進路指導室より

2020年4月の記事一覧

障害者法定雇用率の引き上げについて

4月28日(火) 晴れ後曇り一時雨
★障害者の法定雇用率引き上げについて★
近く予定されている障害者の「法定雇用率」引上げの動向について以下に紹介いたします。

 

法定雇用率とは

一定数以上の労働者を雇用している企業や地方公共団体を対象に、常用労働者のうち「障害者」をどのくらいの割合で雇う必要があるかを定めた基準のことです。
令和2年4月現在、民間企業では2.2%(常用雇用者が100人の企業は、障害者を2.2人雇用しなければならない)と定められています。


この法定雇用率を2.2%から2.3%に引き上げる時期について「令和3年1月1日」とする厚生労働省案について、3月末に労働政策審議会障害者雇用分科会で検討がなされました。
分科会は、「公益代表(大学教授等)」、「労働者代表(労働組合関係)」、「使用者代表(経団連、企業経営者等)」、「障害者代表(手をつなぐ育成会等)」で構成されています。
その中で出された意見等を抜粋して紹介します。

 

公益代表 6名

 ◎厚生労働省の案を了承する・・・4

 ○厚生労働省の案を条件付きで了承・・・2

 (意見)

 ・新型コロナウィルスの影響を注視しながら判断することが必要。(2)

 ・予定どおり引き上げを行わないと、障害者雇用に対する負のメッセージとなる恐れがある。

 

労働者代表 5名

 ◎厚生労働省の案を了承する・・・5

 

使用者代表 5名

 ○厚生労働省の案を条件付きで了承・・・1

 ▼判断を見送るべき・・・4

 (意見)

 ・案を了承するが、1年延長の選択肢もあるのではないか。

 ・障害特性によってはweb面接等の手段がとりにくく、通常の採用活動を行うことが困難である。

 ・当面は現社員の雇用維持を最優先に取り組むことが極めて重要である。

 

障害者代表 4名

 ◎厚生労働省の案を了承する・・・4

 (意見)

 ・新型コロナウィルス騒動の影響で障害者が真っ先に解雇されないようにするためにも必要だ。

 ・引き上げを見送れば、障害者雇用自体が一般雇用に対する「補完的意味」にとどまってしまう。

このように、雇う側(使用者代表)のためらいがはっきりと表れる結果となりました。
世界全体を襲ったウィルスの影響が、今後世界経済に対してどこまで深刻なダメージを与えるかについては測れませんが、雇用に関しては障害者雇用も例外ではなく、より厳しい状況に置かれることは覚悟しておかなければならないのかもしれません。

就労継続支援B型利用に係るアセスメントについて

4月15日(水) 晴れ
 高等部卒業後に、「就労継続支援B型」の利用を希望する生徒については、在学中に「就労移行支援」サービスの暫定支給を受けて、「B型の利用が望ましい」という結果を出してもらう(これをアセスメントと言います)必要があります。
 これまで益子特別支援学校では、1~2学期の「産業現場等における実習」において、「就労移行支援」サービスを設置している事業所にお願いし、アセスメントを実施してきました。
 今般のコロナウィルス感染症によって、学校再開後の「産業現場等における実習」の実施がどうなるか、見通しが立たない部分も多いのですが、4月13日付けで厚生労働省から関係機関に対し、アセスメントに関する通達が出されましたので以下抜粋します。

・就労継続支援事業B型における就労アセスメントの取扱いについて
 就労継続支援事業B型については、特別支援学校卒業者等就労経験がない者が利用する場合、原則として就労移行支援事業所等による就労アセスメントを受けることとしているが、今般の新型コロナウィルス感染拡大防止のため、今後、就労移行支援事業所における就労アセスメントが十分に実施できない事態が想定される。(中略)
 このため、今後、年度内に、就労移行支援事業所等において就労アセスメントが十分に実施できない事態が生じた場合においては、今般の新型コロナウィルス感染症の影響に鑑み、臨時的な取扱いとして、市町村において就労面に係る課題等の把握がなされていれば、就労アセスメントと同等の情報収集等がなされたものとして取り扱って差し支えない。

 この通達によれば、市町が「就労面に係る課題等の把握」ができるのであれば、あえてアセスメントの機会を設定する必要はない、ということなので、今後真岡市を中心とした1市4町が「どのように」「何をもって」「課題等の把握」とするのかによって方向性が決まると思います。
 卒業後に「就労継続支援B型」の利用をお考えの保護者の方には、御不安も多かろうと存じますが、方向性が決まりましたらその都度お知らせいたします。

新型コロナウィルス感染症による雇用への影響は?

4月10日(金) 曇り後晴れ
新年度の開始が延期となり、進路選択に関しても例年どおりの歩みを進めることができなくなっています。
今回は、本校生徒の就職にも影響してくる景気の現状についてまとめてみました。
以下は、内閣府HPの、『景気の現状に対する判断理由等』北関東(株式会社日本経済研究所による調査)からの抜粋です。

 

1 家計動向関連

・現状では新型コロナウィルスの影響で若干上向いているが、事態が長引けば商材の供給が不安定になることで厳しくなる。(スーパー)

・街中を高齢者が出歩かなくなっており、影響が大きい。(一般小売店)

・主要顧客層の高齢者における外出自粛傾向が顕著であり、売上減の主要因となっている。(百貨店)

・店の売上を牽引しているのは食品のみ。衣料品や靴、バッグ等は需要がない。(百貨店)

・1日あたりの来客数が100~200人減少している。(コンビニ)

・売上が通常の9割減で、このままでは店が存続できない。疲弊している。(衣料品店)

・売上が8割減と壊滅的な状況。(飲食店)

・給料が手取りで10万円を切る状況。(タクシー運転手)

 

2 企業動向関連

・各自動車メーカーの操業停止の影響で、4月以降の部品受注状況は悪化する。(機械器具製造業)

・売上減少などの影響は出ているが、下請製造業にはまだ受注残があり、大きく仕事量が減っている様子は見られない。(経営コンサルタント)

・12月までと比べて売上は3割減。(金属製品製造業)

・中国製の部品が入荷せず、生産がストップしている。(電気機械器具製造業)

 

3 雇用関連

・新規求人数は、4か月連続で前年比マイナスが続いている。
3月の新規求人数は、前年同月比で3割減である。(職業安定所)

・観光、旅客業で業績不振による解雇者が発生している。(職業安定所)

・製造業でも雇用調整を行っている様子がある。(職業安定所)

・生産関係の従業員が休職している様子が見られるが、製造業には一定の求人がある。
介護職、看護職は募集傾向が目立っている。
生鮮食品等のスーパーは良いようだが、衣料品は伸び悩んでいる。(人材派遣会社)

 
景気の動向を示す「景気ウォッチャー調査(内閣府)」を見ると、新型コロナウィルス感染症の影響が出始めた2月期から、本格的にマイナス局面に突入しています。
4月8日発表の下表では、3月は前月比で軒並み大幅減となっていますが、中でも飲食関連の数値は目も当てられないほどの落ち込みを見せています。
本校でも再度休業措置をとることが決まり、特に進路選択を控えた高等部3年生保護者の皆様は、先の見えない不安に駆られていることと思います。
これまでのデータが示すとおり、社会経済全体が冷え込んでおり、今年度企業就労を目指す生徒にとっては厳しい状況が予想されます。
こればかりは自助努力でどうにかなるものでもなく、ウィルスの終息を願うしかありません。
しかし、今後このような状況が長引いたとしても、心の準備をしておけばダメージを減らすことができます。
たとえば、卒業後すぐの就労ではなく、障害福祉サービスの『就労移行支援』を利用するというように、選択肢に幅をもたせることもひとつの考え方です。
幸い4月10日現在で、これまで実習を受けていただいた企業及び福祉施設に関しては、実習の受入れをストップすると答えたところはありません。
予定どおり学校が再開されれば、6月の実習ができるよう手続きを開始します。
休校期間中は、通勤経路の再確認をする、自転車の練習をする、はさみ等の道具を使う練習をするなど、各自ができる準備に取り組むよう御家庭での御協力をお願いいたします。

 

内閣府 ※景気ウォッチャー調査

(DI)

201910

11

12

2020.1

(前月差)

合計

36.9

38.8

39.7

41.9

27.4

14.2

-13.2

家計動向関連

34.9

38.3

39.0

42.2

26.1

12.6

-13.5

小売関連

31.4

35.6

37.8

42.6

26.7

16.0

-10.7

飲食関連

35.1

40.9

39.1

39.8

16.0

0.7

-15.3

サービス

関連

40.6

42.2

41.1

42.3

25.3

7.4

-17.9

住宅関連

41.0

42.2

40.1

41.9

36.3

19.0

-17.3

企業動向関連

41.0

39.2

41.2

41.7

30.1

19.2

-10.9

製造業

38.9

35.2

39.1

40.1

31.0

21.7

-9.3

非製造業

42.4

42.7

42.6

43.2

29.9

17.5

-12.4

雇用関連

41.1

41.1

40.8

39.8

30.4

13.6

-16.8

※内閣府が毎月発表している、毎月月末に調査が行われ、翌月に統計値や各種分析が発表される、日本全体および地域毎の景気動向を的確・迅速に把握するための調査。
北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の12地域を対象とし、経済活動の動向を敏感に反映する傾向が強い業種などから2050人を選定し、調査の対象としている。
分析と解説には主にDI(diffusion index・景気動向指数。3か月前との比較)を用いて指数的に計算される。
50%が「悪化」「回復」の境目・基準値で、例えば全員が「(3か月前と比べて)回復している」と答えれば100%、全員が「悪化」と答えれば0%となる。
本文中に用いられている値は原則として、季節動向の修正が加えられた季節調整済みの値である)が用いられている。
現場の声を反映しているため、市場心理・マインドが確認しやすい統計である。