栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 41 ホラガイ

                                               栃高博物館 41 ホラガイ(法螺貝)

     分類 軟体動物門 腹足綱 ホラガイ属
     学名 Charonia tritonis
     英名 trumpet shell
     大きさ  大きいもので40cm
     分布 熱帯の海
 
     ホタテガイに続いてホラガイです。この標本も大きいです(30cm)。楽器として使われ、「ほら吹き」
    として言葉に使われ、誰もが知っている巻き貝です。熱帯のサンゴ礁では、サンゴの天敵オニヒトデ
    を食べてくれます。世界最大の巻き貝は、アラフラ海(オーストラリアとニューギニアの間の海)にいる
    アラフラオオニシで80cmになるそうです。上には上がいますね。
   

栃高博物館 40 ホタテガイ

                    栃高博物館 40 ホタテガイ(帆立貝)

     分類 二枚貝綱 イタヤガイ科 
     学名 Mizuhopecten yessoensis
     英名 Japanese scallop
     大きさ 20cm(この標本は17cm)
     分布 冷水域 漁業が成り立つのは三陸より北

     ホタテは珍しいものではありません。でも大きさを見てください。このサイズは珍しいと思います。
   でも、ヴィーナスが誕生するには、まだまだ小さいです。天敵のヒトデが近づくと、貝柱の筋肉で殻を
   開閉させて、泳いで逃げます。その映像を見ると笑顔になります。  
   

栃高博物館 39 タカアシガニ

                     栃高博物館 39 タカアシガニ
 
       分類 節足動物門 甲殻亜門 クモガニ科 タカアシガニ属
       学名 Macrocheira kaempferi
       英名 Japanese spider crab
       大きさ 足を広げると3mを超えるものもいる
       分布 東シナ海 駿河湾 土佐湾

     タカアシガニは1属1種で世界最大のカニです。学名にMacroがついています。駿河湾では食用に
    しており、この甲羅も駿河湾産です。甲羅の長さ(縦)は40cmにもなるそうですから、この標本はまだ
    小さい方ですね。(約24cm) このカニは飼育が比較的容易なので、水族館などで生きている様子
    を見ることができます。
    

栃高博物館 38 ヒトデ

                   栃高博物館 38 ヒトデ

      分類 棘皮動物門 星形動物亜門 ヒトデ綱
      学名 Asteroidea
      英名 starfish
      大きさ 40cmになるものもいる
      分布 浅海から深海まで 淡水にはいない

       標本瓶左二つと手前の乾燥標本2つがヒトデの仲間です。中央右側はウミシダで右端はクモヒトデです。
      ウミシダとクモヒトデは後ほど紹介します。ヒトデは棘皮動物に属し、ウニやナマコと同じ仲間です。基本
      的に肉食で、二枚貝も好物です。食事方法はちょっと変わっています。体の裏側の中央に口があり、そこ
      から薄い膜のような胃袋を、反転して外に出します。貝殻の隙間から少しずつ貝の内部に進入し、胃液を
      出して、その場で消化しながら栄養を吸収します。目に浮かべてみましょう。浮かばないかもしれません。
      

栃高博物館 37 カイメン

                    栃高博物館 37 カイメン(海綿)

     分類 海綿動物門
     学名 Porifera
     英名 Sponge
     大きさ 数ミリから1mを越すものまである。写真中央のすり鉢状の海綿は直径12cm
     分布 熱帯から極地方までの海(まれに淡水にもいる)
    
     もっとも原始的な多細胞の動物。淡水の海綿ではロシアのバイカル湖にいる緑色の海綿が有名です。
    写真手前の3つは沐浴海綿で手触り最高です。カイメンの作る成分は「スポンジン」といい、総ての動物
    がもつコラーゲンの祖先物質だそうです。写真左の「トウナスカイメン」ですが、形が唐茄子(カボチャの
    別称)に似ているので、この名前がつきました。
   

栃高博物館 36 イソバナ

                      栃高博物館  36 イソバナ(磯花)

       分類 刺胞動物門花虫綱ヤギ目イソバナ科
       学名 Melithaea flabellifera
       分布 沿岸の岩礁地帯

    標本になっても、赤い色が健在です。なぜかこんなにたくさんあります。サンゴの仲間ですが、骨格は
   もろいです。ずいぶん前になりますが、阿字ヶ浦(茨城県)の磯の岩の隙間に潜ったとき、イソバナの赤色
   の美しさに驚いたことがあります。 「44.7.27」と墨で書いてあります。昭和ではなく、明治ではないか
   と現在調査中です。
   

栃高博物館 35 コルク

                   栃高博物館 35 コルク(コルク樫の樹皮)

       分類 ブナ科コナラ属
       学名 Quercus suber
       英名 Cork Oak 
       大きさ 木の幹が25~30cm 
       分布 地中海地方原産(主な産地はポルトガル) 

    初めての植物標本です。最初見たときは何だろうと思いました。40×30cm、厚みが45mm。
  木は間違いないので、結構重いだろうと思ったら、驚くほど軽い(460g)。表はひびだらけですが、裏を見ると
  コルクだとわかりました。成長したコルク樫の木からは10年ごとに樹皮をはぎ取るそうです。樫の木は
  切り倒す必要はありません。

   

栃高博物館 34 ウマの蹄(ひづめ)

                       栃高博物館 34 ウマの蹄(ひづめ)

           分類  ウマ目(奇蹄目)ウマ科
     学名 Equus caballus
     英名 Horse
     
   蹄鉄付きのウマの蹄の標本です。明治以前は蹄鉄の知識がないため専用のわらじを履くか、
    あるいは何もつけなかったそうです。ウマの蹄は人間の中指の爪に相当します。蹄は外側が厚く、
    内側には骨、血管があります。だから蹄鉄はU字型で、爪の厚い外側に釘付けしたのですね。
     上の写真では、蹄鉄を止めるための釘が左右対称に6カ所見えます。下の写真は裏から見た
    ものです。かなり錆びているので写真ではよく見えませんが、釘の頭が6カ所確認できました。
  
  

栃高博物館 33 コウモリ 

                   栃高博物館 33  コウモリ 

     分類 哺乳綱コウモリ目(翼手目)
     学名 Chiroptera
     英名 bat
     大きさ 数cmから大きいもので1.7m
         (栃高周辺に飛んでいるのは10cmぐらいのアブラコウモリ)
     分布 南極以外の全大陸と島々

    木製の箱にガラスのふた。青いベルベットの布の上に、美しく展開する繊細な骨。
   長い年月の中で箱も布も骨も痛んでいますが、美的感覚にあふれた、すばらしい作品
  です。コウモリの翼は五本の指を思いっきり伸ばして、その間に皮膜を張った構造です。
  この標本は羽を広げると25cmあります。また、哺乳類で上記の分布域は驚異的。
  

栃高博物館 32 コウイカ

                                          栃高博物館 32 コウイカ

           分類 軟体動物門 頭足綱 コウイカ目
     学名  Sepiida
     英名 Cuttlefish
     大きさ 10cmぐらいから50cm超
     分布 熱帯から温帯の海

       スーパーや魚屋ではあまりお目にかかれない、コウイカというイカの仲間の体内にある甲羅
  です。コウイカのコウは「甲」です。標本ですが、小さい方は、私が購入して、生物クラスで解剖
  したスミイカというコウイカの仲間です。甲羅は10cm、肉のついた大きさは足を含んで15cm。
  上が栃高の標本、なんと42cm。スミイカと同じ比率で換算すると、体長63cm。おそらく
  コブシメと思われます。コウイカの吐く墨はセピアといいます。学名もSepiidaです。
  

栃高博物館 31 イシサンゴ

                                               栃高博物館 31 イシサンゴ

         分類 刺胞動物門 花虫綱 六放サンゴ亜綱 イシサンゴ目
    学名 Scleractinia
    英名 coral
    大きさ 群体なのでかなり大きくなる(個虫は数mm)
    分布 サンゴ礁
    
     イシサンゴのコレクションです。生きているときは共生藻の植物プランクトンが体内に
    いるので色合いがあります。表面の個虫(サンゴ虫)が死んでしまうと、炭酸カルシウム
    の白い骨格だけになり、お土産屋の店先に並ぶことになります。表面の小さい穴や、少
    し大きい穴にサンゴ虫が住んでいます。(住んでいました) サンゴ虫は虫ではなく、ポリ
    プという、イソギンチャクの小型版のような生き物です。 
   

栃高博物館 30 アワビ

               栃高博物館 30 アワビ

    分類 軟体動物腹足綱ミミガイ科アワビ属
    学名 Haliotis
    英名 abalone
    大きさ 5~20cm
    分布 世界の海
 
     スーパーや魚屋さんでも売っているので珍しくはありませんが、大きさを見てください。
   18cmのアワビはあまりお目にかかれないと思います。アワビには穴が4~5個あります。
   この標本は4つです。この穴は成長すると新たに増えて、古い穴(アワビにとっては若い
   ときの穴)はふさがっていきます。下の写真を見るとよくわかります。貝の裏側は美しい
   真珠光沢があります。ボタンを作ったり、薄く切り出して螺鈿細工に使ったりします。

   
   

栃高博物館 29 ハクジラの歯

                   栃高博物館 29 ハクジラの歯

     分類 哺乳綱鯨偶蹄目ハクジラ亜目
     学名 Odontoceti
     英名 sperm whale(マッコウクジラ)
     大きさ 12~18m、25~50t 標本の歯は15cmで300g
     分布 外洋

        クジラヒゲの後は、歯鯨の歯を紹介します。ハクジラの代表はマッコウクジラですが、この歯も
  おそらくマッコウクジラだと思います。(多く販売されているので) ハクジラは他に、水族館で人気
  者のイルカ、ゴンドウクジラ、シャチなどがいます。ヒゲ鯨はその食性と大きさから、飼育は困難です。
 
   

   

栃高博物館 28 クマノアシツキ

             栃高博物館 28 クマノアシツキ

       分類 環形動物門多毛綱ハボウキゴカイ目クマノアシツキ科
       学名 Acrocirrus validus
       大きさ 10cmぐらい(この標本も10cmで太さ1cm)
       分布 潮間帯の転石の下

    頭から触手が出ていますがこれはエラです。ゴカイの仲間で、陸ではミミズが同類
    です。ゴカイは形が多様で、特に体からヒモ状、糸状の突起が数本(この標本)から
    数十本出す「ミズヒキゴカイ」、色鮮やかな扇のようなエラを出す「かんざしゴカイ」
  もいます。この不思議な名前は、
最初の発見地、紀伊半島の熊野が由来だそうです。
  でも、アシツキの由来はわかりませんでした。
    

栃高博物館 27 モグラの骨格

               栃高博物館 27 モグラの骨格

   分類 哺乳綱トガリネズミ目モグラ科
   学名 Talpidae
   英名 mole
   大きさ この標本は約13cm
   分布 アジア ヨーロッパ 北アメリカ

    名前は知っているし、モグラの土の塚(molehill)も見たことあるけれど、生きたモグラは見たこと
  ないですね。たまに見るのが、干からびた死体だったりするものだから、「モグラは太陽の光を浴びる
  と死ぬ」なんていう噂を信じてしまう。(干からびた標本もあります)
   モグラの骨格をみると、後脚は普通ですが、前脚がかなり特徴的です。土を力強く掘っていくため
  骨格も力強く、がっちりした肩関節、そして手のひらは平たく大きく、鋭い爪も立派です。 
   

栃高博物館 26 水牛の角

                 栃高博物館 26 水牛の角

      分類 ウシ目ウシ科アジアスイギュウ属
      学名 Bubalus arnee 
      英名 Water buffalo
      大きさ 大きい個体は体長3m体重1トン。角の長さ最長2m(標本約50cm)        
      分布 インド、東南アジア

    断面が三角形をしているのが大きな特徴。中は空洞です。中まで詰まった先端部が印鑑作りに
   使われます。その名のとおり、よく水浴びをし、暑さ対策や、虫除けに泥浴びもします。ウシよりも
   沼地での行動に適応しているので、水田には水牛です。タイでは水牛に田んぼの脇の草を食べ
   させて、除草の手間や農薬を省いているそうです。

    

栃高博物館 25 シカの脚の骨格

           栃高博物館 25 シカ(ニホンジカ)の脚の骨格

        分類 偶蹄目反芻亜目
        学名 Cerbas nippon
        英名 sika deer
        大きさ この標本は90cm 
        分布 アムールからベトナムに及ぶ東アジア沿岸部、日本

 学名にnipponとありますが、日本の固有種ではありません。この標本は前脚です。
骨は上から、広がりのある肩甲骨、次は上腕骨、あいだの関節は肩になります。次に右上方に
出っ張って下に向かう2本の骨が前腕骨。つまり出っ張りの部分にある関節は、ひじにあたり
ます。そして、骨の右にある30cmのものさしの上端の横が、手首にあたる関節になります。
一番下から10cmの位置の、45度下方に曲がる関節は、指の根元の関節になります。
   整理すると、写真中央ひじ関節に大きな出っ張りがあり、手首から指先まで約30cmあるのが
前脚の骨格の構造です。人と同じ哺乳類で同じ構造ですが、形と部分の長さがかなり違います。
そして、大きく違うのは、この前脚で走ることです。

      

栃高博物館 24 クジラヒゲ

                           栃高博物館 24 クジラヒゲ

               分類 クジラ類ヒゲクジラ亜目
       学名 Misticeti
       英名 baleen whale
       大きさ 標本は70cm
       分布 世界中の海
 
 世界最大のヒゲクジラはシロナガスクジラの30mです。クジラにはヒゲクジラとハ(歯)クジラ
がいます。ヒゲクジラの仲間は、この写真のようなクジラヒゲを、普通は歯のある所に、200~
400枚ぐらい並べて、オキアミなどの小さな生物を海水から濾し取って、餌だけ飲み込みます。
クジラヒゲは、上あごにしか生えていません。ハクジラ(歯鯨)の歯は、私たちと同じように、
両あごに生えています。ピノキオはヒゲクジラに飲まれたのでしょうか。私たちや歯鯨その他
多くの歯をもつ生き物は、よく噛んでから飲み込むので。
        
     

栃高博物館 23 ヨウジウオ

          栃高博物館 23 ヨウジウオ(楊枝魚)

     分類 トゲウオ目ヨウジウオ科ヨウジウオ属
     学名 Syngnathus schlegeli
     英名 Seaweed pipefish
     大きさ 最大30cm(標本は大きいほうが18cm)
     分布 日本各地のアマモ場
   
    2匹います。写真中央の標本は目がはっきり見え、目の上方に長い口があり
   ます。口はストロー状でおちょぼ口です。小さな動物性のプランクトンを吸い込
   むように食べます。タツノオトシゴに近い形状です。楊枝のように細いので、
   その名がつきました。わかりやすいですね。タツノオトシゴはヨウジウオ科
   タツノオトシゴ属で同じ仲間です。ヨウジウオを太らせて、頭を曲げ、尻尾を巻
   けば、ハイ、タツノオトシゴの出来上がり。

   

栃高博物館 22 サナダムシ(裂頭条虫)

        栃高博物館  22 サナダムシ(裂頭条虫)

    分類 扁形動物門条虫綱
    学名 Eucestoda
    英名 Tapeworm
    大きさ 10m以上になる。
         標本は20cm×10(折りたたみ)=200cm。 2mです。
    分布 脊椎動物の消化管

     「サナダ」は真田紐からきています。真田紐は帯留めなどに使う平たい紐です。
   この標本には「人体腸管寄生 裂頭条虫」と書いてあります。見ずらいですが、
   中央に細い部分が見え、横糸で折り返して、下に向かっています。その先がサナ
   ダムシの最も重要な頭部ですが途中で切れてしまったようです。サナダムシは
   この頭部の形で分類されています。頭部に吸盤や鉤があり、それで腸壁に付着し、
   寄生生活をします。