栃高博物館

歴史ある栃木高校に眠るお宝の標本たちを紹介します

栃高博物館 21 オオサンショウウオ

                           栃高博物館         21 オオサンショウウオ(大山椒魚、ハンザキ)

         分類 両生綱有尾目オオサンショウウオ科オオサンショウウオ属
    学名 Andrias japonicus
    英名 Japanese giant salamander
    大きさ 50~70cm(標本は30cm)
    分布 日本の固有種(愛知、岐阜以西)栃木県にはいない

     姿は手足の生えた魚。山椒のにおいがするのでこの名前がついたらしい。
    体を半分にしても生きているので「ハンザキ」-というのは本当なのかな。日本
    の固有種で天然記念物です。しかし、京都の加茂川に人為的にチュウゴクサン
    ショウウオが持ち込まれ、野生化し、日本のオオサンショウウオと交雑して問題
    になっています。

     
  

栃高博物館 20 ニホンザル

                      栃高博物館 20 ニホンザル

     分類 霊長目オナガザル科マカク属
     学名 Macaca fuscata fuscata
     英名 Japanese macaque(monkey)
     大きさ 体長47~60cm
     分布 日本

       日本の固有種で、積雪地帯の棲息は世界でも珍しい。温泉に入るのも日本ならではです。
     この標本の大きさは約50cm。「高校生物Ⅱ」の分野では、ニホンザルの社会構造が載ってい
     ます。メスの集団を母体として、それに順位性を持つオスが加わります。オスの1番がボスです。
      宮崎県南部に「幸島」という小さな島があります。ここでは、ある1匹の若いメスザルが始めた
     サツマイモを洗う行動が集団全体に伝わり、それを文化的な行動と解釈したことで世界的に
     有名です。

    

栃高博物館 19 アザラシ

                栃高博物館 19 アザラシ

             分類 哺乳綱 鰭脚下目 アザラシ科
      学名 Phocidae
      英名 earless seal
      大きさ ワモンアザラシは体重50kg、ミナミゾウアザラシは3700kg 
      分布 世界中の海

                大型標本ケースの上に置いてあります。さらに上は天井です。この標本の大きさは約1m
      あります。seal はアザラシ、アシカ、オットセイの総称です。 オットセイはアシカの仲間なので
      アザラシとアシカの2種と考えていいです。(トドはアシカ、ラッコはカワウソの仲間)
       sealを区別するearlessは耳がないという意味ですが、アザラシの耳は穴があいているだけ
      なのでそう呼ばれています。アシカには耳たぶがあります。また、アザラシは前脚の力が弱い
      ので、陸ではひょこひょこ前に進みますが(愛らしいアゴヒゲアザラシのタマちゃん) 
      アシカは前脚が発達しているので陸でもスムーズに動き、反り返り、ボールを鼻先で操るなど
      水族館の人気者です。
         

栃高博物館 18 トナカイの角

                   栃高博物館 18 トナカイの角

   分類 哺乳綱偶蹄目シカ科トナカイ属
   学名 Rangifer tarandus
   英名 ヨーロッパはReindeer、北米ではCaribou(和名のトナカイはアイヌ語語源)
   大きさ 体長120~220cm、肩高90~150cm、体重60~300kg
   分布 北極圏(南半球にはいません)

     写真中央は1mの物差しです。2本セットで栃高で一番大きく、重い標本です。右の角は大きさ
    と形からオスだとわかります。左は一回り小さいのでメスだと思いますが断定はできません。ただ
    栃高に標本として置いてあるので、雌雄セットの可能性は高いです。 廊下に並べて撮影しまし
    たが、ほんとうに大きくて重いです。こんな角が頭に2つ付いていたら、さぞかし、頭が重いだろう
    なと、トナカイになったつもりで思ってみました。クリスマスも近いので、トナカイを紹介しました。
   
   
   

栃高博物館 17 アオウミガメ 

                 栃高博物館  17 アオウミガメ 
   
     分類 爬虫綱カメ目ウミガメ科
     学名 Chelonia mydas
     英名 Green turtle
     大きさ 甲長 80~100cm(この標本は90cm)
     分布 熱帯から亜熱帯の水深の浅い沿岸域
  
   栃高で2番目に大きくて重い標本です。(1番は準備中)上が頭です。似たカメにアカウミガメが
  いますが、甲羅での違いは肋甲板の枚数です。写真では中央縦に頭から5枚確認できると思い
  ますが、そこから左右に4枚ずつ出ているのが肋甲板です。4枚はアオウミガメ。5枚がアカウミ
  ガメです。甲羅の裏には背骨と結合していた跡が見られます。そして、そこには墨で「八丈島捕獲
  昭和5年5月」と書いてありました。

                
   

栃高博物館 16 ギボシムシ

                              栃高博物館 16 ギボシムシ

             分類 半索動物門
      学名 Hemichordata 
      英名 acorn worm
      大きさ 数cmから2m
       分布  浅海の砂泥中
    
       この標本の径は15mm。長さは10cm近くあったと思われますが、体の後半部分が壊
     れてしまっているので推定です。頭部の下に鰓裂という深い溝があります(写真左上部)
      擬宝珠(ギボシ)は、橋の欄干の飾り、acornはどんぐり、ともにこの生物の頭部に形が
     似ているので名づけられました。幼生のころはウニなどの棘皮動物に似ていて、変態して
     大人になると、原索動物に近い体をしているとても不思議な生き物です。ちなみに原索動
     物は脊椎動物につながっています。つまり私たちにも、つながっているということです。
      泥の中にすみ泥を喰らい、泥を排出しています。海の砂泥をきれいにしてくれる大切な
           生き物です。     

        

栃高博物館 15 ヒカリボヤ

               栃高博物館  15 ヒカリボヤ(光海鞘)

     分類 脊索動物門タリア綱ヒカリボヤ目
     学名 Pyrosoma atlanticum
     英名 pyrosoma
     大きさ 10~20cm(60cmになることも)
     分布  緯度50度以内の温暖な海

     標本は約10cm。繊細で筒状の、この不思議な生き物は、最初は何かわかりませんでした。
   標本瓶の中にタグ(写真左上の白いUの字に曲がったもの)が入っており、そこに「ピロソマ」と
   書いてありました。海ではたくさんいるそうですが、標本で初めて見ました。とても美しい保存状
   態です。私の中では、栃高の標本の中でも指折りの逸品だと思っています。ヒカリボヤは郡体
   ボヤの仲間で、体長3~8mmの個虫が無性生殖で増殖し、筒状の形を形成します。生きてい
   るときは、その名のとおり発光します。
    学名の atlanticum は Atlantic Ocean の意味で、初めて発見されたのが大西洋だった
   からだそうです。雄大な名前ですね。 

      

栃高博物館 14 ヤツメウナギ

          栃高博物館 14 ヤツメウナギ(カワヤツメ)
    
       分類 脊椎動物 無顎上綱 円口綱
       学名 Lethenteron japonicum
       英名 lamprey
       大きさ 40cm
       分布 世界中の寒冷水域
 
   ウナギという名がつくけれどウナギではありません。実は魚でもありません。魚より原始的で
  あご(顎)がなく、口が円い(円口類)不思議な動物です。口は筋肉質で吸盤になっており、中
  に鱗の変形した牙が生えています。大形の淡水魚の体に吸いつき、牙で傷をつけ、体液を吸
  います。(写真上側) ヤツメは「八つ目」の意味で、目の横にえら穴が7個あります。目が8個
  に見えるのでこの名がつきました。写真下がその写真です。左の大きい白いものが目で、横に
  ある小さな穴(①のように見えます。穴は閉じています)がえら穴です。右端の7つ目のえら穴
  は見ずらいです。
     
      

栃高博物館 13 ワラスボ

               栃高博物館 13 ワラスボ(藁素坊)

   分類 スズキ目ハゼ科
   学名 Odontamblyopus lacepedii
   大きさ  大きいもので40cm(この標本は14cm) 
   分布 中国 台湾 朝鮮半島 日本では九州の有明海のみです
  
  この標本は色素が抜けて、いたみも激しいのですが、頭部はよく保存されています。まず気がつくのは
目がないこと。そして大きな口。鋭い歯も見えます。前びれが2つ観察できます。いたんでガサガサの糸状に
なったのではなく、もともとこういう形です。有明海の干潟の泥の中に生息し、泥の中の小動物を捕食してい
ます。泥の中で生活するうちに目が退化したものと思われます。不気味な風貌です。分布範囲より九州が
大陸と陸続きであったことを証明する生物と言われています。(ウイキペデイアより) 

栃高博物館 12 ウミタナゴ

           栃高博物館  12 ウミタナゴ
 
  分類 スズキ目ウミタナゴ科
  学名 Ditrema temmincki
  大きさ 20cm
  分布 北海道中部以南

    よく知られた釣り魚です。この標本は16cm。珍しいのは胎生と言って子どもを直接産むことです。
  標本では見やすいようにカットしてあります。穴の横径は3cm。稚魚は上から、尾が1つ、頭2つ
  見えて3匹確認できます。