校長挨拶

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校長挨拶

 

 黒磯高等学校のホームページを御覧いただきありがとうございます。     

 

  本校は、大正14(1925)年6月、黒磯町立実践女学校として開校しました。昭和25(1950)年に県立移管となり現在に至 ります。来年、令和7年に創立100周年を迎える県北を代表する男女共学の進学校です。実践女学校建学の精神「愛情、清潔、従順、奉仕、勤勉」を礎とし、その上に、現在の校訓「自主 友愛 不屈」と教育目標の「心豊かで逞しい自立した人間を育てる」を掲げ、本校の全ての教育活動を通して、その達成を目指しています。学習活動はもとより、部活動や学校行事等の特別活動において、計画的で実践的な活動を積み重ねることが、豊かな人間性と創造性を育み、未来を切り拓く不屈の精神の陶冶に繋がるものと信じ、日々の奮闘努力を促しています。

 令和6(2024)年4月現在、黒磯高等学校卒業生は2万名を超え、地元は言うに及ばず、県内外の各界各分野で活躍中です。この同窓生をはじめ、地域の方々との連携を柱にして、しっかりと地域に根を張りつつ、「社会や地域を支える 優れた人材を輩出する」ことで、地域の期待に応え、地域から信頼される学校づくりを進めて参りますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

 

 今日の社会は、過去に例がないほど、変化が激しく、常に新しい知識や情報、技術の習得が求められています。特にこれから生徒たちが生きていくSociety5.0、超スマート社会では、常に情報や知識のアップデートとともに、得た情報、知識の中に価値を見いだし、その横断的な利活用により、新たな価値を創造する力が求められます。生徒たちには、そのような社会の中で力強く生きるための力をこの黒磯高校での3年間で身に付けさせたいと考えています。

  そのような中、本校は令和4年に教育委員会から3年間のSTEAM教育推進事業のモデル校に選定されました。STEAMという言葉は、科学、技術、工学、芸術、数学の英語の頭文字を採って創られた言葉ですが、今では、芸術を人文・社会学分野全般に広げ、これまでの文系・理系といった枠にとらわれず、「各教科での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科横断的な教育」と解釈されています。本校では、このSTEAM教育を本校の新たな特色の一つとして位置づけ、この教育を通して「問題の本質を把握し自ら問いを立てる力」、「答えが一つに定まらない問題に対して、試行錯誤しながら自ら解を見いだしていく力」、「自他の考え方を尊重しながら、他者と協働して物事を成し遂げる力」などを育成することに邁進しております。

  昨年度、栃木県教育委員会は、各校のスクール・ミッション(各学校の存在意義や期待されている社会的役割、目指すべき学校像等)を再定義しました。その中で、本校のスクール・ミッションは、「ウェルビーイングを目指した課題発見・解決型学習を通して、地域や社会において新たな価値を創造できる人材を育成する学校」と定められました。まさに、本校のSTEAM教育をとおして育むべき人材像が本校のミッションに据えられました。

 

 また、ウェルビーイングについてですが、文部科学省は、「ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念」と定義し、昨年6月に閣議決定された第4期教育振興基本計画(令和5~9年度)では、2大コンセプトの一つに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げ、教育を通じてウェルビーイングを向上させていくとしました。

 本校では、令和4年度からこのウェルビーイングを「一人一人の多様な幸せと、社会全体の幸せ」と解釈し、「ウェルビーイングに基づく学校づくり」を教育方針の根幹に据え、教育活動を展開してきました。繰り返しになりますが、子供たちが旅立つ社会は、Society5.0という誰も経験したことのない社会です。また、新型感染症の世界的な流行や、能登半島地震に代表されるような大規模自然災害の発生、さらにロシアとウクライナとの戦争やイスラエル軍によるガザ地区への軍事侵攻など、混沌とした予測困難な時代です。そのような時代においても「幸せに生きる」ために必要な資質・能力を生徒たちに身に付けさせてあげたい、そして、同時に、本校での生活そのものもウェルビーイングであってほしいと願っています。

 そのために足りないものは何か。何をどう変えれば幸せな学校生活、幸せな未来につながるのか、それを教職員だけでなく、生徒の皆さんとも一緒に考えながら、幸せな学校をつくってまいります。

 

  これらの考え、方針を踏まえ、今年度の学校経営方針を次のとおりとし、全教職員で共有しました。

【学校経営方針】

 (1)校訓「自主・友愛・不屈」の精神(KUROISO PRIDE)の涵養と教育目標、スクール・ミッションの実現

 (2)ウェルビーイング(「一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せ」)に基づく学校づくり

 (3)生徒を主語とした授業・教育活動の推進(学びの伴走者としての教師)

 (4)STEAM教育を軸とした特色化の推進と地域連携

 (5)危機管理の徹底と教職員の心身の健康の保持・増進

 

 また、今年度の重点目努力標については、昨年度の反省と先の学校経営方針を踏まえ、次の4点としました。

【重点努力目標】

  ア STEAM教育の推進と総合的な探究の時間の充実

  イ ICTの活用と主体的で個別最適な学習の推進

  ウ 自己指導能力の育成を目指した教育活動の充実

  エ ウェルビーイングに基づく学校づくりの推進

 

 以上、本校の沿革や学校の現状、学校経営方針などを紹介いたしました。この方針、目標の下、教職員一丸となり取り組んで参りますので、今後とも本校の教育活動に御理解と御支援を賜りますようお願いいたしまして、御挨拶といたします。

       栃木県立黒磯高等学校  校長 吉田 嘉宏