栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 140 液浸標本類

               栃高博物館 140 液浸標本類

   紹介しきれない液浸標本類が、まだたくさんあります。明治、大正、昭和と長い年月の間に
 購入されたものです。今では手に入らない標本もあります。



栃高博物館 139 貝類の標本箱

          栃高博物館 139 貝類の標本箱

      
      巻貝や二枚貝が、一つ一つ袋に入っています。名前のタグもついています。
    標本への愛が感じられる作品です。



栃高博物館 138 展翅標本2

           栃高博物館 138 展翅標本2

         上段は トンボ類、甲虫類です。中央ひときわ大きいトンボはオニヤンマです。
  県庁堀でよく見かけます。右側中央には、今ではあまり見かけなくなったタマムシ
  がいます。
    下段はバッタ類、八チ類、蛾の仲間もいます。中央、黒地の羽にV模様は、
  ホタル蛾の仲間です。



栃高博物館 137 展翅標本

              栃高博物館 137 展翅標本

  標本類はまだたくさんありますが、今回は、昆虫、特に蝶類の羽を広げた
 展翅標本集を紹介します。
 上段のコレクションはカラスアゲハ、アゲハチョウ、白チョウ、黄チョウの仲間です。
 下段はタテハチョウ、ジャノメチョウ、シジミチョウなどの仲間です。
 



栃高博物館 136 カイメンガニ(海綿蟹)

        栃高博物館 136 カイメンガニ(海綿蟹)

分類 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 十脚目 クモガニ科
学名 Acanthophrys longispinus
大きさ 大きいもので甲幅23mm(標本は15mm)
分布 東京湾以南

 甲および胸脚に海綿類を付着する性質が強いカニです。
残念ながら標本は脚が取れ、甲羅のとげも折れてしまいました。
でも、ラベルが素晴らしいです。
「かいめんがに」大正 5年 8月  
三崎(神奈川県、三浦半島の端、マグロで有名)

栃高博物館 135 ヒシガニ(菱蟹)

           栃高博物館 135 ヒシガニ(菱蟹)

分類 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 十脚目 ヒシガニ科
学名 Platylambrus validus
英名  elbow crab(肘カニ)
大きさ 甲幅 2~5cm(標本は5cm)
分布   房総半島以南

 食性は動物食で魚やカニを食べます。体全体が菱型をしています。
折れ曲がった長いはさみ脚が特徴的です。英名のelbowは
「肘 ひじ」のことで、このカニにぴったりの名前ですね。

栃高博物館 134 シオマネキ(潮招)

             栃高博物館 134 シオマネキ(潮招)

分類 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 十脚目 スナガニ上科
学名  シオマネキ属 Uca
英名  Fiddler crab
大きさ 横長の甲羅幅20mm~40mm)
分布   熱帯、亜熱帯地域の河口

 オスのはさみ脚が大きいのが一番の特徴です。この大きな
はさみ脚を振る姿が潮を招いているように見えるのでこの名前が
あります。実はこの行動は「求愛行動」でwavingといいます。
英名のFiddlerは、ヴァイオリン弾きのことです。
演奏中の弦がそう見えるのでしょう。
  ラベルは(Gelasimus)これは亜属名です。
相模海産 シホマネキ 大正五年六月採集  
ラベルの記述も貴重な資料です。



栃高博物館 133 ベンケイガニ(弁慶蟹)

   栃高博物館 133 ベンケイガニ(弁慶蟹)

分類 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 十脚目 ベンケイガニ科
学名  Sesarmops intermedium
大きさ 甲羅幅35mmくらい
分布   男鹿半島と房総半島以南

 甲羅の厳つい姿からこの名前があります。汽水域に生息し夜行性。
食性は雑食性で何でも食べます。大切な掃除屋さんです。卵から
孵化するとゾエア幼生、メガロパ幼生を経て、成体になります。

栃高博物館 132 イソガニ(磯蟹)

          栃高博物館 132 イソガニ(磯蟹)

分類 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 十脚目 イワガニ上科
学名  Hemigrapsas sanguineus
英名  Japanese shore crab
大きさ 甲羅30mmくらい
分布   西太平洋沿岸

 砂地にはいませんが、転石・磯・防波堤・テトラポッドなど
隠れるところがあれば生息できます。よく見かけるカニです。
雑食性で海藻・ゴカイ・小魚・貝類などを食べます。天敵は
鳥・タコ・クロダイなどで、クロダイの釣り餌になっています。

栃高博物館 131 バイ貝

          栃高博物館 131 バイ貝

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) バイ科
学名  Babylonia japonica
英名  Japanese babylon
大きさ 5センチそれ以上のものもある(標本は7cm)
分布   日本全域

   浅海の砂泥底にすんでいます。腐肉食。バイは「貝」の音読み
なので「貝貝」です。なぜBabyloniaなのかはわかりませんでした。
食用として一般的で、和食の突き出しに出てきます。
「ベーゴマ」「ベイゴマ」の由来は、この貝の螺旋部に
砂や鉛を入れて独楽にしたことからです。だから鋳物製の
ベーゴマのサイドに螺旋模様が入っているのです。
(知っているのは50歳以上かな)
今はベイブレードですね。


栃高博物館 130 ダンベイキサゴ(團平喜佐古)

  栃高博物館 130 ダンベイキサゴ(團平喜佐古)

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) ニシキウズガイ科
学名  Umboniumgiganteum
大きさ 成貝は4センチ(標本も4cm弱)
分布   男鹿半島鹿島灘から九州まで

 貝の表面はつるつるしています。ブルドーザーのように砂底を
這いまわってデトリタス(有機物、細かくなった生物の残渣)
を集めて食べます。頼もしい砂場の掃除屋さんです。
 別名「ナガラミ」といって食用になります。
「團平喜佐古」の由来は不明です。

栃高博物館 129 イモガイ

          栃高博物館 129 イモガイ

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) 新腹足目 イモガイ科
学名  Conus(属名)
英名  Cone shell
大きさ 最大で23センチ
分布   すべて海産 浅海から深海まで

   Coneは円錐形という意味です。日本でもサトイモに似ているので
この名前になりました。魚などを襲う 捕食性の巻貝です。 歯舌が
変化し、神経毒のついた銛状になっています。これで他の動物を
刺して麻痺させ、丸飲みにします。人が刺されて死亡することも
あります。アンボイナ貝は猛毒で有名です。

栃高博物館 128 サザエ

                    栃高博物館 128 サザエ

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) 古腹足目 サザエ科
学名  Turbo comutus
英名  Horned Turban
大きさ 殻高、殻径ともに10cm以上
分布   潮間帯から水深30m程度までの岩礁

 波の荒い海では流されないように棘をつくり、波の穏やかな海
では棘がないとよく聞きますが、本当は結構混ざっているらしい
です。サザエの壺焼きはおいしいですが、殻の奥から出てくる
深緑の部分は食べると苦く嫌いな人も多いです。
ここは中腸腺という器官で肝臓に当たります。いわゆる「わた」ですね。

栃高博物館 127 ツキヒガイ

栃高博物館 127 ツキヒガイ

分類 軟体動物門 二枚貝綱 イタヤガイ科
学名  Amusium japonicum
英名  sun and moon shell
  (saucer shell)
大きさ 約10センチ
分布   山陰、房総半島以南、砂地に棲息
        
「月日貝」と書きます。表が夜のように赤紫で暗く、
裏が真昼のように白いところからこの名前がついたと
いわれています。しかし別の解説を読むと
右殻は淡黄白色,左殻は赤褐色で,これを月と日に
見立てた、という説明もあります。 
 食用ですがまとまってとれないので、お店では見かけません。

栃高博物館 126 ヒオウギガイ

                   栃高博物館 126 ヒオウギガイ

分類 軟体動物門 二枚貝綱 イタヤガイ目 イタヤガイ科
学名  Mimachlamys nobilis
英名  noble scallop
大きさ 10センチほど(標本は4.5cm)
分布   房総半島以南 干潮線帯から水深20mくらいまでの岩礁

scallopはホタテ貝のことで、同じ仲間です。
ヒオウギガイは「緋扇貝」「桧扇貝」「日扇貝」と書くことも
あります。色彩は赤褐・紫・黄・橙色など個体により変化が
ありますが、標本はまさしく「緋扇貝」ですね。
貝柱を食用とします。また貝殻が美しいので加工して
おみやげになっています。


栃高博物館 125 イトカケ(糸掛貝)

              栃高博物館 125 イトカケ(糸掛貝)

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱)イトカケガイ科
大きさ 大きいもので8センチ(標本は3cm)

海岸の細砂中にすんでいます。色は通常白色です。
本校の標本もきれいな形で真っ白です。
殻の表面に糸を掛けたような肋(縦に走る糸状突起)を持ちます。
砂浜に打ち上げられる小さな巻き貝にもイトカケガイは
たくさん含まれています。
  オオイトカケガイは殻高8cmもあり、とても美しいです。
ぜひネットでご覧下さい。

栃高博物館 124 ツノガイ

               栃高博物館 124 ツノガイ

分類 軟体動物門 堀足綱(クッソクコウ)ツノガイ目
英名  Tusk shell
大きさ 数ミリから20センチ超(標本は3cm)
分布   海産 世界中 潮干帯から深海まで

Tuskとはゾウの牙のことです。そっくりですね。
二枚貝(二枚貝綱)でも巻貝(腹足綱)でもありません。
第3の貝です。貝殻は緩くカーブしていますが
ヒラツノガイはまっすぐです。また、ニシキツノガイは赤
ゾウゲツノガイは緑のグラジュエーションで、先の細い方に
向かって、色が薄くなっていき、とてもきれいです。

 

栃高博物館 123 アカニシ

          栃高博物館 123 アカニシ

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱)アッキガイ科
学名  Rapana venosa
大きさ 最大15センチ(標本は10cm)
分布   房総半島以南

 「赤螺」と書きます。螺は巻き貝のことで田んぼの螺は
タニシです。殻口が赤く染まるのでこの名前があります。
標本は色が褪せて赤がピンクになってしまいました。
 味もよくサザエの代用品になるそうです。
  肉食性でアサリやカキを食べてしまいます。

栃高博物館 122 ハッキガイ

          栃高博物館 122 ハッキガイ 

分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) アッキガイ科
学名  Siratus pliciferoides
英名  Japanese spike murex
大きさ 12センチぐらい(標本は6cm)
分布   房総半島以南

 ハッキガイは「白鬼貝」と書いたり、「八鬼貝」と書くとき
もあります。表面に突き出た突起を鬼の角に見立てたので
しょうけれど、気の毒な名前ですね。ただ貝にとっては関係
ないですけど。
 アッキガイ科は漢字で書くと「悪鬼貝」で、この名前も
インパクトありますね。この仲間にはもっと鋭いとげが貝
のまわりにたくさん出ているものもあります。そして最も
美しく商品価値のある貝が「ホネガイ」です。


栃高博物館 121 クマサカガイ

                     栃高博物館 121 クマサカガイ

      分類 軟体動物門 腹足綱(マキガイ綱) 盤足目 クマサカガイ科
   学名  Xenophora pallidula Reeve
   英名  Pallid Carrier  (carrier shell)
   大きさ 8センチ(標本は4cm)
   分布   茨城県より南の海域(水深100~300m) 

 巻き貝の表面に二枚貝や巻き貝の殻、小石を付着させながら生長します。
カルシウムでしっかり接着しているので取れません。カモフラージュのため
と思われます。名前の由来は、付着した貝類を、熊坂長範の背中の七つ道具
に見立てて、クマサカ貝とつけました。牛若丸の返り討ちに合った大盗賊です。
「能」の演目に「熊坂」があります。生物の名前も調べてみると、とても興味
深いです。(写真の説明 上から見ると巻き貝に見えません。下から見ると
軟体部の入る穴が見えます)