学校生活[全日制]

学校行事や授業風景、四季の移ろいなどを紹介します

国際理解だより 23

 いずれにしても、多くの先進国が人道という建前を重視する姿勢を鮮明にしている今日、人道を無視することは日本にとって現実的なことではありません。軍事的に優位に立つアメリカや、経済発展がめざましい中国は、国益を前面に出すことによって、国際社会から非難されても動じることがないでしょう。それは、資源が乏しく、武力を行使できない、そして人口も減少傾向にある日本には取り得ない選択であります。
 であるならば、日本は国益のためにも、人道や貧困削減という建前を重視する姿勢を明確にしなければならないと考えます。それは、実利主義としても日本が堅持すべき姿勢であることは言うまでもありません。

2学期おわり

国際理解だより 22

 日本にとって不幸であったのは、財政再建の必要性から、ODA総額の削減を迫られたことでした。他の援助国が国際機関とともに、貧困削減や人道といった建前重視の方向にかじを取ったまさにその時期のことです。
 日本は財政再建により、やむを得ず「ODAの効率化」を考え始めたのです。国際社会が貧困削減という建前を重視し始めていることを意識せずに、国益という本音をODAの目的として強く意識する見方が支配的になっていったのです。そのような時に国際社会の変化に無頓着な日本の政治家が、アフリカ首脳に日本への謝意の表明をあからさまに求める場面もあったらしいのです。

つづく

国際理解だより 21

 ふたたび、何のためのODAなのでしょうか。
 くりかえしますが、開発途上国への政府開発援助はには、いろいろな考えがあります。世界市民の一員として人道的援助と捉える人がいます。ODAを日本人がより豊かな生活をするための外交の手段と考えている人もいます。前者はODAに人道的意義づけを与え、後者は国益に及ぼす影響を重視しています。
 どの援助国も、人道という建前と、国益という本音を持っています。しかし今では、建前を追求することにより国際的な尊敬を集め、そのことが間接的に国益につながるようになってきたようです。つまり、どの援助国も人道という建前を抜きに、国益を追求することは、以前より難しくなってきたのです。

つづく