日誌

校長室だより

校長室より「インターハイ中止を受けて」

 全国高等学校総合体育大会の中止が決定されました。
 この報に接し、どれほどの生徒・保護者・先生方が涙したことでしょうか。私自身も受け止めきれません。
 選抜がなくなり、関東大会がなくなり、集大成の全国大会に挑戦することもできずに高校部活動が終わってしまう。さぞかし無念でしょう。
 私は高校3年のインターハイ予選まで部活動中心の高校生活でした。結局全国大会にも関東大会にも出場することはできませんでした。強かったわけでもなく、実績も残していませんが、最後までやりきったことが今も私の支えになっています。ですから、3年生には結果はどうあれ、最後までやりきったという思いを持ってもらいたかったのです。
 一昨日、学校の敷地をくまなく歩きました。グランドも体育館も誰一人いない虚しい空間ではありましたが、一方で皆さんの帰りを待ち焦がれる場でもありました。
 野球部についてはまだ希望が残るものの、他の運動部では、ここに3年生が現役部員として大会に向けた姿を見せることはないのかと思うと残念でなりません。
 3年生に限らず、誰もが「なんで。」と思っていることでしょう。一刻も早い学校再開のために、外出を控え窮屈な生活を我慢しているのに報われることがないのかと。
 でも改めて考えてください。今私たちが直面している現実はそれほど厳しいものなのだと。ここで心折れることなく気持ちを強く持つことが必要なのだと。
 コロナ終息までの期間もそうですが、コロナ終息後の世界は、今まで私たちが経験してきた世界とは全く異なることでしょう。その世界に適応し、新たなステージで活躍できるよう力を蓄えておきましょう。
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校長室より「恩田陸『木曜組曲』ほか」

 篠原監督作品を使った読書紹介の2回目は、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、恩田陸さんの小説を原作として作られた映画としては、昨年公開された石川慶監督の「『蜜蜂と遠雷』が直近なので、まずはそちらから。
 『蜜蜂と遠雷』は、史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)のW受賞を果たした傑作。恩田さんにとっては『夜のピクニック』以来の二度目の本屋大賞受賞作となります。
 風間塵16歳、栄伝亜夜20歳、高島明石28歳、マサル・C・レヴィ=アナトール19歳の4人の若きピアニストの姿が国際ピアノコンクールを舞台に描かれています。
 音楽の知識がない私でも作品の世界に引き込まれ、わくわくしながら一気に読み切ってしまいました。1次予選から3次予選、本選で演奏される曲を知る人にとっては、演奏を頭に浮かべながら、いや4人の演奏をあたかも実際に耳にしているように感じながら読み進めることができるのだろうなと羨ましく思いながら読みました。
 ピアノを題材とした映画で小説を原作としたものには、一昨年公開された宮下奈都さん原作で橋本光次郎さんが監督した『羊と鋼の森』があります。
 『羊と鋼の森』は、2016年・第13回本屋大賞を受賞した作品。
 将来の夢もなく生きていた主人公が、高校でピアノ調律師と出会い、その音色に魅せられ専門学校を出て調律師として働くなかで人間として成長していく姿が描かれています。特に、高校生の姉妹との交流の場面は胸に熱く迫るものがあります。
  さて、恩田陸さんの『木曜組曲』ですが、この小説は、恩田さんが作家を専業とした後、1999年に単行本が刊行され、2002年2002年に映画化さた作品です。
 謎の死を遂げた耽美派女流作家を偲んで集まった5人の女性たちが、その死の謎を解明していく密室ミステリーと言われるものです。登場人物一人ひとりが個性的で、重層的な深みのある作品で面白く読めました。
 因みに、耽美派の作家といえば誰がいますか?国語便覧を開くとわかりますよ。
 次回は、藤沢周平さんの『山桜』『小川の辺』を紹介します。
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校長室より「夢枕獏『陰陽師』」

 前回、「読書については、今後、できるだけ紹介していこうと思います。」と記しましたが、何を紹介しようかと思い悩み、皆さんが取りかかりやすいように映像化された本の紹介をすることにしました。
 私の好みだけで選んでいくと偏りが出てしまうので、映画監督をしている友人、大学の剣道部(体育会ではありません)の同期、篠原哲雄君が監督したものから紹介したいと思います。彼はオリジナル作品も多くありますが、文学作品の映画化を頼まれることが多く多岐にわたるので、偏りなく紹介できるかと思います。
 第1回は、3月29日(日)午後9時からテレビ朝日で放送された『陰陽師』。
 夢枕獏さんの代表作『陰陽師』は、野村萬斎主演の映画もありますが、テレビ版は佐々木蔵之介主演でした。余談ですが、篠原君が監督した映画『花戦さ』は野村萬斎主演でした。こちらは後ほど紹介します。
 さて、『陰陽師』は、平安時代に実在した安倍晴明(あべのせいめい)を主役とした作品。シリーズ化されていて、はまるとたいへん。
 陰陽師について気になったら、皆さんの持っている国語便覧を開いてください。
 12ページか44ページ(平安京のページ)に安倍晴明の屋敷が都のどこにあったかが載っています。
  35ページか56ページ(信仰のページ)には、陰陽道の解説(物忌や方違など)があります。
 134ページか144ページ(『大鏡』の描く人物像のページ)には、平安時代の歴史物語『大鏡』の中の「花山天皇の出家」に安倍晴明が出てくるシーンが記されています。因みに、『大鏡』は私の大学の卒業論文のテーマ(「大鏡研究-主として東松本と流布本の相違について-」)です。
 次回は、恩田陸さんの『木曜組曲』を紹介します。
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校長室より「命を守り、力を蓄えよう。」

 生徒の皆さん、再度の臨時休業となって一週間が過ぎました。自宅で過ごす日々、どんなことを考えながら過ごしたでしょうか。
 外出もままならず、部活もできず友達とも会えず、窮屈な寂しい日々と感じている人がほとんどではないでしょうか。
 そんななか、昨日、国の緊急事態宣言が全国に拡大されました。
 22日までとされた本県の臨時休業も延長されるだろうことが報道されました。
 更に窮屈で寂しい日が続くのかと思うことでしょうが、改めて、皆さん一人ひとりが自分の命、家族の命、友人の命、社会を守る行動をとることに努めてください。
 先行きの見えない不安を誰もが抱くことでしょう。
 でも、明けない夜はありません。
 希望の光は必ず訪れます。
 今は地中でじっと耐え、地上に出て光を浴びた時に勢いよく成長できるよう、たっぷりと栄養を蓄えておいてください。
 今、どれだけ栄養を蓄えておくことができるかによって、皆さんの飛躍の度合いが決まってきます。
 皆さんにとっての栄養とは、学力と体力、そして人間力です。
 学力については、先生方が皆さんにあてて様々なメッセージを発しています。まずは、与えられた課題に取り組み、さらに発展的な学習に取り組んでください。
 体力については、自宅でできる体力作りの方法がネット等で紹介されています。私は、全日本剣道連盟のHPで公開されている筋力トレーニングをしています。
 人間力については、読書によって高めてください。図書館も閉まっていて新たな本の入手は難しい時ですが、青空文庫などのようにネット上で無料で読める本がたくさんあります。この機会に、今まで接することのなかった世界に触れてください。
 読書については、今後、できるだけ紹介していこうと思います。
 ピンチをチャンスに変えましょう。
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校長室より(4/9)

 生徒の皆さん、臨時休業となった今日一日をどう過ごしたでしょうか。
 北高の先生方は、皆さんのことを考えて一日中大忙しでした。
 その一端がこのHPに表れています。皆さんへ向けたメッセージが発信されています。それぞれに目を通してください。
 私からは昨日の始業式で話したことに関連して一点だけ。
 正しい情報の入手に努めてください。多くの皆さんはスマホやパソコンによってネット上のニュースを見るていると思いますが、ネット上に挙げられている情報には、出所のはっきりしない不確かなものや誤ったもの、作為的に嘘の情報を流したものなどがありますので注意が必要です。必ず信頼できるものか確認してください。やはり安心なのは全国紙や地方紙と言われる新聞社の出しているものでしょう。全国紙の中には、ネットで無料で見られるものもありますので利用してください。できればこの機会に、各家庭に届けられる新聞を読む習慣をつけてください。
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