栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 61 木防已(モクボウイ)

           栃高博物館 61 木防已(モクボウイ)

      分類 ツヅラフジ科アオツヅラフジ
      学名 Cocculus trilobus
      
  この植物の根です。ラベルを見ると上に木防已が書いてあります。
 2行目のカタカナはツ‥ラフジだと思います。2枚目のラベルには、リーマチ、
 ?痛と書いてあります。木防已の効能に「リウマチ・神経痛の疼痛を軽減する」
 とあります。薬用植物3種の紹介でした。
     

栃高博物館 60 白蔘紅蔘

           栃高博物館 60 白蔘紅蔘

      分類 ウコギ科 オタネニンジン
      英名 ginseng
      分布 中国 韓国 日本
   
    朝鮮人参です。見づらいですが、左の小さい白いのが白蔘(はくじん)、
   右の太くて茶色いのが紅蔘(こうじん)です。原材料は同じですが、生の
   まま干すと白く、蒸してから干すと紅になるそうです。
    

栃高博物館 59 キナ皮

             栃高博物館 59 キナ(機那)の樹皮

       分類 アカネ科キナ属の薬用樹木
       英名 quina
       分布 南アメリカ
  
   ラベルには「キナ皮 解熱」とだけ書いてあります。キナには、キニーネが含まれており、
  マラリアの特効薬として有名です。主な産地はペルーで、国章に図案化されています。
  その後、熱帯地方にたくさん植樹され、大量に生産されるようになりました。私は実物を
  始めて見ました。
      

栃高博物館  58 イルカの仲間の下顎骨

                  栃高博物館  58 イルカの仲間の下顎骨
    
     分類 哺乳綱 ハクジラ亜目 イルカ科
     英名 Dolphin

      この標本も部分標本のため、詳しくはわかりません。歯は1本も残っていませんが、おそらく
     尖った歯が一直線に並んでいたものと思われます。そして、この細長い形からすると、おそらく
     イルカの下あごの骨でしょう。高校ではあまり見たことのない標本で、高校所蔵標本としては、
     珍しいです。
    

栃高博物館 57 大型草食動物の下顎骨

                 栃高博物館 57 大型草食動物の下顎骨

    発達した臼歯が見られるので、大型草食動物(おそらくウシ)の下顎骨と思われます。残念ながら
   頭骨がないのでそれ以上はわかりません。でも標本としては両側2つそろっていて、美しい形です。
   

栃高博物館 55 シカの頭骨

                     栃高博物館 55 シカの頭骨

     分類 哺乳綱 鯨偶蹄目 反芻亜目 シカ科
     学名 Cervus
     英名 sika deer(ニホンジカ)
    
           ニホンジカの頭骨です。立派な角が生えています。鹿の枝角は、アントラ(Antler)と呼ばれます。    
    サッカーチームの名前にもなっていますよね。加工しやすいのでナイフの柄やボタン、そして刀を
    置く、装飾台にもなっています。鹿の角(鹿茸、ロクジョウ)は有名な漢方薬です。ただし中国の
    梅花鹿(バイカロク)の幼角(袋角)のみなので、ニホンジカからは、採取できません。
    

栃高博物館 56 イヌ科の頭骨

               栃高博物館   56  イヌ科の頭骨

   分類 哺乳綱 食肉目 イヌ科 イヌ属
   学名 Canis
   英名 Dog,Domestic dog
   
    犬歯というくらいなので、鋭く尖った歯を持っています。さらに奥には裂肉歯と呼ばれる山型に
   尖った大きな臼歯が発達しています。犬の仲間と思われますが、それ以上はわかりません。栃高
   には、この大小2つの標本があります。
   

栃高博物館 54 ハトの骨格標本

         栃高博物館 54 ハトの骨格標本

     分類 鳥綱 ハト目 ハト科
     学名 Columbidae 
     英名 pigeon
     分布 世界中

 今回はハトについてではなく、鳥類の骨格の特徴に目を向けてみましょう。写真を見てください。ハトの
あばら骨の前に大きな板のような骨があります。「胸骨」といいます。私たちにも、あばら骨の中央(胸の
真ん中)にあります。鳥の場合、飛ぶための胸筋が大きく発達したため、この筋肉を支える胸骨も大きく
なりました。また、中央が船の竜骨のように飛び出しているので「竜骨突起」という名称もあります。ヨット
では、さらに長い突起で、キールと呼ばれ、船の転覆を防ぎます。鳥の竜骨突起とヨットのキール。働きは
全く違うけれど、形はそっくりです。ちなみに大胸筋が「むねにく」、小胸筋が「ささみ」です。
    

栃高博物館 53 タイラギ

              栃高博物館 53 タイラギ(平貝)

    分類 二枚貝綱 イガイ目 ハボウキガイ科
    学名 Atrina pectinata
    英名 Pen shell
    大きさ 殻長30cm以上
    分布 西太平洋からベンガル湾 日本では房総半島以南
    
      おいしい貝柱は「閉殻筋」が生物学的な名称です。全国的に個体数が減っているので今では
     高級食材になっています。「平貝」タイラガイが転じてタイラギとなったので、たまに目にする
     「タイラギ貝」という名称は「昔の武士のさむらい」と同じ状況だそうです。(タイラガイの貝)
     「タイラギ」の名前の由来については、あの有名な博物学者の南方熊楠が記述しています。
   

栃高博物館 52 シャコガイ

                 栃高博物館 52 シャコガイ

       分類 軟体動物門 二枚貝綱 ザルガイ科 シャコガイ亜科
       学名 Tridacnidae
       英名 giant clam
       大きさ 最も大型のオオシャコガイは殻長2m
       分布 サンゴ礁の海域
  
       この波を打つような貝の形はシャコガイだけの特徴です。また、貝を半分開いて、外套膜
      という体の一部を広げて、膜の内部にすむ植物プランクトンに光合成をさせている点も珍しい
      です。シャコガイに足を挟まれて、そのまま潮が満ちてきて、溺死するという話がありますが
      のんびりと光合成をしているシャコガイは、足が入ってきても強く挟みつけることは無いそう
      です。だからこの話は嘘ですね。
       殻長が2mある大型のオオシャコガイならば、ヴィーナスも誕生できるかな。人魚姫のベット
      にもなるかな。
    

栃高博物館 51 スイジガイ

               栃高博物館 51 スイジガイ(水字貝)

      分類 軟体動物 盤足目 スイショウガイ科
      学名 Lambis chiragra
      英名 Chiragura Spider Conch
      大きさ 殻長24cm 幅16cmに達する
      分布 太平洋とインド洋の熱帯域、日本では紀伊半島以南
  
     巻き貝の仲間で、6本の尖った角状の突起ができます。この形が漢字の「水」の字に似ている
    のでこの名前になりました。この写真の右側の長い3つの突起が上になるように見てください。
    「水」の字が見えますか? 食用にもなり、殻は固くて丈夫なため、装飾品や貝細工の材料と
    して利用されているそうです。この標本は22cmですから、大きい方ですね。貝の内部は、薄い
    ピンク色で、ツルツルぴかぴか。とても美しいです。 
  

栃高博物館 50 フジツボとカメノテ

                  栃高博物館 50 フジツボとカメノテ

     分類 節足動物門 甲殻亜門 蔓脚下綱(フジツボ亜綱)       
     学名 フジツボBalanomorpha、カメノテPollicipes 
     英名 両方ともbarnacle
     大きさ 数cm
     分布 沿岸から深海まで(深海の熱水噴出口付近にもいます)
 
   「富士壺」、「亀の手」と書けばわかりますよね。見たままの名前です。船底や岩に頑丈に付着する
 生物で、barnacleには、物事にかじりついて離れない人という意味もあります。進化論のチャールズ・
 ダーウインがフジツボの研究をしたことは世界的には有名ですが、日本ではテレビのクイズ番組に出題
 されていました。エビやカニの仲間とは思えないような形状ですが、食べると同じ味がします。
  

栃高博物館 49 マボヤ 

                        栃高博物館 49 マボヤ(真海鞘) 

    分類 脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱
    学名 Ascidiacea 
    英名 ascidian,sea squirt
    大きさ 単体のホヤは ~30cm、群体ホヤは広く大きく増殖し、船底の汚損生物
    分布 世界中の海 淡水にはいない

  英語の(squirt)は液体が噴出するという意味で、捕まえると、文字通り海水を噴出します。
 この標本の大きさは10cm。上部には2つの突起があります。+は入水口、-は出水口です。
 写真では左側に+の入水口が見えます。「ホヤ」はランプのシェード(透明なガラス製で優雅な
 カーブを持つ)のことです。海水を大量に飲み込んで、浮遊している有機物を鰓でとらえて食べ
 ます。英語で(filter feeder)といいます。
  

栃高博物館 48 クモヒトデ

                                      栃高博物館 48 クモヒトデ

         分類 棘皮動物門 クモヒトデ綱
    学名 Ophiuroidea
    英名 brittle star
    大きさ 足は最長60cm
    分布 沿岸から深海まで、熱帯から極地方まで。
        海水が中心で淡水には生息しない。まれに汽水。

 ニホンクモヒトデと、もう1種類、足に毛の量が多いもの「トゲクモヒトデ」が入っています。
英名の(brittle)は「壊れやすい、もろい」の意味です。実際捕まえてみると、足が簡単に
折れてしまいます。でも再生能力が強く、もとの足に戻ります。この写真の縦は約10cm
です。写真右側の円盤の中央が口です。おもな餌は腐肉か、さらに分解が進んだ懸濁物
(通称マリンスノー)で、深海の泥海底では生息密度が400匹/1㎡という高密度の場所
があります。
  

栃高博物館 47 ウミシダ

         栃高博物館 47 ウミシダ

     分類 棘皮動物門 ウミユリ綱 ウミシダ科
     学名 Comaturida
     英名 feather-stars
     大きさ ニッポンウミシダは10~20cm
     分布 日本沿岸部 サンゴ礁では数も色も大きさも豊富

 ウミユリ(海百合)、ウミシダ(海羊歯)ともに植物ではありません。ウミユリは葛生の石灰岩中に化石として
たくさん出ます。壊れやすい体なので、化石は小さい円筒型になっています。深海には生きているウミユリも
います。ニッポンウミシダは日本の沿岸部に普通ですが、別名「コマチ」といいます。学名のComatusからき
ていて、ラテン語で「毛状の」という意味を持っています。とても動物には見えませんが、実に優雅に泳ぎます。
毛のような、シダの葉のような体を、360度に大きく広げて、海水に含まれる細かい有機物を集めて食べます。
  

栃高博物館 46 ウミケムシ

                       栃高博物館 46 ウミケムシ(海毛虫)

         分類 環形動物門多毛綱ウミケムシ科
         学名 Chloeia flava
         大きさ 5~10cm
         分布 日本では中部以南
 
    その名のとおり海の毛虫、おまけに毒があります。標本液がなくなったため、Vの字に曲がって乾燥標本
    になってしまいましたが、伸ばせば6cmあります。体には節があり、体側からたくさんの長い毛が生えて
    います。釣り針にかかることもあるそうです。絶対にさわらないように。
   

   

栃高博物館 45 タツノオトシゴ

                 栃高博物館 45 タツノオトシゴ

     分類 トゲウオ目 ヨウジウオ亜目 タツノオトシゴ属
     学名 Hippocampus
     英名 Seahorse
     大きさ 1.4cm~35cm(標本は3cm)
     分布 熱帯から温帯の浅い海

   ヨウジウオの時にタツノオトシゴも紹介しました。同じ仲間です。体は鱗が変化した環状の硬い
  甲板に覆われて、凹凸があります。写真ではその様子がよくわかると思います。この仲間は体を
  直立させて、頭を前に向ける姿勢をとるので竜や馬に見えます。そのため「竜の落とし子」「海馬」
  「竜宮の駒」「Seahorse」などの名前がつきました。大型種は漢方薬として珍重され、乱獲の末に
  ワシントン条約の(輸出入に許可証が必要)のレベルになっています。
   

栃高博物館 44 ハコフグ 

                栃高博物館 44 ハコフグ

     分類 フグ目 ハコフグ科
     学名 Ostracion immaculatus
     大きさ 20~40cm(この標本は6cmで幼魚)
     分布 日本中部以南 

     大きな目に2本の角、おちょぼ口。愛らしい姿。体全体が箱形なのでこの名前になりました。
    皮膚には六角形の骨板が発達しています。サッカーボール模様ですね。さかなくんの帽子は
    ハコフグの仲間だそうです。
    

栃高博物館 43 サソリ

                     栃高博物館 43 サソリ(蝎、蠍)

     分類 節足動物門 クモ綱サソリ目
     学名 Scorpiones
     大きさ 数センチからダイオウサソリの30cm 

  瓶の大きさは6cm×3.2cm。この小さな標本瓶の周りには、細かい文字がびっしり書き込まれていました。
 紙の縦は4.5cmで、中央の「蝎」の字の大きさは3mmです。では読んでみましょう。( )の部分はよく読め
 ませんでした。写真中央の行から左へ「ニテ居リマス蝎デアリマス此虫ニササレマスト (?3大)ラスシテ死亡
 スル為メ恐レラ レテ蛇蝎視スルトノ語ガ生ジタと云ハレテ居 リマス(改行) 此虫ハ宇都宮出身ニテ遼陽ニ
 活動セラレテ」。 この文章の別なところに「第十四師団駐満」「渡満シタオリ」「寄贈」という記述もあります。
 日付は見つかりませんでした。調べてみると、かつて宇都宮に第十四師団があり、満州に行っていることが
 わかりました。右の写真は、ちょっと壊れていますがサソリです。手前に毒針が見えます。このサイズの小さな
 サソリが強い毒性を持っています。この恐ろしいサソリを生徒にも是非知ってほしいという教育的な気持ちから
 学校に寄贈されたと思われます。
      

栃高博物館 42 象牙

                    栃高博物館 42 象牙

      分類 哺乳綱ゾウ目ゾウ科
      学名 Elephantidae
      英名 elephant 象牙はivory
      大きさ  分布 アフリカ アジア

    ゾウの最大に発達した門歯です。先も元も割れていて、ちょっと傷んでいますが紛れもない象牙です。
   重さは3.5kgあり、ずっしり重いです。エボニー(黒檀の木 ebony)とアイボリー(ivory)はピアノの
   鍵盤として使われ、隣同士です。そういえば、ポールマッカートニーとスティービーワンダーが歌って
   いました。(ebony and ivory) 今では象の保護のため、象牙を取ってもいけないし、取引もでき
   ません。