栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 101 ライチョウ 

                                     栃高博物館 101 ライチョウ(雷鳥) 
     
    分類 鳥綱 キジ目 ライチョウ科
    学名 Lagopus muta
    英名 Rock Ptarmigan
    大きさ 全長約37cm 翼開長約59cm 
    分布 北極圏など 日本の雷鳥が南限
 
    天然記念物の雷鳥です。このような剥製標本は、今後絶対手に入りません。この雷鳥は
  夏毛です。冬毛は真っ白になります。ラベルは以前紹介した「動物標本社」で住所は、
  東京市神田区五軒町。採集年月は残念ながら消えてしまいました。
 
                    

栃高博物館 100 ネコの頭骨

                 栃高博物館 100 ネコの頭骨

    分類 哺乳綱 ネコ目 ネコ属 ヤマネコ種 イエネコ亜種
    学名 Felis silvestris
    英名 Cat、Domestic cat
    
     ネコの頭骨は迫力があります。写真の大きさを言わなければ、ライオンでも通用します。
   見事な4本の犬歯(ネコでもイヌです)。臼歯は鋭く尖っています。これで肉に噛みつき、肉を
   引き裂きます。肉食獣の歯です。
   

栃高博物館 99 ニワトリの頭骨  

               栃高博物館 99 ニワトリの頭骨

    分類 鳥綱 キジ目 ヤケイ属
    学名 Gallus gallus 
    英名 Chicken
    
    くちばし、大きな眼窩、そして容積の小さい脳。ニホンザルとは全然違います。くちばしに歯は
  ありません。上部のくちばしには大きな空洞がありますが、鼻の穴にしては大きすぎます。
  眼窩にある円盤状の骨は、調べてもわかりませんでした。何なのか興味がわきます。 
  
   

栃高博物館 98 ニホンザルの頭骨 

                             栃高博物館 98 ニホンザルの頭骨
  
   分類 哺乳綱サル目マカク属
   学名 Macaca fuscata 
   英名 Japanese monkey
 
  すでに剥製で紹介していますが、今回は頭骨にスポットを当ててみましょう。歯を見ると犬歯が
 大きく鋭いです。臼歯はヒトと同じでよく発達しています。眼窩輪(眼球の周りの骨)もしっかり
 できていて、両眼視による立体感もとらえることができます。脳の容積も大きく、高い知能を
 持っています。ヒトと違うところは多々ありますが、似てますよね。

栃高博物館 97 ニッコウサンショウウオ 

             栃高博物館 97 ニッコウサンショウウオ

     分類 脊椎動物亜門 両生綱 有尾目 サンショウウオ科
     学名 Hynobius tokyoensis(トウキョウサンショウウオ)
     英名 Salamander
     大きさ オオサンショウウオは別として通常20cm以下
     分布 栃木市近辺はトウキョウサンショウウオ

    ラベルには「にっくわうさんせううを 卵嚢 44.3.27 下都賀 柏倉」と書いてあります。
   残念ながらニッコウサンショウウオという種名はありません。トウキョウサンショウウオと思わ
   れます。ゼリー状の卵嚢は壊れてしまいました。丸い卵や細長い幼生が見られます。茶色い
   縦長のものは、水草の茎と根です。柏倉は今でも里山に湧水があり、湿地帯にはサンショウ
   ウオが生息しています。 
   
   

栃高博物館 96 ヒザラガイ

               栃高博物館 96 ヒザラガイ

   分類 軟体動物門 多板綱
   学名 Polyplacophora
   大きさ オオバンヒザラガイは最大で40cm。通常は4~5cmくらい
   分布 すべて海産。潮間帯の岩場に普通。深海にもいる。

  軟体動物は、巻貝(腹足綱)、二枚貝(斧足類)、タコ、イカ(頭足類)がよく知られたグループですが
 ヒザラガイは全く別のグループで、多板綱といいます。筋肉質の足で岩場にへばりついている姿から
 一見アワビの仲間に見えますが、全く違います。 正中線上には、前後に並んだ8枚の殻板があり
 密接しているものが多いのですが、この標本のように殻板が小さく離れているものもあります。
       

栃高博物館 95 ゴカイ

            栃高博物館 95 ゴカイ

       分類 環形動物門 多毛綱 ゴカイ科
       学名 Polychaeta
       英名 Ragworm
       大きさ ジャムシ(蛇虫)というゴカイは40cmになる。
       分布 世界中の海。潮間帯から深海まで
   
  釣りの餌としてよく知られていますが、魚類、甲殻類、鳥類などの重要な餌です。この
 標本は10cmぐらいの個体が数匹入っています。種の数が非常に多く、わかっているだ
 けで約8000種、このほかにも、未記載種が相当数あるだろうといわれています。生息
 分布も大変広く、熱帯から寒帯、浅海から深海の砂地、岩、海中浮遊、他の生物の体表
 および内部など驚くべき適応能力です。ちょっと気持ち悪いですが興味深い生物です。
 約5億年前のバージェス頁岩に化石としてたくさん発見されています。進化の歴史も長い
 ですね。   
      

栃高博物館 94 エボシガイ  

            栃高博物館 94 エボシガイ 

     分類 節足動物門 甲殻亜門 蔓脚下綱(フジツボ亜綱) エボシガイ科
     学名 Lepas anatifera
     英名 Pelagic Goosneck Barnacle
     大きさ 頭上部の白いところが2~5cm 
          柄部は伸縮自在で10cmを超えることもある
     分布 全世界の海洋の岩場、流木や漂流物、船底に多数付着
 
  ラベルには「つめがい 大正5年8月 三崎」と書いてあります。この生物の正式名称は
 「エボシガイ」です。でも貝ではありません。上記のとおりフジツボと同じ仲間です。白い
 部分は殻板という構造で、固く、5枚あります。おそらく、これが二枚貝の貝殻に見えたの
 でしょう。英名についてはPelagic(外洋に住む)、Goosneck(ガチョウの首)、Barnacle
 (フジツボ)です。英語圏のほうが、きちんとフジツボと認識していたのですね。
     

栃高博物館 93 イシコ

                                          栃高博物館 93 イシコ
    
       分類 棘皮動物門 ナマコ綱 キンコ科
       学名 Cucumaria chromhjelmi 
       英名 sea cucumber

  以前も紹介しましたが、「コ」はナマコのことです。これは潮間帯の岩の隙間に普通にいます。5cm位の小さなナマコで食用にはなりません。標本は4~5cmの個体がたくさん入っています。
  体は五角柱状で、棘皮動物の特徴である「五放射相称」をもっています。   
     

栃高博物館 92 サゴヤシの実 

                    栃高博物館 92  サゴヤシの実 

     分類 被子植物門 単子葉植物綱 ヤシ目 ヤシ科 サゴヤシ属
     学名 Metroxylon
     英名 sago palm
     分布 東南アジアからオセアニアの低湿地

 「サゴ」が採れる椰子という意味です。サゴとはデンプンのことでサゴヤシ1本切り倒すと100kgのデンプンがとれるそうです。デンプンはサゴヤシの樹幹の大きな芯に含まれています。食料として重要な植物です。欠点としてはデンプン質のみなので、タンパク質やビタミン、ミネラルは他の食品から取らなければいけません。実は苗を得るために重要です。松ぼっくりのように見えますが、まわりの鱗片はしっかりくっついていて取れません。中は空洞で、そこに種があります。残念ながら、この標本には、種はありませんでした。空洞のみです。
   

栃高博物館 91 大きなマツカサ

                栃高博物館 91 大きなマツカサ
          (大王松について)
       分類 球果植物門 マツ綱 マツ科 マツ属
       学名 Pinus palustris
       英名 longleaf pine
       大きさ 高さ20~40m
       分布 北アメリカ東南部、園芸種なので日本にもあります

   大王松という松の木の大きなマツカサです。正式には「球果」といいます。高さは22cm。
  りっぱですね 通常15~25cmということなので、この標本は大きい方です。松の仲間
  では、最も長い針状葉で英名はここからきています。
     

栃高博物館 90 トコブシ  

                                                 栃高博物館 90 トコブシ  

        分類 軟体動物門 腹足綱 ミミガイ科
    学名 Suluculus diversicolor
    英名 small abalone
    大きさ 大きくても殻長7cm
    分布 潮間帯の岩場
  
 海底の岩の「床に伏して」いるのでトコブシといいます。アワビとよく似ています。アワビの子供と区別できません。でも違いは穴の数で、アワビの穴は4~5個、トコブシは6から8個あります。
 肉は美味で、アワビ同様に食されています。標本では、貝の表面に和紙を貼り、墨で「とこぶし」と書いてありました。英名も「小さいアワビ」です。
   

栃高博物館 89 アカガイ

                      栃高博物館 89 アカガイ(赤貝)

     分類 軟体動物門 二枚貝綱 フネガイ目 アカガイ属
     学名 Anadara broughtonii
     英名 Bloody clam
     大きさ この標本は10cm
     分布 浅海の砂泥底
    
 私たちの赤血球にはヘモグロビンが含まれています。このヘモグロビンと同じように鉄を含む「エリトロクルオリン」という物質を持つため、赤貝は血液が赤いのです。そのため肉も赤く、和名や英名の名前はここからきています。アカガイは寿司ネタや刺身にしたりする高級食材ですが、
 赤貝の缶詰は、たくさん獲れるサルボウガイという赤貝に似た貝を使用しています。缶詰に書いてあるので確認してみましょう。
   

栃高博物館 88 オオヘビガイ

                     栃高博物館 88 オオヘビガイ(大蛇貝)

     分類 軟体動物門 腹足綱 ニナ目 ムカデガイ科
     学名 Serpulorbis imbricatus 
     英名 Imbricated worm shell(重なったイモムシ状の貝)
     大きさ 4~5cm
     分布 潮間帯の岩場
  
  磯の岩の表面に普通にいます。口から粘液を出し蜘蛛の巣のように張って、海中の細かい有機物をくっつけて、たぐり寄せて食べます。最初は巻き貝のように殻は巻いていますが、まもなく、不規則になって写真のような殻になってしまいます。遺伝子のバラエティは不思議ですね。
  規則正しいと不規則があるのですね。規則正しいと「美」を感じますが、この貝殻は‥‥
   

栃高博物館 87 テヅルモヅル

             栃高博物館 87 テヅルモヅル(手蔓藻蔓)

      分類 棘皮動物門 クモヒトデ綱 テヅルモヅル亜目 テヅルモヅル科
      学名 Gorgonocephalidae(ギリシャ神話のゴルゴンが由来です) 
      英名 Basket star
      大きさ この標本では中心部の本体の直径が約8cm
      分布 1000mくらいまでの海底
 
  茨城県の阿字ヶ浦海岸の砂浜にたくさん打ち上げられていました。底引き網によく入るらしく、近くの船のそばに、売り物にならないエイやカニなどの入ったバケツがあり、その中に新鮮なテヅルモヅルも入っていました。網で引き上げるときに、腕がちぎれてしまったようです。クモヒトデと同じ仲間ですが5本ある腕が数十回も枝分かれして、触手となり、海中ではこれを広々と広げて、海中に浮かぶ有機物(デトリタス)を集めて食べています。その姿が容器のかごに見えるのでBasket star と英語では呼ばれています。
   

栃高博物館 86 ブンブクチャガマ

            栃高博物館 86 ブンブクチャガマ

         分類 棘皮動物 ウニ綱 ブンブク目 
         学名 Spatangoia
         英名 Elongated Heart Urchin
         大きさ 標本は5cm
         分布 砂地の海底
 
     棘を取って球状のものはウニとかガゼと呼ばれ、丸くつぶれた形はカシパン、タコノマクラ
    と呼ばれています。そして、いびつなハート型はブンブクチャガマ(ブンブク)と名付けられま
    したが、ブンブクチャガマの名前の由来は調べてもわかりませんでした。あの分福茶釜と
    関係があると思うんですが‥。体は平べったく、カシパンと同じように海底の砂地に潜って
    有機物を食べています。深海底にもいます。標本に見える左右対称の孔の列は、棘皮
    動物に特徴的な管足の出る孔です。
          

栃高博物館 85 ユムシ 

         栃高博物館 85 ユムシ

       分類 ユムシ動物門 ユムシ目 ユムシ科
       学名 Urechisu unicinctus
       英名 Spoon worm
       大きさ 数cmから数10cm(標本は5cm) 
       分布 砂地の海底 
     
   干潟などの浅い砂地に住み、アジアでは食用にしているところもあり、釣りの餌
 にしているところもあります。標本瓶の中には4個体入っています。細長い円筒形で
 前端に吻がありますが、星口動物のように吻を体に引き込むことはしません。ユムシ
 は、これに似た動物がいないので門に分類されています。星口動物と同じ扱いですね。  
   

栃高博物館 84 ホシムシ

                                  栃高博物館 84 ホシムシ

                   分類 星口動物門 
                   学名 Sipuncula
                   英名 peanut worm
                  大きさ 3~10cm
                   分布 海産の底生生物
     
    ラベルには「39.4 房州館山」と書いてあります。環形動物のゴカイに似ていますが、別の
門です。陥入吻があり、長い吻の先端に口があります。口の周りには放射状の触手が生え、
これが漫画で表現するような星に見えるため、星口動物と呼ばれます。吻を引き込み、体をふく
らませると、ピーナッツに似ているので、英名はそこからきています。化石は古く、有名なカナダの
バージェス頁岩にも似た仲間の化石が見つかっています。約5億年前のカンブリア紀まで、遡る
ことができます。 
    

栃高博物館 83 キンコ

           栃高博物館 83 キンコ
    
     分類 棘皮動物門 ナマコ綱
     学名 Cucumaria frondosa japonica
     英名 sea cucumber,sea slug
     大きさ この標本は10cm

   82に続いてラベルに注目です。「きんこ 38.4 陸前金華山沖 購入」
  東北地方以北の浅海に分布する海鼠(なまこ)の一種をキンコといいます。このキンコを
 煮て干し、乾燥させた加工食品も光参(きんこ)といいます。キンコの分布する南限に当たる
 金華山付近では、金華山でかつて砂金がとれました。キンコの生殖巣が黄色いので、これは
 砂金の精がこの海鼠になったと信じられ、「金」の精である「こ=海鼠」の意でこの名前が付
 いたそうです。干し海鼠は中華料理の高級食材です。
   

栃高博物館 82 アカタカウニ

                   栃高博物館 82 アカタカウニ(コシダカウニ)
  
    分類 棘皮動物門 ウニ綱 ホンウニ目 サンショウウニ科
    学名 Mespilia globulus 
    英名 sea urchin
    大きさ 5cm(標本は2.5cm)
    分布 相模湾以南の磯
   
   ラベルに注目です。「あかたかうに 大正5.8. 三崎」 三崎は三浦半島南端の町です。
  「あかたかうに」というウニはいません。形からすると球形に近いので「コシダカウニ」だと思わ
  れます。栃高100年史によると大正5年には創立20周年記念式が挙行され、花火を掲げた
  そうです。それから、大正12年は関東大震災の年です。