日誌

校長室だより

校長室より「読書感想文について」

 読書は、基本的に自分ひとりの孤独な営みです。しかし、読書感想文として言葉で表現したものは、自分ひとりのものではなくなります。それを読む人とともに共有することとなり、直接会うことはなくても、読んだ人との出会いを生んでくれます。
 また、読書感想文は、過去の自分との出会いをもたらしてくれます。数年後、数十年後、過去に自分が書いた読書感想文を読み返した時に、当時の自分の考えや感動を思い起こし、ああ、私はこういう子どもだったんだな、こういう人間だったんだなと振り返って、その時の感動や考えを基に新たな歩みを始めるきっかけとなります。
 私は、1学期の始業式で生徒の皆さんに「哲学を持ちなさい」と言いました。
 哲学というのは、「人間が生きるということはどういうことか」「自分はいかに生きるか」ということを考えることです。
 何かするにあたって、これは良いことなのか悪いことなのか、自分はどう行動したら良いのかの基準を持つことです。
 哲学を持つためには、自分自身の体験だけでは十分ではありません。本を読み、自分が直接体験することのできない世界にも、本の世界に自分を置いて間接的に体験し、考えることが大切です。
 読書感想文は、その本を読んで感じたことの記録だけでなく、書くことによって考えを深め、それによって自分自身を見つめ、書くことを通して思考の世界へ導いてくれます。
 皆さんが、多くの本を読み、書くことによって、皆さんの哲学を持ってくれることを期待しています。
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