SGH活動報告

SGH活動日誌(H28)

台湾フィールドワーク3日目その2(台中1日目)

<921地震教育博物館>

午後は台中に移動して921地震教育園を見学しました。
1999年9月21日に台湾中部で起きた921大地震を機に
被災した中学校跡地に国際的な地震教育の場として作られました。
世界から30万人が訪れるそうです。

<全壊した中学校を取り壊さず、そのままの形で保存しています>
    

スタッフさんに質問してみたところ、
取り壊さずに残して保存することについては、やはり
被災した住民から反対意見もあったそうです。
ただ、921地震が発生したのが夜間で、
校舎倒壊の犠牲になった子どもがいなかったこともあり、
地震教育の生きた教材として
高い志をもって設立されました。
  
平らだった校庭が人の背の高さ以上に隆起してできた断層を、そのまま保存しています。
    
学校のグラウンドを持ち上げた断層を、そのまま保存しています。
  


校舎の1階が押しつぶされています。

<夕涼みで台中市内を散策>
SGH研究班の1人が、今日が16歳の誕生日でした!
特に何もしてやれませんが、とても充実した、思い出の1日ではなかったかと思います。
   
同行して下さっている日本人研究者に教えて頂いたのですが、
タピオカミルクティーは、ここ台中市が発祥の地です。
みなで乾杯してお祝いしました。

 

台湾フィールドワーク3日目その1

<中央研究院  午前中@台北>
 午前中は、
台湾政府直属のシンクタンク・中央研究院の地球科学研究所を訪ねました。
行政院(行政府)、立法院(立法府)というように、
~院とは、中国語で国家機関であることを示す用字だそうです。

そこの地球科学者で、
佐高OBでもある飯塚義之先生(佐高の教員・石井勝尉先生と同級生)から
「台湾の地震について」講義をしていただきました。これは日本語です。

SGH研究班(2年篠崎さん、1年荻原くん)が、日台フィールドワークの成果を英語でプレゼンしました。

中國文化大学理学部地球科学科で教鞭をとる郭欽恵博士(ボストン大学出身)から、台湾の地下水研究について講義(英語)を受けました。
とても優しい先生です。

台湾でも梅雨をそのまま梅雨(メイユー)というそうです。
日本には3000m級の山が21座なのに対して、台湾では286座もあるほど地形が急峻です。
地質も軟らかく、侵食作用を受けやすいため、ダムを作っても土砂ですぐ埋まってしまいます(英語)。降水の75%はあっという間に海へ流れ去ってしまいます(英語)。季節的地域的な遍在も大きいため、台湾はウォーターリソースの有効利用、再生利用を推進してきました(英語)。

<郭欽恵教授との質疑応答>
SGH研究班(1年飯塚さん)「台北市水道局は、水道水は飲用できると言っているし、実際水質は良好な数値が出ている。それなのになぜ台北市民は水道水を飲まないのか。
郭教授「Good question!確かに水質は良い。
それでも飲まないのは2つの側面からである。
一つは市民は水道水に、いまだ不信感を持っていること。
さらには、蛇口からの水道水は飲まないのがcustomになっているということ。
もはや食文化であり、意識を変えるのは容易ではないのだ。」

感謝の代表あいさつ

最後に、記念品を贈りました。

台湾新幹線の南港駅入口に着きました。
午後は台湾新幹線に乗って台中に移動します。

新幹線の車内です。お弁当を車内で取っています。

<921地震教育園 午後@台中>

台湾フィールドワーク 2日目その4

<街頭アンケート調査>
佐高SGH研究班7名と台北の現地校生5名がチームを組んで”水”にかかわる共同調査を行いました。
2日目最後のフィールドワークです。調査地点は台北駅周辺を選びました。

3班に分かれた合同調査チームにはそれぞれ台北の日本人留学生や若手研究者もメンバーに入りました。留学生や研究者の持つ高い判断力や人間性に接したり、直接エールやアドバイスを頂く経験は、高校生にとって大きな刺激となるでしょう。


<台湾の東呉大学の先生(日本人)に、チームに加わって頂いています>

<宇都宮大学からの日本人留学生に、チームに加わって頂いています>

 使用言語は中国語または英語です。   
 中国語に堪能な人はチームに必ずいます。しかし、その人にばかり依存しまうのは、どうでしょう?それでは経験になりませんし、心掛けるべきは、メンバー全員が力を発揮してチームの力を最大化することです。
中国語ができないメンバーも、英語でアンケートを実施しました。

<最後の感想から>
・日本人と台湾人という、英語を母国語としない人どうしが英語でコミュニケーションできたのが良かった。

・海外にきて英語が通じたことは、シンプルに理屈抜きでうれしかった。

明日は日本および台湾での調査結果を整理・分析し、その成果を台湾政府直属ののシンクタンク・中央研究院でプレゼンする予定です。
朝から密度の濃い1日でしたが、ホテルに帰ってからみなでディスカッションして
プレゼン資料作成が待っています。
もうひとふんばりです。

ディスカッションと明日の資料づくりをホテルの大広間で22:00まで行いました。
それでも完成しなかったので、それぞれ分担して自分たちの部屋に持ち帰って
作業を進めました。生徒によっては12時過ぎ、1時過ぎまで頑張っていたようです。
ご苦労様でした。

台湾フィールドワーク2日目その3

<台北慈済病院 午後の活動>
水は、人権の一つです。水の切れ目は、命の切れ目となります。

特に、たくさんの命を預かる病院は、大災害時の非常用水源を
どのように確保することを考えているのでしょうか。
そこで午後は台北慈済病院という総合病院の雨水回収システムを
見学しました。  

<台北慈済病院について>
                                                                                                                               
この台北慈済病院を設置・運営しているのは、
台湾で生まれた世界的に有名な仏教系慈善団体・国際支援活動NGOである、
慈済仏教功徳基金会です。
「慈済」の由来は「慈悲為懐、済世救人(慈悲を説き、世を助け人を救う)」です。

日本では、3・11 東日本大震災で被災地にいち早く直接赴いて活動した海外慈善団体としても知られています。
この病院の雨水回収システムを見学希望するのは過去に前例がないそうです。
心温まる、圧倒的な熱烈歓迎を受けました。

私たちSGHクラブ研究班は、もともとこの病院の水資源対策が関心事で訪れたわけですが、入院患者1000人に1000人の看護師、院内各所に常時待機する200人の慈済ボランティア態勢はもちろん、患者の病気を治すのみならず、”心をいやす”ための取り組みや配慮が随所に凝らされていて、大きな感銘を受けました。
<病院の雨水回収システムの説明が始まりました>

実際に施設の巡検にでかけます。次の写真はその移動途中で見かけたものです。病院関係者がボランティアで回収したペットボトルをワイシャツにリサイクルして病院内でバザーを開いていました。

これは雨水ろ過装置です。

回収した雨水は、上水でも下水でもない中水として、草花の灌漑(病院の6つの空中庭園がある)や散水、防火用水、公共トイレ、人造湖の補充水などに幅広く利用されています。
この池の水も雨水貯留供水システムから供給されています。

病院地下に広がる巨大雨水貯留槽を見学に出発です。

地下の巨大雨水貯留槽です。満杯になった時に備え、屋上や地上の溜め池に送水する工夫があるとのことです。

雨水濾過機です。水質管理も厳密です。

佐野の記念品を贈呈しました。

一人ひとりに記念品をいただきました。

代表生徒からの感謝の辞です。
「この病院の方々のように、体の痛みを治すだけでなく、心の痛みを治せる医療人になりたい、寄り添える助産師になりたいと強く想いました!」

      

台湾フィールドワーク2日目その2

迪化下水処理場 午前中の活動>
台湾最新設備の汚水処理施設を見学しました。



日本の下水道は、雨水と汚水を区別せずに集めて処理する「合流式」下水道です。
対照的に、台湾の下水道は、雨水と汚水を分けて回収する「分流式」下水道です。
そのため、汚水とは別に雨水だけを集めて再生水として活用することが可能です。
雨水を回収して水質管理し、上水でも下水でもない「中水」として、
草花の灌漑や洗浄水、道路の散水などに雨水を活かしています。

<中国語による解説を現地の日本人高校生に通訳してもらっています>
この台北の高校に通う日本人高校生は、
SGH研究班の生徒の保護者の友人のお子さんというつながりから協力頂きました。

日本人は、水が大切と言いながら、雨水を利用しようと考えず、ただ眺めているのが現状ではないでしょうか。

ところで佐野市は、例外的に、一部を除いて台湾と同じ「分流式」下水道です。
台湾で学んだことを地元に提言できるかもしれないと考えています。

<処理水の放流先・淡水河をバックに>

<1日1人当たりの汚水排出量 220リットル>
220リットルも!
水は大切といいながら、いかに知らないか。私達は水についてあまり考える機会が少ないのかも知れません。