第6回寺子屋みらい「命を捨てた若者たち~72年前の真実~」

 今年度最後となる「寺子屋みらい」が2/4(土)に実施されました。今回は、「命を捨てた若者たち~72年前の真実~」というテーマのもと、お二人の講師の先生から太平洋戦争のお話をうかがい、戦争の悲惨さと平和の尊さについて学びました。

 講師の先生は、実際に戦争体験をお持ちの熊倉三朗先生と、本校地歴・公民科教諭の齋藤弘先生が担当されました。熊倉先生は、栃木市ボランティアセンター登録団体である、「栃木市語り部の会」に所属されており、ご自身の戦争体験を、これからの世代のため、日本の未来のために役立てようと栃木市を中心に語り継ぐ活動をされています。
  
   【熱くも冷静に話される講師の熊倉先生】        【真剣に話を聞く受講者たち】
 まず、本校の齋藤先生から太平洋戦争の歴史についてお話をうかがいました。齋藤先生のご自宅に残る戦時中のご家族の写真など貴重な資料もご紹介いただき、戦時下で暮らす当時の人々の日常の様子等について知ることができました。

 続いて語り部の熊倉先生からお話をいただきました。戦争とはどういうものなのかを、シリア内戦をもとにご説明いただいた後、太平洋戦争の歴史についてたくさんの写真や資料を用いてお話しいただきました。
 お話の中で、戦況が悪化する中、熊倉先生にとって尊敬とあこがれの的だった最愛のお兄様が学業志半ばで海軍に志願し、やがて特別攻撃隊(特攻隊)の兵士として出陣し、散っていったことについて語られるところがありました。成績がよく、物静かな性格だったお兄様が、あの戦争においてどのような使命感をもっておられたのか、アメリカ軍の対空砲火を浴びながら、どのような思いでアメリカ艦隊に突っ込んでいったのか。少し声をつまらせながら語る熊倉先生の話し口に、私たちは胸が締め付けられる思いでじっと聞き入りました。
 お兄様は当時日記をつけており、その日記も紹介されました。日記は、特攻隊員として出撃を迎えるところで筆が止まり、しっかりとした文字で「皆々様の幸福を祈る。さらば」と記されていました。熊倉先生は、このお兄様のメッセージに様々な思いを重ねておられるようでした。
 結びに、熊倉先生はこう語られました。「兄はあの戦いに勝って強くなろうとは思っていなかった。兄ははじめから戦いに勝つとは思っていなかったし、負け戦なのは分かっていた。それでも、兄が自らの命を賭けて最後まで守ろうとしたものは、最愛の家族や日本国民の幸せだったのではないか。兄は、あの戦争を日本にとって少しでも有利に終わらせることで、残された人びとに幸せが訪れることを願っていたのだと思う。」
 戦争を知らない私たちは、一語一語しっかりとした言葉で当時を語り、最愛の兄の生き様を伝えようとする熊倉先生の確かな語り口から、戦後72年の時が流れても決して消えることのない深い悲しみと悔しさを知り、不戦の誓いを新たにすることができました。
 今回の「寺子屋みらい」では、お二人の講師の先生のお話から、戦争を追体験することができました。この貴重な体験をこれからの生活に生かすとともに、戦争の悲惨さと平和の尊さについて自分の周りの人や後世の人に語り継いでいきたいと思います。
 熊倉先生、齋藤先生、貴重なお話本当にありがとうございました。