卒業式

卒業生答辞

      答辞

   冬の寒さも和らぎ、日の光や木々の色に春の訪れを感じる季節となりました。
 この良き日に、私たちは鹿沼高校を卒業します。私たちのためにこのように盛大な卒業式を挙行して下さいまして誠にありがとうございます。先生方をはじめ、たくさんのご来賓、保護者の皆様にご臨席頂き、厳かに卒業できますことを、皆を代表し厚く御礼申し上げます。

  思い起こせば三年前、私たちはまだ名前も知らない仲間たちと共に、これから始まる学校生活への大きな期待と不安を胸に、この鹿沼高校の門をくぐりました。その日からこの三年の間、私たちの学校生活には常に仲間の姿がありました。
  クラス全員が一丸となって練習に励んだ校内体育大会。試合に勝利することができなくても最後まで笑顔を絶やさずにいられたのは皆と一緒にプレーすることができたからです。
  放課後まで学校に残り、成功を期し準備に走り回った鹿苑祭。クラスの準備が進んでいくのと同時にクラスの団結も徐々に深まっていきました。
  合唱コンクールでは、短い練習期間ながらも充実した練習をして、本番ではどのクラスも素晴らしい合唱を発表しました。
  ひたむきに、学業に、学校行事にと、高校生活に邁進し、仲間とともに努力してきたこれらの経験は、私たちの将来にとって大きな糧になると思います。
 
 皆に支えられ充実した毎日を送ってきた私たちですが、学校生活を送る中では、思い悩むこともありました。私たちが悩み、苦しみ、間違った方向に行きそうになった時、先生方はいつも優しく指導してくださいました。勉強や進路の相談に伺った際も、親切で丁寧なアドバイスをしていただき、とても心強かったです。私たちをいつも温かく見守ってくださった先生方に感謝の言葉を言い尽くすことはできません。
   良き仲間達と優しい先生方に囲まれて過ごした高校生活では、常に真剣に物事に取り組むことや、目標に向かって努力を惜しまないこと、また周りの人に真心をもって接することの大切さなどを学びました。今思えばそれらのことは校訓の「至誠、努力、奉仕」に通ずるところが大きく、先輩方が紡いできた鹿沼高校の伝統は素晴らしいものだったのだと改めて実感しています。そしてこのような最高の環境で高校生活を送ることができたことをとても嬉しく思います。

  今日を区切りとして私たちはそれぞれの道へと歩みを進めていきます。平成の時代が終わり、令和の時代が幕を開け、今年は東京オリンピックが開催されます。急速なグローバル化や地球温暖化など、時代が大きく変化する中、私たちは高校生活を送ってきました。そしてこれからもそのような変化のなかで私たちは生きていきます。
 私たちが進む道は希望にあふれているとはいえ大きな壁にぶつかることもあるでしょう。そのようなとき、その壁を打ち破るのか、乗り越えるのか、時には迂回してしまうこともあるかもしれませんが、立ちはだかった苦難にはこの三年間で先生方が育てて下さった自主性と主体性をもって、また最後のセンター試験が教えてくれたレジリエンスという言葉を思い出して、力強く生きていきたいと思います。
 
 在校生の皆さんにも鹿沼高校での経験を通して、自分の将来の目標を見つけて欲しいと思います。本校の進路研究室はポルトと呼ばれており、ポルトガル語で「港」を意味するそうですが、私はこの学校全体が港であると考えています、ここで将来の目的地を定め、進むべき道を見つけなくてはなりません。この港で自分自身を見つめ、一人一人の目的地を見つけて下さい。
  最後になりましたが、これまで私たちを温かく導いて下さった先生方、そして家族に感謝すると共に鹿沼高校の今後益々の発展を祈念申し上げて答辞と致します。

      令和二年 三月 二日
  栃木県立鹿沼高等学校第七十二回卒業生代表 
                                                山本健太