2002年2002年に映画化さた作品です。
謎の死を遂げた耽美派女流作家を偲んで集まった5人の女性たちが、その死の謎を解明していく密室ミステリーと言われるものです。登場人物一人ひとりが個性的で、重層的な深みのある作品で面白く読めました。
因みに、耽美派の作家といえば誰がいますか?国語便覧を開くとわかりますよ。
次回は、藤沢周平さんの『山桜』『小川の辺』を紹介します。
校長室より「夢枕獏『陰陽師』」
私の好みだけで選んでいくと偏りが出てしまうので、映画監督をしている友人、大学の剣道部(体育会ではありません)の同期、篠原哲雄君が監督したものから紹介したいと思います。彼はオリジナル作品も多くありますが、文学作品の映画化を頼まれることが多く多岐にわたるので、偏りなく紹介できるかと思います。
第1回は、3月29日(日)午後9時からテレビ朝日で放送された『陰陽師』。
夢枕獏さんの代表作『陰陽師』は、野村萬斎主演の映画もありますが、テレビ版は佐々木蔵之介主演でした。余談ですが、篠原君が監督した映画『花戦さ』は野村萬斎主演でした。こちらは後ほど紹介します。
さて、『陰陽師』は、平安時代に実在した安倍晴明(あべのせいめい)を主役とした作品。シリーズ化されていて、はまるとたいへん。
陰陽師について気になったら、皆さんの持っている国語便覧を開いてください。
12ページか44ページ(平安京のページ)に安倍晴明の屋敷が都のどこにあったかが載っています。
35ページか56ページ(信仰のページ)には、陰陽道の解説(物忌や方違など)があります。
134ページか144ページ(『大鏡』の描く人物像のページ)には、平安時代の歴史物語『大鏡』の中の「花山天皇の出家」に安倍晴明が出てくるシーンが記されています。因みに、『大鏡』は私の大学の卒業論文のテーマ(「大鏡研究-主として東松本と流布本の相違について-」)です。
次回は、恩田陸さんの『木曜組曲』を紹介します。
校長室より「命を守り、力を蓄えよう。」
外出もままならず、部活もできず友達とも会えず、窮屈な寂しい日々と感じている人がほとんどではないでしょうか。
そんななか、昨日、国の緊急事態宣言が全国に拡大されました。
22日までとされた本県の臨時休業も延長されるだろうことが報道されました。
更に窮屈で寂しい日が続くのかと思うことでしょうが、改めて、皆さん一人ひとりが自分の命、家族の命、友人の命、社会を守る行動をとることに努めてください。
先行きの見えない不安を誰もが抱くことでしょう。
でも、明けない夜はありません。
希望の光は必ず訪れます。
今は地中でじっと耐え、地上に出て光を浴びた時に勢いよく成長できるよう、たっぷりと栄養を蓄えておいてください。
今、どれだけ栄養を蓄えておくことができるかによって、皆さんの飛躍の度合いが決まってきます。
皆さんにとっての栄養とは、学力と体力、そして人間力です。
学力については、先生方が皆さんにあてて様々なメッセージを発しています。まずは、与えられた課題に取り組み、さらに発展的な学習に取り組んでください。
体力については、自宅でできる体力作りの方法がネット等で紹介されています。私は、全日本剣道連盟のHPで公開されている筋力トレーニングをしています。
人間力については、読書によって高めてください。図書館も閉まっていて新たな本の入手は難しい時ですが、青空文庫などのようにネット上で無料で読める本がたくさんあります。この機会に、今まで接することのなかった世界に触れてください。
読書については、今後、できるだけ紹介していこうと思います。
ピンチをチャンスに変えましょう。
校長室より(4/9)
北高の先生方は、皆さんのことを考えて一日中大忙しでした。
その一端がこのHPに表れています。皆さんへ向けたメッセージが発信されています。それぞれに目を通してください。
私からは昨日の始業式で話したことに関連して一点だけ。
正しい情報の入手に努めてください。多くの皆さんはスマホやパソコンによってネット上のニュースを見るていると思いますが、ネット上に挙げられている情報には、出所のはっきりしない不確かなものや誤ったもの、作為的に嘘の情報を流したものなどがありますので注意が必要です。必ず信頼できるものか確認してください。やはり安心なのは全国紙や地方紙と言われる新聞社の出しているものでしょう。全国紙の中には、ネットで無料で見られるものもありますので利用してください。できればこの機会に、各家庭に届けられる新聞を読む習慣をつけてください。
始業式 式辞
令和2年度1学期始業式式辞(校長着任式挨拶を含む)
皆さん、おはようございます。
四月より宇都宮北高校校長となりました笠原です。どうぞよろしくお願いします。
三月まで、三年間、鹿沼高校の校長を務めていました。その前3年間は宇都宮東高校と宇都宮東高校附属中学校の教頭を務めておりました。
このたび、宇都宮北高校という県内で最も人気のあるすばらしい学校の校長を拝命し、とても嬉しく思うと同時に、責任の重さを感じております。
一年生とは昨日の入学式で会いましたが、2・3年生の顔を見ることができず、放送での始業式となってしまい、残念でなりませんが、皆さんの命と健康を守ることが第一ですので、今回は放送にて行い、皆さんの顔を見て話が出来る日を待ちたいと思います。
さて、昨日、国の緊急事態宣言が発令されたのを受けて、栃木県の緊急対策会議が開かれ、明日から2週間の臨時休業が発表されました。
学校が再開されることを待ち望んでいた者にとっては、残念に感じる面もありますが、現状を見たとき、ほっとした気持ちの方が勝っているかもしれません。
生徒の皆さんだけでなく、御家族を含め、社会全体を守るための措置ですので、休校のの趣旨をよく理解し、宇都宮北高生の自覚を持って責任ある行動をとってほしいと思います。宇都宮北高校のイメージとして自由な雰囲気が挙げられますが、自由には責任が伴うことを忘れてはいけません。
そこで、皆さんに一冊の本を紹介します。
岩波新書で池田潔という方の「自由と規律」という本です。
この本は著者がイギリスのパブリックスクールで学んでいた時のことを記したものです。今から60年も前に書かれたものですが、新学期になると今でも書店に平積みとなる歴史的名著です。
この本は私が高校入学の時に入学式で校長先生が紹介されたもので、自分の中で自由とはということを考える基盤となった本です。是非読んでみてください。
昨日の記者会見での栃木県教育長の話では、休校の期間を更に延長するかどうかは、二週間後、休校の効果があったかどうかの状況により判断するとのことでしたので、学校が一刻も早く、安全な場所として再開できるよう、自分・家族・社会を守る行動を皆さんは実践してください。
まずは、緊急事態宣言地域である、東京・埼玉・千葉・神奈川へは、よほどの理由がなければ行かないということを徹底してください。
そして、誤った情報やデマに踊らされることなく、冷静な行動をとってください。
昨日の入学式の式辞で1年生に話したことですが、コロナウイルス感染症拡大の混乱の中で改めて感じたのが、科学教育の充実と情報教育の充実です。あまりにも多くの非科学的なデマや情報に踊らされ、混乱を自ら深刻化している姿は嘆かわしくも悲しくもあります。そこで皆さんには、本校で科学的な考え方と正しい情報の活用をしっかりと身につけてもらい、社会の中で率先した行動をとってもらいたいと思います。
もう一点、昨日述べたことで、2・3年生にも実践してほしいことがあります。
それは、「哲学を持つ」ということです。
哲学を持つことは、「命を大切にする」「人を大切にする」ことにつながります。
皆さん一人ひとりの命はかけがえのないものであり、今ここに存在することには大きな意味があります。その意味はまだ見えないかもしれませんが、それを探していく行為こそ、「哲学を持つ」ということにつながります。
1年生には繰り返しとなってしまいますが、それだけ重要だと思って聞いてください。
なぜ哲学を持ってほしいかというと、哲学を持たぬ科学者ほど恐ろしいものはないと考えるからです。この場合の科学とは、物理学や数学といった自然科学だけではなく、文学や歴史学といった人文科学、法律や経済といった社会科学も含みます。
つまり、皆さん誰もが、何かしらの科学を専門とすることとなるわけですが、哲学を持たずに取り組むことは恐ろしいことだと考えるからです。
しかし、哲学を持つということは容易なことではありません。哲学を持つためには、自分自身の体験だけでは十分ではありません。多くの人と接して様々な生き方・考え方に触れること。本を読み、先哲の優れた思想を学ぶこと、直接体験できないことも、本の世界に自分を置いて間接的に体験し、考えることが必要です。
したがって、皆さんには多くの人と接し、多くの本を読んでもらい哲学の世界、学問の世界に羽ばたいてもらいたいと思います。
私が石橋高校に勤務していた時の生徒で、現在明治大学の准教授をしている人物は、高校在学中に石橋高校の図書館にある哲学書をすべて読んだと言っていました。皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
宇都宮北高校の校章の由来の一つである「知・徳・体・情・意」という言葉も哲学と大きな関係があります。この点については自分で調べてみてください。
まだまだ話したいことはたくさんあるのですが、時間短縮のため、今日はここまでとし、これから様々な場面でいろいろな話をしていきたいと思います。
以上、令和2年度第一学期始業式にあたっての校長式辞と致します。
2週間後、皆さんの元気な姿を見せてください。
入学式 式辞
令和二年度 栃木県立宇都宮北高等学校 入学式 式辞
新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、保護者・来賓の方々に御臨席いただけなかったことは誠に残念ではありますが、ここに、令和二年度、栃木県立宇都宮北高等学校入学式を挙行できますことは、新入生はもとより私ども教職員にとりましても大きな喜びでございます。
ただいま入学を許可いたしました三百二十一名の新入生の皆さん、入学おめでとう。
私たち教職員一同は、心より皆さんを歓迎し、祝福いたします。
また、この場に御同席いただくことはかないませんでしたが、保護者の皆様におかれましても、今日の日を迎えお喜びのことと存じます。心よりお祝い申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の報道に触れて、新入生の皆さんも、保護者の皆様も、不安を抱えて今日の日を迎えたことと思いますが、一方で本校への入学を心待ちにしていたことと思います。
その思いは、私ども教職員も同じでございます。
本校は今年秋に、創立40周年記念式典を挙行致します。その節目の年に入学する皆さんと一緒に宇都宮北高校の新たな歴史を作っていきたいと考えております。
皆さんは、特色選抜を経て入学した人も、一般選抜を経て入学してきた人も、ともに宇都宮北高校への進学を希望して、今日この場にいます。保護者の薦め、先生の薦めがあったにしても、最終的には自らの意志によって本校を志願し受検したことには変わりありません。
では、皆さんが本校を志望した理由は何だったのでしょうか。
人それぞれではあるかと思いますが、本校に魅力を感じ、本校で学びたいと思ったからでしょう。
そのように本校を希望し、高校生となった皆さんに、私から是非ともしてもらいたいことが三つあります。
まず第一に、「哲学を持つ」ということです。それは、哲学を持たぬ科学者ほど恐ろしいものはないと考えるからです。この場合の科学とは、物理学や数学といった自然科学だけではなく、文学や歴史学といった人文科学、法律や経済といった社会科学も含みます。
つまり、皆さん誰もが、将来的に何かしらの科学、即ち学問を専門とすることとなるわけですが、どの学問にとっても、哲学を持たずに取り組むことは恐ろしいことだと考えるからです。
哲学というのは、「人間が生きるということはどういうことか」「自分はいかに生きるか」ということを考えることです。
何かするにあたって、これは良いことなのか悪いことなのか、自分はどう行動したら良いのかの基準を持つことです。
ですから哲学を持つということは容易なことではありません。
哲学を持つためには、自分自身の体験だけでは十分ではありません。多くの人と接して様々な生き方・考え方に触れること。本を読み、先哲の優れた思想を学ぶこと、自分が直接体験することのできない世界にも、本の世界に自分を置いて間接的に体験し、考えることが必要です。
したがって、皆さんには多くの人と接し、多くの本を読んでもらいたいと考えます。そして、哲学の世界、学問の世界に羽ばたいてほしいと願います。
二つ目は、「学び」の質を変えるということです。即ち、「学習」から「学問」へと転換し、「知識」を「智恵」へと昇華してほしいということです。
学習は、「学び習う」と書き、学んだことを繰り返し繰り返し練習・復習して身につけることで、知識の集積にあたります。
これに対し、学問は、「学び問う」と書き、学んだことから疑問を持ち、探求して真理へ向かい、智恵へと高めることです。
コロナウイルス感染拡大の混乱の中で改めて感じたのが、科学教育の充実と情報教育の充実です。日本ほど国民全体に教育が施されている国はないと言われていますが、報道される一連の騒動を見るかぎり、日本は決して教育先進国とは言えません。
あまりにも多くの非科学的なデマや情報に踊らされ、混乱を自ら深刻化している姿は嘆かわしくも悲しくもあります。
そこで皆さんには、本校で科学的な考え方と正しい情報の活用をしっかりと身につけてもらい、社会の中で率先した行動をとってもらいたいと思います。
三つ目は、「友情を育む」ということです。私は、人は最終的には、「知によって動くものではなく、情によって動くものだ」と考えています。「知」とは「知識の知」です。この人について行った方が得だろうという状況判断によって動くことはもちろんあるでしょう。しかし、何か重大なことにあたって最後の最後に自分がどう動くかは、それまでに育まれた愛情や友情といったものだと思っています。高校時代に育んだ友情は一生ものであり、困難にぶつかった時の支えとなります。どうか、一生ものの友情を宇都宮北高校の三年間で育んでください。
結びに、新入生の皆さんが、今日の感動を忘れることなく、自分たちの力で学校を一層活気あるものにしていくという意気込みをもって、勉学に部活動や各種特別活動に取り組み、学校生活が実り多く、輝くものとなることを心から期待して、式辞と致します。
令和二年四月七日
栃木県立宇都宮北高等学校長 笠原 紀昭
本校では現在、事務補助員(公仕)を募集しております。
募集要項はこちら
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証明書等の交付申請
のページをご確認ください。
栃木県警本部より、本校の同窓生に対する特殊詐欺の事案が発生しているとの連絡がありました。同窓生の皆様におかれましては、ご家族・関係者とも連絡を取り、特殊詐欺の電話には十分にご注意いただきますようお願いいたします。また、学校といたしましても個人情報の取り扱いには十分に注意しているところですが、同窓会名簿等の個人情報の取り扱いには十分にご注意いただきますよう、併せてお願いいたします。
教育相談の窓口一覧(PDF形式、令和7年5月栃木県教育委員会)です。