栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 71 モクズガニ

                栃高博物館 71 モクズガニ(藻屑蟹)

     分類 甲殻亜門 エビ目 カニ下目 イワガニ科 モクズガニ属 モクズガニ種
    学名 Eriocheir japonica
   英名 Japanese mitten crab
   大きさ 甲幅 7~8cm
   分布 日本各地 アジア一帯

   この標本の甲幅は約7cmあるので成長した大人のカニと思われます。また、
ハサミ脚にはたくさんの毛が生えています。まるで藻が生えているように(藻屑)。
mittenn crab(手袋ガニ)の名前もここからきています。このカニは体液の浸透圧
調節が素晴らしく発達しており、海水から淡水まで生活することができます。生物
の教科書にも載っています。高級食材の上海ガニは同じ仲間です。
  

栃高博物館 70 ナメクジウオ

         栃高博物館 70 ナメクジウオ

      分類 脊索動物門 頭索動物亜門 ナメクジウオ綱
     学名 Branchiostoma berucheri
     英名 Lancelet 
     大きさ 3~5cm
     分布 世界中の暖かい浅海、愛知県蒲郡市三河大島と広島県三原市有竜島は
         ナメクジウオの生息地として天然記念物に指定

   名前がどうも、という人がいると思います。たしかに色合いと大きさがぴったりですが。
  しかしこの生物、大変な秘密があるのです。魚類、両生類、は虫類、鳥類、ほ乳類は
  「脊椎動物」ですが、その直接の祖先がナメクジウオなのです。化石はカンブリア紀の
  バージェス動物群(カナダ)の一つとして発見された「ピカイア」です。(5億1500万年前)
  顎が無く、海水を吸い込んで鰓で濾過して食べます。
   

栃高博物館 69 ネコザメの卵嚢

          栃高博物館 69 ネコザメの卵嚢

    分類 軟骨魚綱 ネコザメ目 ネコザメ
    学名 Heterodontus japonicus
    英名 Japanese bullhead shark
    大きさ 最大120cm
    分布 太平洋北西部 日本では北海道以南
   
 ネコザメは水族館の人気者です。茶色っぽい体色に黒い横帯が入ります。横といってもこれは 頭を上
にした縦横で(生物の縦横は常に頭が上です)、魚は横になった状態なので、縦帯に見えます。目の上
に皮膚の隆起があり、日本ではこれを猫の耳に、英名では牛の角に見立てて、名前がついています。
 ネコザメの卵嚢は螺旋状のひだが特徴です。これで岩の隙間などに固定されます。約1年かけて成長
し、生まれるとすでに、18cmぐらいあります。
  

栃高博物館 68 ヨツアナカシパン 

                     栃高博物館 68 ヨツアナカシパン 

    分類 ウニ綱 タコノマクラ目 ヨツアナカシパン科
    学名 Peronella japonica
    英名 Seabiscuit,Sand doller
    大きさ この標本は約4cm
    分布 世界中

   「菓子パン」です。英名はシービスケット(海のビスケット、菓子パンと同じ発想)、サンドダラー
  (荒野の1ドル銀貨ならぬ砂の中の1ドル硬貨)。浅海の砂底にいる薄っぺらなウニで非常に短い
  棘があります。これは死んで砂浜に打ち上げられたもので、よく見かけます。向こうが見えるような
  大きな穴が開いていればスカシカシパンで、これは中央に小さな穴(生殖孔-卵や精子の出口)
  が4つあるのでヨツアナカシパンといいます。表面にはヒトデ模様があります。ウニもヒトデも同じ
  仲間で、共通項は「五放射相称」です。
   

栃高博物館 67 ゴンズイ  

          栃高博物館 67 ゴンズイ

         分類  硬骨魚綱ナマズ目
    学名  Plotosus japonicus
         英名なし
         大きさ10cm~20cm
         分布日本沿岸 
       
       (japonicus)なので英名なしです。ヒゲはナマズ目の特徴です。本数も多く立派ですね。
   「ゴンズイ玉」といって集団で行動する習性があり、私も館山の海で見たことがあります。
   この集団形成にはフェロモンが関わっているそうです。ひれに毒があるので、触るときに
   注意か、それより触らないことです。
    

栃高博物館 66 イカとタコ

          栃高博物館 66 イカとタコ

     分類 軟体動物門 頭足綱 イカは十腕形上目 タコは八腕形上目
     英名 イカ squid、Cuttlefish(甲イカ)
         タコ Octopus(8本足という意味)、devilfish(悪魔の魚)

 イカ(左)とタコ(右)を並べて撮影してみました。同じ頭足綱に属します。本当は頭足ではなく体と足
です。足の付け根に漏斗(ロート)という出水管があり、ジェット水流を足先方向に噴出し体前方に泳ぎ
ます。この写真では下向きですね。漏斗の両側にはすばらしく進化した眼があります。細長いイカの体
には透明でペラペラの骨(エンペラ)があり、丸い体のタコにはありません。私たちの食生活を豊かにし
てくれますが、日本以外ではあまり食べないようです。デビルフィシュですからね。タコは飼育しやすい
ですが、イカは難しい。水族館でイカ見たことありますか。タコの体にイカのようなひれがついていたら
それはタコではなく、イカなのでしょうか。変な質問ですが答えは「タコ」です。深海には通称「ダンボ」
というタコがいて、丸い体についたひれで優雅に泳ぎます。イカタコ話でした。
   

栃高博物館 65 サメの歯とアンモナイト

            栃高博物館 65 サメの歯とアンモナイト
    
       サメの歯 (軟骨魚綱 Shark teeth) 軟骨魚なので、骨はほとんど化石になりませんが、歯は
  硬く化石になります。またサメの歯は数が多く、生え替わるので、たくさん発見されています。サメは
  4億年前の古生代に現れ、現在も繁栄しています。この標本の歯を側面に沿ってはかると3.5cm
  ありますが、世界最大のサメの歯の化石は18cmあります。歯の大きさから推定すると、大きさ20m
  以上、体重25t以上だそうです。名を「メガロドン」といいます。
   アンモナイト (軟体動物門 頭足綱 Ammonite) 古生代シルル紀から中生代白亜紀末まで
  およそ3億5000万年繁栄した生物です。(三葉虫より長いがサメより短い!)今も生きているのが
  オウムガイです。三葉虫と同様に示準化石となっています。この標本は2cmですが、最大は直径
  2mです。不思議なことに恐竜とともに絶滅しています。
  

栃高博物館 64 三葉虫

                     栃高博物館 64 三葉虫

            分類 節足動物門 三葉虫綱
     学名 Trilobita
     英名 Trilobite
    
   古生代の示準化石です。古生代の初期(カンブリア紀)に現れ、大繁栄し古生代の終期(ペルム紀)
  に絶滅しました。5億年から2.5億年前まで、2億5000万年の長きにわたり生存した生物です。これ
  は恐竜よりも長いのです。ヒトは猿人まで遡ってもたかだか400万年です。 
   美しい棘のある化石は美術品のように高価なものもあります。この標本は、奥が8cmで手前が4.5
  cmです。特に手前の標本は「三葉」、「Tri-(3という意味)」がよくわかります。大きなものでは40cm
  以上もあるそうです。       
   

栃高博物館 63 モモイロサンゴ・アカサンゴ

           栃高博物館 63 モモイロサンゴ・アカサンゴ

    分類 刺胞動物門 花虫綱 
    学名 Corallium elatius(モモイロサンゴの学名、ラベルにも書いてある)
    英名 Coral

  上がモモイロサンゴで(土佐産)の文字が見えます。下はアカサンゴで箱の名札は消えていました。
 しかしこんな文字が読み取れました。「動物標本社製造」 東京市神田區五軒町一番地。東京市は
 1889年(明治22年)から1943年(昭和18年)までの間に存在していました。その後はもちろん
 東京都です。
   この2つのサンゴは、宝石サンゴと呼ばれています。高知沖の深海で採取されるものは、特に
 美しく、世界的に有名で、高値で取引されています。赤(紅)サンゴは「血赤」と呼ばれ、品質がよく
 海外へ大量に輸出されました。この標本も、もしかすると本物のお宝かもしれません。
   
   
    

栃高博物館 62 ホウズキガイ

                  栃高博物館 62 ホウズキガイ(チョウチンガイ)

    分類 腕足動物門 
    学名 Brachiopoda
    英名 lamp shell
    大きさ 標本の殻の横径は約2cm
    
   右の写真を見ると二枚貝のように見えますが、左の写真は殻を外して中が見えるようになって
 います。触手の一部が残っていて、二枚貝にある軟体部はありません。貝柱もありません。実は
 この生き物、古生代の示準化石になっていて、名前をスピリファーといいます。軟体動物ではなく
 腕足動物という全く違うグループに属します。九州の有明海には同じ仲間のシャミセンガイが豊富
 にいて食用になっています。ただし貝の中身は硬くて食べられず、この標本では脱落してありませ
 んが、殻から出ている筋肉質の肉茎を食べます。
  ラベルには「ホウヅキガイ」そして「栃」が消えた「木中學校」が確認できます。