調査研究通信

令和5(2023)年度 教科指導充実に関する調査研究(高)『授業実践』 理科(物理)・工業

 研究協力委員の先生方の勤務校にて、「教科における探究的な学習」の授業実践を取材させていただきました。今回は、理科(物理)、工業の実践報告です。

 

「理科(物理)」

物理の 単振動について学ぶ単元の学習過程において、振り子の周期に関する実験を行いました。まず生徒たちは、振り子の周期がどのような要因によって変わるのかを考え、それを確かめるための実験方法を考えました。そして、実験後、得られた結果から何が言えるのかを、エクセルで作成したグラフを分析して考察しました。考察の場面では、生徒たちは活発に議論し、学びを深めることができました。

授業実践(物理)

 

 「工業」

工業情報処理の「アルゴリズムとプログラミング」について学ぶ単元の学習過程において、「歩行者用信号機をプログラミングする」という課題に取り組みました。まずは個人でタブレットを使って「プログラミング → シミュレーション」を行い、その後グループで意見を交換しながら、「考察→プログラミングの修正→シミュレーション」の流れを繰り返し、課題解決を目指していました。

授業実践(工業)

 

 どちらの実践も、ICTを活用しながら課題の解決のために活発に議論をして思考を深め、協働しながら学びを進めていく姿が印象的でした。生徒の皆さんと研究協力員の先生方の真剣な表情と時折見られる笑顔から、充実した授業実践となっていました。

令和5(2023)年度 教科指導充実に関する調査研究(小・中) 授業実践

 これまで検討してきた学習指導案に基づき、研究協力員の先生方の授業実践が始まっています。

 今回は中学校の技術・家庭科(技術分野)の取組をご紹介します。

 本時は「材料と加工の技術」を題材として取り上げ、制作した木工作品を互いに鑑賞して評価することを通して「ものづくり」に対する考えを深める授業です。

 自分の作品のよさや施した工夫をスライドにまとめタブレットに表示したものが、電子広告として作品の横に置かれていました。電子広告により、それぞれの作品に込められた機能や工夫がより伝わりやすくなっていました。

 

 作品の鑑賞後、生徒はアプリのアンケート機能を利用して、互いの作品を評価しました。その後は、製品の価値を高める工夫について、機能性や安全性、外観や表面処理、形状などの視点から意見を交流し、それぞれの考えを深めることができました。

 他の教科でも、ICTを効果的に活用した授業が実践されています。次回の通信でも紹介しますので、お楽しみに!

 

 

令和5(2023)年度 教科指導充実に関する調査研究(高)『ルーブリック講座』

8月30日(水)に総合教育センターにて、標記の調査研究を進める上での学習会として、研究委員と研究協力委員の先生方を対象に、ルーブリック講座をオンラインで開催しました。

今回も、早稲田大学教職大学院の田中博之教授を講師にお迎えし、ルーブリックについてご講話をいただきました。「適切な評価とは何か」という理論や、ルーブリック評価活用の実践例、作成のポイントなどの具体的なお話を伺いました。「探究的」に学ぶには、生徒も教員も「見通し」を持つことが大切であり、そのためにも、目指すゴールを具体的に示す「ルーブリック」は有効であることを再認識することができました。 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

講座の後半は、研究協力委員の先生方が作成した「探究授業ワークシート」や「ルーブリック」を見ながら、具体的な改善策や、ルーブリックづくりのアイディアなどを田中教授からご助言いただき、学びの多い研修となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後は、各教科で「探究的な学び」を取り入れた授業を実践していきます。「ルーブリック」を活用して、生徒が自己調整しながら学びを深める様子が見られるのではないでしょうか。

令和5年度(2023)年度 教科指導充実に関する調査研究(小・中)

 今年度の「小・中学校における教科指導充実に関する調査研究」のテーマは「資質・能力の育成を図る授業改善の推進~ICTの活用を通して~」です。昨年度からの継続研究となり、音楽科、図画工作科、美術科、体育科、保健体育科、家庭科、技術・家庭科の各教科で調査研究を行い、授業実践例をまとめた資料を作成します。

6月20日(火)には、学習会及び第1回調査研究委員会を実施しました。学習会では、玉川大学大学院教育学研究科教授の久保田善彦先生をお迎えし、「各教科の資質・能力の育成に資するICTの活用について」のご講話をいただきました。授業改善に必要なマインド、授業デザイン力、ICT活用のイメージ等について詳しくお話を伺うことができました。 「ICTの活用は、ねらいが明確であれば単純な機能でも効果的である」「あくまでもICTの活用は手段であって目的ではない」という言葉など、ICT活用に関する留意点を再認識できました。講話をふまえ、午後の調査研究委員会では研究協力委員の先生方とセンター指導主事が、今後の授業実践の方向性や単元計画等作成上の留意点などについて話合いをしました。

学習会の様子

 

 7月21日(金)には、第2回調査研究委員会を実施しました。1日かけて、研究協力委員の先生方とセンター指導主事が協働し、ICTを活用した授業について構想したり、指導案の検討を行ったりしました。各教科において柔軟な授業アイディアが生まれるなど充実した協議が続きました。夏休み明けにはいよいよ各学校で、指導案に基づいた授業実践が始まる予定です。引き続き研究協力委員の先生方と、子どもたちの対話を深め、協働的な学びを促進する授業づくりについて調査研究を進めていきます。

第2回調査研究委員会の様子指導案検討の様子

令和5(2023)年度 教科指導充実に関する調査研究 第2回調査研究委員会

 6月27日(火)に第2回調査研究委員会を行いました。

 始めに、調査研究担当から「教科における探究的な学習」の方法、学習指導要領や単元計画、評価等についての説明をしました。その後、各教科の研究協力委員の先生方とセンターの指導主事がチームとなって、どの単元でどのような「探究的」な学習ができるかについて協議し、授業デザインをワークシートに書き込んでいきました。

 授業実践は2学期を予定していますが、それまでに探究的に学ぶ生徒の姿をイメージしながら、各教科の研究協力委員の先生方と指導主事が二人三脚で授業づくりを進めていきます。