日誌

普通科水産科合同生物調査

7月22日月曜日、水産科実習場の隣接ビオトープにて、普通科水産科合同企画を行いました。
以下に、その報告を記します。


普通科・水産科合同生物調査~水産科実習場隣接ビオトープにおける小型貝類の調査~

1 目的

① 水産科で継続的に行っている那珂川水系における水辺の生物の生息データの蓄積

② 普通科生徒に自然観察や生物調査を体験させること

③ 水産科生徒が普通科生徒に観察や調査の支援を行うことで、主体性や自己有用感を喚起し、また、普通科生徒と水産科生徒の交流を図ること

2 調査場所  馬頭高校水産科実習場隣接ビオトープ  那珂川町久那瀬

3 調査日時  令和元年722日(月)9001200

4 調査内容  微小貝類の生息調査を中心に、付随して採集できた生物についての観察を行う

5 対象生徒  普通科有志者 水産科有志者

6 参加者  普通科2-1 2名 2-2 2名 水産科2-F 5名 1-F 6名 計15

7 採集結果

①ハブタエモノアラガイ


 今回の調査で2個体発見。いずれも農水路のコンクリート壁で採捕されたが、1個体は水底基底、1個体は飛沫域(水面よりも上部)であった。

北米原産の外来種であるが、栃木県内では幅広い場所で生息が確認されているようだが、調査からは生息数はそれほど多くない。

形はモノアラガイより殻径が狭く、螺塔と体層との比率はモノアラガイが19くらいで殻高の大半が体層となる一方、ハブタエモノアラガイは37くらいとなり螺塔が三角形に尖る。

また、個体差も大きいもののモノアラガイは貝殻表面にやや大粒の斑紋が多くあらわれるが、ハブタエモノアラガイはより黒色で模様に乏しい。

 那珂川町として、初の標本となるとみられている。

② ナガオカモノアラガイ

 

 今回の調査で稚貝から成貝まで10個体以上採捕した。マコモダケを中心に、水草の水面から上部の茎に付着していた。

本種の同定(種特定)においては、オカモノアラガイとの違いがポイントとなる。細長い形状からナガオカモノアラガイと判断したが、正式には博物館ならびに遺伝子の情報をもって結論付けられるものである。

 また、栃木県においては黒羽地内において唯一採捕データが存在し、それ以外については全く存在しないことから今回の採捕は極めて重要な意味があったと判断できる。

 採集地点は、かつては水田であったところにマコモダケを移植したことで形成されたビオトープであり、ナガオカモノアラガイがどのように定着したかについては定かではない。マコモダケは周年性植物であり、秋になり収穫を終えると、刈り取りが行われる。翌年まで個体群を維持する機構については不明であるが、成貝や仔稚が何らかの方法で越冬し、または卵などのかたちで次のシーズンを待ち、数年にわたって定着しているものと考えられる。ビオトープの保存が求められる。 

③ その他の貝

 今回の調査でターゲットの一つに加えていたヒメモノアラガイおよびカワネジガイ等については見つけることができなかった。今後は、これらの貝に採捕対象を絞って、適地を選定し、採集を試みることが必要と言える。

8 事後処理

  サンプルの①②については、栃木県立博物館に寄贈する。

  生徒の活動については、この報告書とともにポートフォリオに記録させる

9 懇親会
 せっかく普通と水産科、そして学年の枠を超えて一緒に調査を行ったので、すべての作業終了後に流しそうめんを 行い、雨の中みんなで食べました。とても楽しいイベントとなりました。今後もこのようなイベントを開催したいと思いますので、今回参加しなかった人も含め、次回の参加を心待ちにしております。