栃高博物館

2013年9月の記事一覧

栃高博物館 83 キンコ

           栃高博物館 83 キンコ
    
     分類 棘皮動物門 ナマコ綱
     学名 Cucumaria frondosa japonica
     英名 sea cucumber,sea slug
     大きさ この標本は10cm

   82に続いてラベルに注目です。「きんこ 38.4 陸前金華山沖 購入」
  東北地方以北の浅海に分布する海鼠(なまこ)の一種をキンコといいます。このキンコを
 煮て干し、乾燥させた加工食品も光参(きんこ)といいます。キンコの分布する南限に当たる
 金華山付近では、金華山でかつて砂金がとれました。キンコの生殖巣が黄色いので、これは
 砂金の精がこの海鼠になったと信じられ、「金」の精である「こ=海鼠」の意でこの名前が付
 いたそうです。干し海鼠は中華料理の高級食材です。
   

栃高博物館 82 アカタカウニ

                   栃高博物館 82 アカタカウニ(コシダカウニ)
  
    分類 棘皮動物門 ウニ綱 ホンウニ目 サンショウウニ科
    学名 Mespilia globulus 
    英名 sea urchin
    大きさ 5cm(標本は2.5cm)
    分布 相模湾以南の磯
   
   ラベルに注目です。「あかたかうに 大正5.8. 三崎」 三崎は三浦半島南端の町です。
  「あかたかうに」というウニはいません。形からすると球形に近いので「コシダカウニ」だと思わ
  れます。栃高100年史によると大正5年には創立20周年記念式が挙行され、花火を掲げた
  そうです。それから、大正12年は関東大震災の年です。
  

栃高博物館 81 イセエビ

                           栃高博物館 81 イセエビ

    分類 甲殻亜門 エビ綱 エビ目(十脚目) イセエビ科
    学名 Panulirus japonicus 
    英名 Japanese spiny lobster
    大きさ 通常20~30cm まれに30cm 標本は20cm
    分布 房総半島以南、熱帯の海

  語源は伊勢エビ、磯エビ、威勢エビからきているという説があります。色は暗赤色で、
 標本は色が抜けてしまいました。 繁殖期や台風の前には列を作って大移動します。
 雌は受精卵を腹部に大量に付着させて守ります。孵化の瞬間は雪が降るようです。
 イセエビの赤ちゃんはフィロソーマ幼生といいます。別名、葉状幼生といわれるとおり、
 薄い透明な体に長い遊泳脚が付いていて、親を想像できません。熱帯のサンゴ礁には
 ゴシキ(五色)エビやニシキ(錦)エビという名の美しいイセエビの仲間がいます。

栃高博物館 80 シャコ

               栃高博物館 80 シャコ(蝦蛄)

   分類 甲殻亜門 口脚目 シャコ科
   学名 Oratosquilla oratoria
   英名 mantis shrimp(カマキリエビ)
   大きさ 12~15cm
   分布 北海道以南
 
  エビに似ていますが、類縁関係はかなり遠いです。特に違うのはエビに特有の
ハサミ脚が無いことで、シャコにはトゲのある1対の鎌のような捕脚があります。
英名のカマキリエビはここからきています。寿司ネタですが、尾の身だけがきれいに
調理されているので、食べたことはあっても、全体の形は見たことがないでしょう。
肉食、敏捷で捕脚は最大の武器です。またきわめて特殊な複眼を持っています。 
   

栃高博物館 79 ヤドカリイソギンチャク

             栃高博物館 79 ヤドカリイソギンチャク
     ヤドカリについてです。イソギンチャクは78をご覧ください。
   分類 節足動物門 甲殻亜門 十脚目 ヤドカリ科
   学名 Paguriodea
   英名 Hermit crab
   
  このヤドカリの住まいの巻き貝は12cmあります。貝には2匹のイソギンチャクが付いています。
 ヤドカリはハサミでイソギンチャクを刺激します。するとイソギンチャクは岩から体を離します。ヤド
 カリはこれを自分の殻の上に付着させます。イソギンチャクは移動できるようになり、ヤドカリの
 食事の余りをもらえます。ヤドカリは宿敵タコの脚をイソギンチャクの毒で退散させることができ
 ます。お互いが利益を得るので、生物学では「相利共生」といいます。