調査研究通信

令和7(2025)年度 高等学校における教科指導充実に関する調査研究 『授業実践』農業科・工業科・商業科

「深い学びを促す単元(題材)を見通した授業デザインの工夫」というテーマに基づき、研究協力委員の先生方による授業を取材させていただきました。今回は、農業科、工業科、商業科の授業の様子について報告します。

「農業科(「農業経営」)」

「農業マーケティングの概要」について学ぶ単元において、9・10時間目となる本時では、班ごとに担当した地域農産物(イチゴ、ニラ、かんぴょう、牛乳)の調査結果を発表し合いました。農産物の栽培の歴史や生産状況、今後の市場拡大の可能性、魅力を広げるためのアイデアなどを、写真やグラフを用いてパワーポイントとワークシートにまとめ、それらを基に発表を行いました。自主的に準備を進める生徒や、農産物クイズを取り入れて発表に工夫を凝らす生徒も見られ、単元を通じて生徒の主体性が引き出されていました。

「工業科(「工業情報数理」)」

「アルゴリズムとプログラミング」について学ぶ単元において、8時間目となる本時では、身の回りの工業製品の流れ図を考え、スクラッチでブロックプログラムを作成し、マイクロビットで動作させる活動を行いました。生徒はグループに分かれ、前時に学習した温度センサや光センサなどを用いて自動点滅器の仕組みを表現し、作成したプログラムを発表しました。他グループの意見を取り入れることで、プログラミング的な視点をより深めることができました。さらに、グループで協働してプログラムをよりよく改善しようと取り組む様子が見られ、今後学習するC言語の単元においても、プログラムの設計・開発に主体的に取り組んでいけると考えられます。

「商業科(「ネットワーク活用」)」

「情報コンテンツの制作」について学ぶ単元において、7時間目となる本時では、前時に作成した店頭用のPOP広告の発表を行い、その後POP広告とネット広告の違いについてグループで話し合いました。商品の購入を訴えかけるターゲット層や広告を見た人に与える印象を意識して、店頭でのPOP広告とネット広告について、相違点や作成する上での工夫や配慮する点などについて考えました。「商品の情報を的確に伝え、消費者の購買意欲を高めるにはどうしたらよいか」という問いに対して積極的に意見交換がなされ、情報コンテンツを制作する上での工夫や配慮について学びを深めていました。

  

どの教科においても、生徒が問いを探究して学びを深める過程が大切にされており、その中で思考の深まりや主体性の伸長が見られました。さらに、生徒が笑顔でいきいきと活動し、学びを楽しみながら自らの考えを広げていく姿が印象的でした。