第5回寺子屋みらい「手話体験~手話で話してみよう~」

 12月17日(土)に、本年度第5回の寺子屋みらいが実施されました。今回は「手話体験~手話で話してみよう~」というテーマで行いました。
 
 講師には片柳先生と大橋先生をお招きしました。片柳先生は、栃木市聴覚障害者協会に所属されており、小学校や中学校、高等学校、専門学校などでも手話の講師として手話を広めるために活躍されている方です。また、手話通訳者である大橋先生には片柳先生の手話を通訳していただきます。
  
 【講師の片柳先生を囲むように】  【生徒たちも一生懸命でした】
 最初に、片柳先生から、ろう者の生活についてお話をしていただきました。不便なところが多くあったそうですが、パソコン、スマートフォン等の機器の発達で、かなり便利に生活することができるようになったそうです。駅で電車を待っているときに、電車が途中の事故等で遅延した場合に、放送だけではろう者の方には伝わりません。今は、おかしいなと思ったら、スマートフォン等で調べればすぐにわかるようになったそうです。パソコンやスマートフォン等は様々な場面で活躍する、便利な道具であることを再確認させられました。また、今年開催されたリオデジャネイロのパラリンピックには、ろう者の方は参加できないそうです。ろう者の方のためのオリンピックは「デフリンピック」といい、2017年夏にはトルコで、2019年冬にはイタリアで開催されるそうです。
 続いて、実際の様々な手話を教えていただきました。「おはよう」「こんにちわ」等のあいさつの表現、ものの名前の表現、そして県名の表現等について学ぶことができました。中でも、人の名前である「佐々木」さんを表現する手話は、剣客“佐々木小次郎”にちなんで、背中にさした刀を抜く動作をすることで表現するそうです。また、「齋藤」さんは、美濃のまむしの異名を持つ“斎藤道三”にちなんで、ちょびひげを表す動作をすることで「齋藤」さんを表すそうです。なかなかユニークなものもたくさんありました。そして、受講者一人一人の名字の手話を教えていただきました。その上で、「はじめまして、あなたの名前は?私の名前は○○です。」と受講者全員が手話で話をすることができるようにご指導いただきました。ほんの少し教えていただいただけですが、手話という言語を教えていただけたことで、世界がとても広がったように感じました。
 手話について、少し調べてみました。1760年(日本はまだ江戸時代です)、ミッシェル・ド・レペという人が、フランスのパリに最初に聾唖教育施設を創設し、手話での教育を始めたのが、手話の最初であるとされています。日本では、100年以上も後の1878年(明治時代)に古河太四郎という人が、京都で日本初の聾学校を設立し、そこで日本手話の原形とも言うべき言語が生まれたそうです。そんな歴史のある手話ですが、国ごとに異なるとともに、地方ごとに方言もあるそうです。さらに、国際基準とも言うべき、世界共通の“国際手話”もあるそうです(このことは片柳先生に教わりました)。
 手話は、英語やフランス語、日本語と同じ一つの言語です。一つの言語を覚えることで、コミュニケーションを図ることができ、文化や思いを共有することができます。また、聴覚に障害のある人と出会ったときに、その人の魅力を知ることができる方法の一つでもあります。今回の講座をきっかけに、ぜひ、手話を学び、世界をもっと広げてみましょう。最後になりましたが、片柳先生、大橋先生、本日はどうもありがとうございました。