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創立150周年記念 第27回アーデル基金講演会
令和7年10月17日(金)本校体育館にて創立150周年記念 第27回アーデル基金講演会が行われました。
(アーデルとはドイツ語の「Adel」で気高さ、貴族などの意味があります。)
アーデル基金は宇女高スローガンである「白百合よ貴きを目指せ」から、貴きに憧れる精神を養う目的で設立され、毎年各界から著名な先生をお招きしてご講演いただいております。
今回は国立情報学研究所 社会共有知研究センターのセンター長・教授で一般社団法人教育のための科学研究所の代表理事・所長であられます新井紀子先生に「シン読解力で育む確かな学力」と題してご講演いただきました。
新井先生は2011年から10年間「ロボットは東大に入れるか」というAI研究プロジェクトのリーダーをされており、2017年にはTED(Technology Entertainment Design)でも講演され、23か国語に翻訳、160万人以上に視聴されています。
AIを研究していると「ロボットは人の痛みが分かるようになるの?哲学や恋愛はできるの?」という類の質問を受けることがある。
しかしAIというものは、基本的には3種の計算式から出される答えであり、学習した事は引き出すことができるが、やったことがないことに対する答えを自ら創造したり工夫して導き出すことは出来ない。
また人間と大きく違う点として、「失敗を修正できない」ということもある。AIは人間のように「なぜ、どの点を失敗したか」を理解して反省する能力を持たず、大量のデータからもっともらしく答えらしいものをでっち上げ、こちらが間違いを指摘すると「すみませんでした」とすぐ謝るが更に嘘を重ねて答えてくる。
このようなAIに対して、私たち(AIを使いこなす側)には「読解力」と「嘘を見抜く力(判断力)」が必要とされる。
ここで言う「読解力」とはいわゆる本を読み味わう情緒的なものではなく、「説明文を読み、意味を正しく読み解く能力」である。学生で言えば、「教科書を読んで全て自分で理解できる力」である。
先生の調査によると、この「読解力」は中学3年生までに各個人の中で「このような内容はこう理解することにする」と獲得し決定付けられ、高校生以降はその方法で学習を進めることになる。が、この「読解力」は能力ではなくスキルなので、たとえ大人であっても鍛えることで「正しく読み解く力」は身に付けられる。
質疑応答の時間に、宇女高生からは「どうしたら今からその読解力が身に付くのか」と手が挙がりました。
先生には単元ごとに具体的な例が挙げられ、宇女高生たちは身を乗り出して自分のものにしようと真剣な表情でした。
国際的に最前線で活躍されている先生の「貴き」に触れた生徒たち。
「読解力」と判断力を身に付け、広い世界に羽ばたいていってほしいです。
新井先生、この度は貴重なご講演 ありがとうございました。
先生の主著
「数学は言葉」(東京図書)
「AI vs 教科書が読めない子どもたち」、「AIに負けない子どもを育てる」、「シン読解力」(東洋経済新報社)