日誌

校長室より(New!)

異年齢集団の交流の中で ~体育祭雑感~

  
晴天のもと、5月26日土曜日に体育祭が開催されました。
 その開会の挨拶でも申しましたが、中高の6学年が「正」「剛」「寛」の縦割りのチームを編成して競う本校の体育祭は、「縦割り」であるところに大きな意味があるのだと考えます。5年もの年齢差がある生徒が同じチームの一員として協力し合いながら戦い、あるいは大会を運営するわけですが、この異年齢集団での活動が生徒たち一人一人を大きく成長させるのだと思います。
 例えば、知恵を寄せ合って考えたパフォーマンスを物怖じせずに演じたり、主体的に考えて大会を運営したりする先輩の姿を、小学校を卒業してわずか2ヶ月の中学校1年生が目の当たりにし、憧れを抱きます。一方、年長の生徒は、競技においても運営においてもリーダーとして年少者を気遣わねばなりませんが、その「大人としての振るまい」が生徒の内実をその行為に相応しいものに変えていきます。
 このような異年齢集団は、かつて、たくさんの兄弟姉妹がいた時代の家庭、あるいはその頃の濃密な親戚関係や地域のコミュニティーには、至極当たり前に存在していました。子どもたちは、その環境において、自分の役割を自覚し、あるいは人との関係の在り方を学んで大人になっていきました。しかし現在、そうした環境は自然なものとしては失われており、子どもたちは生のロールモデルを目にしないままに成長し、ネットワーク上の希薄で危い人間関係に居場所を求めたりなどしています。
 中高一貫の公立共学校という、本県での誕生から十余年しか経過していないこの極めて新しい教育形態が、実は、古き良き時代の子ども集団が持っていた教育的機能を最もよく保持していると考えると、感慨深いものがあります。