日誌

校長室だより

校長室より「いくえみ綾『プリンシパル』」

 図書紹介第4回は、いくえみ綾さんの『プリンシパル』です。
 愛好家の方はおわかりでしょうが、今回の作品は『Cookie』(集英社)に2010年11月号から2013年9月号まで連載され、マーガレットコミックス全7巻 からなる漫画です。
『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』のタイトルで実写映画化され、ジャニーズWESTの小瀧望君と黒島結菜さんのW主演でした。
 高校生の主人公住友糸真が、母親の4度目の結婚相手と上手くいかず、入学した女子高でハブられ、実父を頼って北海道へ引っ越すところから話は始まります。
 現実的な問題、現実離れした展開等、それあり?、確かに!といったストーリーに全7巻一気に読み切ってしまいました。
 日本の漫画には、文化として世界に誇れるものがたくさんあります。
 それは、優れたストーリーテラーが、小説の世界ではなく漫画の世界でその才能を発揮しているからであり、それはロールプレイングゲームの世界でも言えます。
 『プリンシパル』は、文化云(うん)々(ぬん)というようなだいそれた内容ではありませんが、いじめという問題も含まれています。
 いじめや人間関係の問題について考える一冊としては、菅野仁さんの『友だち幻想』(ちくまプリマ-新書)をお薦めします。心が少し軽くなるかもしれません。
 次回は、横山秀夫さんの『影踏み』です。
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校長室より「今日は創立記念日です。」

 皆さん、昨日・一昨日の分散登校はいかがでしたか。
 1年生にとっては、高校に入って初めての授業、緊張の面持ちが見られました。
 2・3年生は、久々にクラスメートと会えた喜びからか、随所で笑顔が見られました。
 さて、今日5月20日は、宇都宮北高等学校の創立記念日です。
 創立10周年記念誌には、本校創立記念日の由来が次のように記されています。
 『本校の創立記念日は5月20日であるが、それは昭和55年が開校であるので5月とし、工事の鍬入れが6月20日であったことから20日を選び、5月20日とした。』
 また、創立10周年記念誌には、昭和57年5月20日に、校舎落成・校旗樹立記念式典が盛大に執り行われ、本校第2代校長花村冨士男先生が式辞で「今日、学校がこのように立派に完成したのは、地域の人々をはじめとする県民の協力の賜である。人間は一人では生きられない。両親をはじめとして社会の人々や大自然の恵みに報いるために真剣に学んでほしい。………本校は国際理解教育を特色とし、成果を挙げているが単なるコスモポリタンになることなく、自国認識を深め自ら郷土を愛し、国を愛する、すばらしい誇り高き日本人になってほしい。」と生徒を励ましたとあり、現同窓会長である四十物英晴先輩が生徒代表として「開校時の不自由さが、かえって宇北高の基礎づくりの意欲をかきたてた。あとに続く後輩のためにも、独自の校風と伝統を持ち、存在感ある学校になるよう一同努力する」と力強い誓いの挨拶を行ったと記されています。
 コロナウイルス感染症によって世界が劇的に変化している今、創立当時に思いを致し、宇都宮北高校のアイデンティティーを考える日としてください。
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校長室より「臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針」について

栃木県教育委員会より、「臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針」が発表されました。全文につきましては、栃木県教育委員会のホームページを御覧ください。
本校では、この指針をもとに学校再開に向けた準備を進めてまいります。
しかしながら、本校は県内最大規模の学校であるため、指針に示された目安通りにはゆかない面がございます。その点、生徒・保護者の皆様には御理解と御協力を賜りますようお願いします。具体的な方法については追って御連絡いたしますのでお待ちください。
以下に、指針に掲載された栃木県教育長の言葉を掲載いたします。


はじめに

 令和2年2月に本県で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、これまで県内55 件の発生が確認されています(5月8日現在)。

 この間、県立学校では、国の要請を受け、令和2年3月2日から春休みまでの期間、学校保健安全法に基づく臨時休業の措置をとりました。その後、東京都をはじめとする7都県(本県を除く)に対する緊急事態宣言(4月7日~5月6日)の発令に伴い、県立学校を始業式の翌日から4月22 日まで臨時休業としました。さらに4月17 日には、緊急事態宣言が全都道府県に拡大され、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく知事の要請を受け、県立学校の臨時休業を5月6日まで延長することとしました。

 そして4月30 日、依然として県内に感染拡大の危機感が広がっていることから、児童生徒の安全・安心に最大限配慮するため、臨時休業を5月31 日まで再延長することを決め、現在に至っています。また、国では、5月4日に緊急事態宣言を5月31日まで延長することを決めました。

 このように私たちは、3月から約3ヶ月にわたって、県立学校における教育活動が行われていないという未曽有の事態に直面しています。児童生徒の皆さんは、学校生活という日常から離れるとともに、外出の自粛など行動の制約が求められる中、辛い毎日を過ごされていることと思います。

 学校は本来、友人らとともに学び、人とのふれあいの素晴らしさを実感して日々成長していく場所であります。残念ながら現状では、こうした学校教育を受ける機会が長期にわたって失われております。一方で、児童生徒の安全を確保し、保護者の皆様が安心して子どもたちを学校に預けられるようにすることも大切なことです。教育を受ける機会の確保と児童生徒の安全の確保という2つを、可能な限り両立させながら、学校運営の舵取りをしていくことが各学校には求められていると言えます。

 そこで県教育委員会では、臨時休業中の学校運営に関する県立学校の指針を作成し、これを公表することといたしました。保護者及び県民の皆様におかれましては、何卒御理解、御協力をいただきますようお願い申し上げます。

 また、各県立学校では、この指針を踏まえ、校長のリーダーシップの下、臨時休業中の分散登校日の設定をはじめ、家庭学習の充実に向けた工夫、児童生徒に対する学習支援の工夫、さらには学校における感染防止対策の工夫等、万全の態勢を整えていただきますよう、お願いいたします。

令和2年5月8日

栃木県教育委員会 教育長 荒川 政利

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校長室より「藤沢周平『山桜』『小川の辺』」

 第3回は、藤沢周平さんの『山桜』と『小川の辺』です。
 映画の主演は、どちらも少年隊の東山紀之。凜々しい武士の姿が印象的でした。殺陣は・・・。もちろん『小川の辺』に出演したKis-My-Ft2の二階堂君とは比べようもない見事な殺陣でしたが。
  妻役は、『山桜』は田中麗奈、『小川の辺』は尾野真千子。田中麗奈さんと私は、NHK-BSで放送された『旦那様はFBI』というノンフィクションドラマで共演しています。と言ってもほんの一瞬エキストラで出ただけなので、クレジット(エンドロール)に名前も出ず、一緒に見ていた家族にも気づいてもらえませんでした。
 『小川の辺』は、『山桜』を見た藤沢周平氏の奥様がたいへん気に入り、映画化につながったということです。
 どちらも、江戸時代の架空の藩「海坂藩(うなさかはん)」を舞台にした時代小説です。
 映像では、とにかく草木の「緑」がとても美しく感じました。そういえば、篠原監督初の16mm作品は『草の上の仕事』という、二人の青年(一人は爆笑問題の太田光)がただただ草を刈るもの。その時から草の緑をきれいに撮ると感じていました。
 北高の校内も今は新緑がとても美しいです。この清々しい緑を旬の時期に皆さんに見てもらえないのが残念です。
 「山桜」というと、私は江戸時代の国学者、本居宣長の詠んだ「敷島の 大和心(やまとごころ)を 人問はば 朝日ににほふ 山桜花(やまざくらばな)」という和歌を思い出します。日本人の精神とは何だろうと思う時に、必ずこの和歌が口を衝いて出てきます。皆さんにとって日本人の精神とは何でしょう。
 因みに、「敷島の」は、『大和(やまと)』にかかる枕詞。他にどんな枕詞があるか国語便覧で確認しましょう。
 さて、藤沢周平作品では、『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』なども映画化されていますが、高校生の皆さんには『蝉しぐれ』がおすすめです。
 長編ですが、主人公牧文四郎に共感し、作品の世界に引きずり込まれることでしょう。時代小説の名手、藤沢周平の世界を堪能できます。
  次回は、いくえみ綾さんの『プリンシパル』です。


 

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校長室より「インターハイ中止を受けて」

 全国高等学校総合体育大会の中止が決定されました。
 この報に接し、どれほどの生徒・保護者・先生方が涙したことでしょうか。私自身も受け止めきれません。
 選抜がなくなり、関東大会がなくなり、集大成の全国大会に挑戦することもできずに高校部活動が終わってしまう。さぞかし無念でしょう。
 私は高校3年のインターハイ予選まで部活動中心の高校生活でした。結局全国大会にも関東大会にも出場することはできませんでした。強かったわけでもなく、実績も残していませんが、最後までやりきったことが今も私の支えになっています。ですから、3年生には結果はどうあれ、最後までやりきったという思いを持ってもらいたかったのです。
 一昨日、学校の敷地をくまなく歩きました。グランドも体育館も誰一人いない虚しい空間ではありましたが、一方で皆さんの帰りを待ち焦がれる場でもありました。
 野球部についてはまだ希望が残るものの、他の運動部では、ここに3年生が現役部員として大会に向けた姿を見せることはないのかと思うと残念でなりません。
 3年生に限らず、誰もが「なんで。」と思っていることでしょう。一刻も早い学校再開のために、外出を控え窮屈な生活を我慢しているのに報われることがないのかと。
 でも改めて考えてください。今私たちが直面している現実はそれほど厳しいものなのだと。ここで心折れることなく気持ちを強く持つことが必要なのだと。
 コロナ終息までの期間もそうですが、コロナ終息後の世界は、今まで私たちが経験してきた世界とは全く異なることでしょう。その世界に適応し、新たなステージで活躍できるよう力を蓄えておきましょう。
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校長室より「恩田陸『木曜組曲』ほか」

 篠原監督作品を使った読書紹介の2回目は、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、恩田陸さんの小説を原作として作られた映画としては、昨年公開された石川慶監督の「『蜜蜂と遠雷』が直近なので、まずはそちらから。
 『蜜蜂と遠雷』は、史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)のW受賞を果たした傑作。恩田さんにとっては『夜のピクニック』以来の二度目の本屋大賞受賞作となります。
 風間塵16歳、栄伝亜夜20歳、高島明石28歳、マサル・C・レヴィ=アナトール19歳の4人の若きピアニストの姿が国際ピアノコンクールを舞台に描かれています。
 音楽の知識がない私でも作品の世界に引き込まれ、わくわくしながら一気に読み切ってしまいました。1次予選から3次予選、本選で演奏される曲を知る人にとっては、演奏を頭に浮かべながら、いや4人の演奏をあたかも実際に耳にしているように感じながら読み進めることができるのだろうなと羨ましく思いながら読みました。
 ピアノを題材とした映画で小説を原作としたものには、一昨年公開された宮下奈都さん原作で橋本光次郎さんが監督した『羊と鋼の森』があります。
 『羊と鋼の森』は、2016年・第13回本屋大賞を受賞した作品。
 将来の夢もなく生きていた主人公が、高校でピアノ調律師と出会い、その音色に魅せられ専門学校を出て調律師として働くなかで人間として成長していく姿が描かれています。特に、高校生の姉妹との交流の場面は胸に熱く迫るものがあります。
  さて、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、この小説は、恩田さんが作家を専業とした後、1999年に単行本が刊行され、2002年2002年に映画化さた作品です。
 謎の死を遂げた耽美派女流作家を偲んで集まった5人の女性たちが、その死の謎を解明していく密室ミステリーと言われるものです。登場人物一人ひとりが個性的で、重層的な深みのある作品で面白く読めました。
 因みに、耽美派の作家といえば誰がいますか?国語便覧を開くとわかりますよ。
 次回は、藤沢周平さんの『山桜』『小川の辺』を紹介します。
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校長室より「夢枕獏『陰陽師』」

 前回、「読書については、今後、できるだけ紹介していこうと思います。」と記しましたが、何を紹介しようかと思い悩み、皆さんが取りかかりやすいように映像化された本の紹介をすることにしました。
 私の好みだけで選んでいくと偏りが出てしまうので、映画監督をしている友人、大学の剣道部(体育会ではありません)の同期、篠原哲雄君が監督したものから紹介したいと思います。彼はオリジナル作品も多くありますが、文学作品の映画化を頼まれることが多く多岐にわたるので、偏りなく紹介できるかと思います。
 第1回は、3月29日(日)午後9時からテレビ朝日で放送された『陰陽師』。
 夢枕獏さんの代表作『陰陽師』は、野村萬斎主演の映画もありますが、テレビ版は佐々木蔵之介主演でした。余談ですが、篠原君が監督した映画『花戦さ』は野村萬斎主演でした。こちらは後ほど紹介します。
 さて、『陰陽師』は、平安時代に実在した安倍晴明(あべのせいめい)を主役とした作品。シリーズ化されていて、はまるとたいへん。
 陰陽師について気になったら、皆さんの持っている国語便覧を開いてください。
 12ページか44ページ(平安京のページ)に安倍晴明の屋敷が都のどこにあったかが載っています。
  35ページか56ページ(信仰のページ)には、陰陽道の解説(物忌や方違など)があります。
 134ページか144ページ(『大鏡』の描く人物像のページ)には、平安時代の歴史物語『大鏡』の中の「花山天皇の出家」に安倍晴明が出てくるシーンが記されています。因みに、『大鏡』は私の大学の卒業論文のテーマ(「大鏡研究-主として東松本と流布本の相違について-」)です。
 次回は、恩田陸さんの『木曜組曲』を紹介します。
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校長室より「命を守り、力を蓄えよう。」

 生徒の皆さん、再度の臨時休業となって一週間が過ぎました。自宅で過ごす日々、どんなことを考えながら過ごしたでしょうか。
 外出もままならず、部活もできず友達とも会えず、窮屈な寂しい日々と感じている人がほとんどではないでしょうか。
 そんななか、昨日、国の緊急事態宣言が全国に拡大されました。
 22日までとされた本県の臨時休業も延長されるだろうことが報道されました。
 更に窮屈で寂しい日が続くのかと思うことでしょうが、改めて、皆さん一人ひとりが自分の命、家族の命、友人の命、社会を守る行動をとることに努めてください。
 先行きの見えない不安を誰もが抱くことでしょう。
 でも、明けない夜はありません。
 希望の光は必ず訪れます。
 今は地中でじっと耐え、地上に出て光を浴びた時に勢いよく成長できるよう、たっぷりと栄養を蓄えておいてください。
 今、どれだけ栄養を蓄えておくことができるかによって、皆さんの飛躍の度合いが決まってきます。
 皆さんにとっての栄養とは、学力と体力、そして人間力です。
 学力については、先生方が皆さんにあてて様々なメッセージを発しています。まずは、与えられた課題に取り組み、さらに発展的な学習に取り組んでください。
 体力については、自宅でできる体力作りの方法がネット等で紹介されています。私は、全日本剣道連盟のHPで公開されている筋力トレーニングをしています。
 人間力については、読書によって高めてください。図書館も閉まっていて新たな本の入手は難しい時ですが、青空文庫などのようにネット上で無料で読める本がたくさんあります。この機会に、今まで接することのなかった世界に触れてください。
 読書については、今後、できるだけ紹介していこうと思います。
 ピンチをチャンスに変えましょう。
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校長室より(4/9)

 生徒の皆さん、臨時休業となった今日一日をどう過ごしたでしょうか。
 北高の先生方は、皆さんのことを考えて一日中大忙しでした。
 その一端がこのHPに表れています。皆さんへ向けたメッセージが発信されています。それぞれに目を通してください。
 私からは昨日の始業式で話したことに関連して一点だけ。
 正しい情報の入手に努めてください。多くの皆さんはスマホやパソコンによってネット上のニュースを見るていると思いますが、ネット上に挙げられている情報には、出所のはっきりしない不確かなものや誤ったもの、作為的に嘘の情報を流したものなどがありますので注意が必要です。必ず信頼できるものか確認してください。やはり安心なのは全国紙や地方紙と言われる新聞社の出しているものでしょう。全国紙の中には、ネットで無料で見られるものもありますので利用してください。できればこの機会に、各家庭に届けられる新聞を読む習慣をつけてください。
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