進路指導室より

2022年9月の記事一覧

最低賃金のはなし

9月5日(月)

 「最低賃金」とは、御存知のとおり最低賃金法によって定められているもので、使用者が労働者に対して、1時間あたりに支払わなければならない最低限度の賃金額のことです。令和4年9月現在、栃木県の最低賃金は882円ですが、10月にその額が913円に引き上げられることがほぼ決まりました。
 この額は雇用契約を結ぶ労働者に適用されますので、「就労継続支援A型」を利用する障害者等についても同様となります。
 一見、働く側にはメリットしかないように見える最低賃金の引き上げですが、雇う側の企業や福祉施設には負担として重くのしかかってくることが予想されます。というのも、現在の物価上昇は、好景気による人々の購買意欲向上といった「需要増」が起こしている現象ではなく、社会情勢の不安や原油、原料価格の高騰といった「コスト増」が起こしているものだからです。
 今回の賃上げは、企業にとっては簡単に言えば、「仕入れや光熱水費等の経費は増え、売上はそれほど増えない状態にある中で、さらに人件費が上がる」という状況です。
 こういった経済状況にあるとき、その影響を最も受けるのは社会的に弱い立場にある労働者です。今後、障害者雇用の現場にどのような影響があるのか、注視していきたいと思います。