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創立記念日をむかえて
校長 羽山 潔
4月1日に、わたしが9年ぶりに校門を入ると桜が迎えてくれた白楊高校は、いつのまにか青葉がまぶしい季節になりました。季節はいつもの年と変わりなく過ぎています。
休校が続く今、高校生が学校で勉強をしたり部活動をしたりという、あたりまえの学校の日常が、わたしにとって本当に貴重であり、喜びであることを、今さらながら感じています。
今日は、本校の創立記念式典を行うことになっていました。
この宇都宮白楊高校は、明治28年5月に現在の宇都宮高校の場所で産声をあげました。校歌にも歌われる「泉が原」の現在の地には明治36年に移転し、栃木県簡易農学校、栃木県立農学校、宇都宮農業高等学校を経て、平成3年度に宇都宮白楊高校となり、現在に至っています。
本校が創設された明治28年から数えると本年は、創立125周年ということになります。
これまでの本校の歴史のなかで、部活動にあっては、ラグビー部、サッカー部、馬術部、山岳部などの全国大会での活躍が光ります。また、白楊高校となり7つの科ができてからは、それぞれの科とも、全国をリードする進路実績や資格の取得、各種コンクールでの成果などを積み上げてきています。これら先輩方のひたむきな努力が、学校の輝かしい歴史と伝統を築いてきました。2万5千人近くなる卒業生は、県内各地で重要な役割を担っています。また、全国、世界で活躍している方もいます。
一方で、本校は、創立以来、これまで大きな戦争や自然災害も経験してきました。激動の時代変化もありました。そういう困難を乗り越え、さらなる発展を遂げてきたことが、125年の歴史であり、本校の柔軟さ、強さでもあります。
現在はコロナウイルス感染防止のため、緊急事態宣言下で休校が続いています。わたしたちは、今、この困難を乗り越えていかなければなりません。そして、このことを、あなた方自身の大切な経験とし、強さとしていかねばなりません。
本来、全校生が一同に会して、創立記念式典を開く予定でしたが、休校期間中においては、それも叶いません。早く学校が再開され、お互いの顔を合わせて学ぶ日が、1日も早く訪れるように、学校では準備をしています。みなさんも、まずは無事を第一として、この状況を乗り切ってください。
休校が続く中で、わたしは、下野新聞に掲載された一つの投書が印象に残りました。
あたり前の大切さを学ぶ
「たくさんのことばに 笑顔に 今までなんとなく過ごしてきた日々・・・」
現在は活動を休止している西野カナさんの「Always」の歌詞を見て、これまでわたしと出会ってくれた人が思い浮かんだ。
学校が休止となり、ほとんど家で過ごしている。そんな中、これまでの生活を振り返り思うことがある。学校に行き,友達と話したり,授業を受けたりしていた生活。放課後は部活動ができることを当たり前に感じていた。しかし、どれも決して簡単にできることではない。それと同時に思うことは、私と出会ってくれた人を大切にすることだ。新型コロナウイルスによって友達や先生に会えなくなった今、時間を大切にすることを学んだ。
私はたくさんの出会いを経験した。苦い思いをしたこともあるが、それでもその人たちと話すと自然に笑顔になれた。次は私がたくさんの人を笑顔にし、出会った人を大切にしたい。
那須塩原市 高校2年生
※下野新聞 読者登壇より引用 5月1日(金)より引用
生徒のみなさんの中には、現状を上手に受け入れて、生活できている人もいるかもしれません。しかし、「どうしてこうなっちゃうの。」とか、「こんな生活はやってられない。」と、受け入れられない人が多いことと思います。「この先どうなるんだろう。」と考えると不安な気持ちが大きくなっていくのではないでしょうか。わたしの心の中も、誰のせいにもできないし、どうしたらいいのと考えても結論の出ない、わだかまりでいっぱいです。
今、この学校がない期間の中で、みなさんが、「勉強をやりたい。」、しかも「学校でみんなと勉強したい。」という気持ちが高まっているのだとしたら、また、学校生活の貴重さに気付いたとしたら、みなさんのこれからの長い人生で、一見、無為に過ぎているように思える今の時間は、けっして無駄にはなりません。
早く、今の状態が改善し、世の中が普通に戻り、あたりまえの日常が戻ることを願います。
本校の職員全員で、みなさんが再び学校にきて勉強したり、部活動をやったり、いろいろな活動をしたりして、元気な学校生活ができるように、準備をしておきます。
わたしも、生徒のみなさんに早く顔を見せたいし、みなさんの勉強や諸活動に取り組む姿を見たいと思っています。
それまで、自分をみつめたり、今できる勉強をしたりと、やれることをやってください。そして、学校が始まり、わたしと会ったときには「こんなに大変だったんですよ。でも頑張りました。」という、積もる話をぜひ聞かせてください。