日誌

2020年7月の記事一覧

校長室より「ブレイディみかこ『ほくはイエローでホワイトで、……』」

 図書紹介第6回は、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。
 次回は映画を離れて、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ですと予告してから、ちょうど2ヶ月が経ってしまいました。申し訳ありません。
 この本は、私が2019年に読んだノンフィクション、エッセイの中で、最も面白く、最も生徒に読んでほしいと思ったものです。
 新潮社が発行する文芸雑誌『波』の2018年1月号から2019年4月号に連載されたものを、2019年6月に単行本として出版し、現在もなお書店に平置きされ、売り上げ上位に位置しています。
 日本人の母親(著者)と白人英国人の父を持つ息子の中学校生活によって、イギリスの今が描き出されています。レイシズム、LGBTQ、貧困、差別といった様々な問題について考えることができるもので、是非とも読んでほしい一冊です。
 赤坂ACTシアターに2度見に行ったミュージカル「リトル・ダンサー(原題ビリー・エリオット)」の背景にも触れられていて、そうだったのかと理解が深まったことも私としては面白く読めました。
 著者のブレイディみかこさんは、マスコミにも頻繁に出るようになりましたので、知っている人もいるかと思いますが、本に書かれている著者紹介には、「保育士・ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最低保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年に新潮ドキュメント賞を受賞し、大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補となった『子どもたちの階級闘争-ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)をはじめ、著書多数。」とあります。
 ブレイディみかこさんの卒業した修猷館高校というのは、福岡県内屈指の進学校で、今年度の国公立大学合格者は299名、東大に16名、京大に11名、九州大に131名が合格しています。私の大学時代の剣道部の同期にも修猷館高校の卒業生がいますが、母校に対する誇りを持っていました。卒業生は著名人も多く、元総理大臣の広田弘毅もその一人です。第二次世界大戦後の極東国際軍事裁判で文官としては唯一のA級戦犯として有罪判決を受け死刑となった人ですが、その生涯を描いた、城山三郎の『落日燃ゆ』を読むと、彼の生き様に感慨を覚えることと思います。
 因みに、私は高校時代、城山三郎の小説を貪るように読んだ時期がありました。きっかけは、総理大臣として金解禁を断行し、東京駅で凶弾に倒れた浜口雄幸を描いた『男子の本懐』を読んだこと。そこから、『落日燃ゆ』、来年のNHK大河ドラマの主人公となる新一万円札の顔、日本資本主義の父である渋沢栄一を描いた『雄気堂々』、三井物産社長から国鉄総裁となった石田禮助を描いた『祖にして野だが卑ではない』、『官僚たちの夏』、直木賞を受賞した『総会屋錦城』と続きました。
 さて、話しを『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に戻します。とにかく引き込まれます。優れた文章力です。出会うべき一冊と言えるでしょう。
 次回は、映画に戻って、浅田次郎さんの『地下鉄(メトロ)に乗って』です。
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県の警戒度が引き上げられました。

 新型コロナウイルス感染症に対する栃木県の警戒度が、「感染観察」段階から「感染拡大注意」段階に引き上げられました。
 生徒の皆さんは、学校再開前後の緊張感を思い出し、3密の回避、マスクの着用、手洗い、換気、消毒の徹底などの基本的な感染症対策に心がけて通常登校が続けられるよう協力してください。
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テスト週間

 今週木曜日から一学期の期末テストが始まります。
 先々週から職員室廊下では、先生に質問したり学習したりする生徒の姿が多くみられるようになりましたが、一昨日の土曜日には100名弱の生徒が登校して学習していました。
 高校入学後初めての定期テストに備えようという気持ちからなのでしょう。1年生の姿が一番多く見られました。
 しかし、学習への集中度は1年生よりも2年生、2年生よりも3年生の方が高いと感じられました。
 梅雨寒の中、体調を崩すことなく万全の体制で期末試験に臨んでください。
 また、雨で見通しが悪くなっています。登下校には十分注意してください。
 6月一ヶ月間で、本校生の交通事故が6件に及びました。危険な自転車の走行に対する苦情や心配の声も多く寄せられています。SHRで担任の先生を通して繰り返し注意しているところですが、改めて注意を促したいと思います。被害者となることも加害者となることもないよう十分注意してください。
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校長室より「進路資料発刊に寄せて」

 通常登校となった6月中は、日々の業務に追われ「校長室より」への投稿ができませんでしたが、今後はできるだけ北高の情報の発信に努めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 まずは、過日発刊されました「進路資料」について。
 配布された令和2年度進路資料を生徒の皆さんはもちろん、保護者の皆様も御覧いただき、進路選択にお役立てください。
 先輩方の合格体験記や後輩へのアドバイスのページはたいへん参考になりますので、是非お読みください。
 以下は、巻頭言として掲載した私の文章です。

 令和2年度進路資料が完成しましたので皆さんの許にお届けします。
 3年生にとっては3冊目となる進路資料ですが、過去2冊の進路資料を今までに何度読み返しましたか。
 受験産業を中心に様々な進路に関する書籍が出版されていますが、皆さんにとって本誌に勝る進路情報誌はありません。なぜなら、本誌は宇都宮北高の生徒を読み手として作成されたものだからです。
 本校の職員が、本校生の進路研究に役立つようデータを分析し検討した成果であり、何よりも、皆さんの先輩方が、宇都宮北高校生として進路決定に至った足跡が掲載されています。
 つまり、宇都宮北高校の生徒である君たちが、今後どうすればよいかの指針がここにはあります。
 是非熟読し読み返して、自分の進路を切り拓く手立てとしてください。
 進路とは正に自ら切り拓くものです。しかし、決して孤独な営みではありません。友人や保護者、先生といった協力者がいて成り立つものであり、あなたも同級生や後輩達の協力者なのです。
 「受験は団体戦」という言葉がありますが、この言葉に疑問を感じる人がいるかもしれません。
 なるほど、試験を受けるのは自分ですし、試験中、他の人の力を借りて解答を書けばカンニング(不正行為)となり、受験資格を剥奪されるだけでなく、成人であれば名前まで報道されることもあります。
 しかし、試験そのものは孤独に問題と取り組むものであっても、試験に至るまでの苦しい時期を乗り越えるためには、友人や保護者、先生といった人たちの支えが必要なのです。
  一方で、受験生が試験の合否を自分の実力以外に転嫁し、努力が十分でないにも関わらず、他者の協力が足りなかったから自分は不合格になったのだと考えたり、自分の実力が上がらないのは他者の協力が足りないからだと思う気持ちを持ってはいけません。進路の決定は、最終的に自分が責任を負うものです。
 良い結果も、悪い結果も自分が受け止めなくてはいけません。自分の実力と努力に負う所は大きいのです。
 人生の岐路はいたるところに現れてきます。
 その都度、どちらに進むか決断しながら歩んでいかなくてはなりません。後でこうしておけばよかったという思いはあっても、あのときの自分にとってはあれが精一杯だったと思えること、自分が決断して決めた事だからと思えることで前に進むことができます。ところが、自分以外の力によって決まってしまったという思いがあると、過去にこだわり、現状に満足せず、未来に向かって進むことができなくなってしまいます。
 皆さんにとって目の前にある岐路は、高校卒業後どうするかといったことでしょう。進学するのか就職するのか。進学するならどういう学問を選ぶのか。どこで研究するのかといったことを選ばなくてはいけません。将来設計がしっかりできていて、この大学のこの学部でこの教授のもとにこの研究をしたいという明確な目標を持って進路を決定することができれば理想的ですが、自分の実力が伴わなければそれも叶うものではありません。ですから、既に目標設定ができている人は、その実現に向けて実力をつけてください。目標設定が十分でない人は、多くの本を読み考えてください。自分が取り組みたいと思うものがあれば、図書館に行って関連する本を読み、これだと思えば、執筆者が誰か確認し、学者であれば、どこの大学の教員なのか調べ、そこに入る力が自分にあるのか、学力はあってもその大学に進んでよいのかということを保護者や先生と相談して進路の明確化を図ってください。まずは、この「進路資料」を手がかりにしてください。
 結びに、本資料の作成に御尽力いただいた先生方と貴重な体験談を提供していただいた卒業生の皆さんにに感謝の意を表します。ありがとうございました。
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校長室より「新たなステージへ」

 通常登校となってから1ヶ月が過ぎ、今日から新たなステージでの学校生活となります。感染リスクの高い授業や部活動、学校行事について、いくらかの制限が緩和されることとなりました。
 しかし、日本国内や世界の感染状況に目を向けると、決して安閑としていられないことが見て取れます。
 また、県内公立校最大規模の本校にあっては、他校で可能なことも本校では実施困難なことが多々あります。
 生徒の皆さんは、今後も感染予防に向けた行動に心がけ、日々の生活を充実したものにしてください。
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