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校長室だより

校長室より「横山秀夫『影踏み』」

 図書紹介第5回は、横山秀夫さんの『影踏み』です。
 通常登校後も、図書紹介を継続していきたいと思います。ただ、今までの映画原作を中心としたものだけでないものも随時とりあげていきたいと考えております。
 さて、横山秀夫さんは、最新作『ノースライト』が、2020年本屋大賞第4位(大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。)となり、『クライマーズハイ』『半落ち』『64』など有名作品を多く持つ作家です。『ノースライト』は、横山ミステリー史上最も美しい謎と謳われる作品ですので、長編ですがミステリー好きに限らず挑戦してはいかがでしょうか。
 『影踏み』は、横山氏と、篠原監督、主演の山崎まさよしさんが意気投合し映画化となったという裏話があります。主人公の意識の中に、亡くなった双子の弟が存在するという設定で、のび師という犯罪者が主人公となるため、篠原監督からは「高校生にすすめるのはどうなのかわからない。笠原が見て大丈夫と思ったら紹介してくれ。」と封切り前に言われました。映画では小説に比べ明るい結び方となっていました。
 因みに、山崎まさよし主演の篠原作品は、『月とキャベツ』『けん玉(『Jam Films』内の一編)』に続く三作目。『月とキャベツ』が山崎さんの映画デビュー作となってから篠原監督と親交が深まり、篠原の結婚披露宴では、ギターを弾きながらセロリを歌ってくれました。演奏前、披露宴会場の中にあるバーカウンターで私がウイスキーを飲んでいる隣に山崎さんが来て5分ほど一緒に飲みました。といっても、お互いに何を語るということもなくただグラスを傾けるという貴重な経験に内心緊張していた自分がいたことを覚えています。
 次回は映画を離れて、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。
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