2024年1月の記事一覧
仕事を辞めたくなるとき
2月1日(木)
今回は「仕事を辞めたくなるとき」というテーマです。残念ながら、本校卒業生にも毎年必ず離職するケースが出てきます。その一報を耳にすると、「実習では頑張っていたのに…」「入社してからも順調に仕事をしていたのに…」「事業所の皆さんからも良くしていただいていたのに…」と、進路に関わってきた身としては、何ともやりきれない気持ちになります。
とはいえ、多くの人にとって、定期的に「仕事を辞めたい」という気持ちの波は来るもので、本校卒業生にとっても例外ではありません。では、卒業生はどういった理由で仕事を辞めたくなってしまうのでしょうか。
辞めたくなる理由その① 「人間関係」
どの業種でも辞めたい理由のトップにランクされるのが「人間関係」の悩みです。“どんな悩みも突き詰めれば人間関係”とも言わるぐらいですから、誰しも覚えがあることでしょう。ただ、本校卒業生の場合は「厳しく言われた」程度のことがほとんどで、仕事上の注意を誤解し、怖がってしまうようです。「守られ過ぎて叱られ慣れていない現代の若者は、障害がなくても同じ理由で辞めますよ」と、ある企業担当者は言っていました。
辞めたくなる理由その② 「モチベーション」
入社当初は満ちていたやる気が、慣れるに従って徐々に薄れていく。これは誰しも経験することです。単調な繰り返しの仕事に飽きてしまう方がいる一方、より良い待遇を求めて積極的な転職をする方もいます。ステップアップしたいという気持ちで、きちんと手順を踏んで退職するのであれば、きっとみんなが応援してくれることでしょう。
辞めたくなる理由その③ 「プライベート」
家庭環境に左右されることは、皆さんが考えている以上に多いです。親御さんや周囲の適切な支えが就労には不可欠です。特にスマートフォンの使い方(SNS、ゲーム、ショッピング)には要注意。これは人間の欲求のメカニズムを分析し尽くして、依存症になるよう仕向けるツールです。障害者がスマートフォンを介して陥っている困難事例を、とても多く耳にします。
また、交友関係に足を引っ張られるケースもあります。夜遅くまでの遊びの誘いに乗ってしまったり、それぞれの自宅に入り浸ってしまったり等、“楽しいこと”の誘惑に負けてしまう方もいます。しっかりと監督し、サポートしてくれる存在が必要です。
辞めたくなる理由その④ 「向いていない」
これも離職理由の上位にランクされる理由です。しかし、朝起きると嘔吐してしまうとか、仕事のことを考えると一睡もできないとかいうレベルでなければ、大抵は仕事に飽きただけ、辞めるための後付けの理由に過ぎません。あるいはそういった体調の異変も、仕事そのものではなく人間関係や、さぼりたい心が引き起こしているものだったりします。
以前視覚障害をもつ知人が、「運転以外はどんな仕事もできる。させてくれるかは別の話だけど。」と言っていました。結局は「向き不向き」というのはやる気の問題でしかないのかもしれません。いつでも人は、隣の芝生が青く見えるものです。
辞めたくなる理由その⑤ 「遊びたい」
身もふたもない理由ですが、高等部を卒業したばかりで働きに出ることになる卒業生には、同情する点が確かにあります。就労することで社会の中での役割を果たし、地域の一員として暮らすことの大切さを在学中にどのように教え育てていくか、困難ですが取り組まなければならない課題だと思います。
【定着支援について】
企業就労する本校卒業生は、必ず『障害者就業・生活支援センター』への登録を行い、就職後の支援はそちらの機関にお願いすることになっています。センターでは定期的に企業を訪問し、企業が抱える困りごとや卒業生の悩みを聴き取り、対応しています。生活支援も行っていて、金銭管理や交友関係等にアドバイスをします。また、学校も元担任が中心となり、状況確認を随時行います。
産業現場等における実習が始まりました
1月23日(火)
昨日から、今年度最後の「産業現場等における実習」が本格的にスタートしました。高等部3年生にとっては、学校生活最後の実習となります。
また、2年生にとっては2回目の実習ですが、ほとんどの生徒が前回とは違った事業所を選んでいます。良い経験とし、今後の進路選択に生かしてくれるよう期待しています。
今回も御協力いただきました事業所の皆様、誠にありがとうございます。