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2021年1月の記事一覧
令和3年 3学期始業式
3学期始業式
令和3年1月8日(金)に3学期始業式が行われました。感染拡大防止のため各教室にて放送で行われました。
校長先生の講話から一部を抜粋しました。
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新型コロナウイルス感染症の終息の目処が立たず、先行きがなんとも不透明な現在(いま)、皆さんの心の中にも、言いしれぬ不安や緊張感で、何かもやもやとした感情が巣喰っているのではないでしょうか?1年の最初に、皆さんにぜひ心に留め置いてもらいたいなと考えているお話をしたいと思います。
皆さんは漫画家で文筆家の、ヤマザキマリさんを知っているでしょうか?漫画の代表作に、『テルマエ・ロマエ』があり、これは映画化もされていますので。漫画を読んだとか、映画をみたという人が少なからずいるのではないかと思います。その作者であるヤマザキさんですが中央公論新社から出ている『たちどまって考える』というタイトルの新書本があります。その本の中に、「パンデミックを生き抜くヒントは『昭和』にあり」といった文言を見つけました。
ヤマザキさんのお母さんが昭和一桁生まれで、第二次世界大戦という壮絶な経験を経て「戦争」という非常に不条理な事態を通して、「世の中は思い通りにならない」「何があってもそう簡単には落ち込まない」という考え方が身についたと綴られています。現在(いま)の私たちは、他人や世間との関わりについて、確かに、無難な既成概念にすがり、周りと比較をし、自分の思い通りになっていないことに腹を立てたり、落ち込んでしまっているところがあります。しかし、こうした態度が最終的に時間の無駄であり、なんの解決策にも結びつかないという姿勢を確立していたお母さんの生き方を見てきたヤマザキさんは「この世界で生きていく限り、どんな思いがけない展開もあり」という心構えを前提に生きていくべきだとの考えに至ったそうです。パンデミックやストレスのなか、昨今の人々は小さなことに深く悩んだり、人を傷つけやすくなっている傾向が強くなっています。切羽詰まりそうになったとき、社会も人間もそう思い通りにならないのが人生だ、と思い出してみるだけでもいくらか前向きになれるはずだと書いています。
どうですか。もやもやした感情が少しは軽くなったでしょうか。楽になったでしょうか。私がこの本から学んだことは、むしろ、「パンデミックを生き抜くヒントが、過去の歴史の中にある」というところです。端的に言うと「歴史から学べ。これまでに累積された膨大な時間の中に、困難な現在(いま)の状況を生き延びるためのヒントがたくさん隠されている」ということです。人類はこれまで、ペスト、麻疹、天然痘、コレラ、結核、インフルエンザなどパンデミックと称される、たくさんの感染症を経験し、それらと闘い、乗り越えてきた歴史を持っています。歴史を学ぶことは、これまで人類が築き上げてきた「叡智」(実際には「叡智の裏に、その質・量に匹敵するほどの「失敗」や「挫折」もありますが、人類はそれを教訓として生き延びてきました)を、自分の生き方に反映していくということです。ヤマザキさんが書いているように、昭和一桁世代のお母さんの生き方に学ぶことも、歴史を学ぶことの、一つの形かと思います。
ヤマザキさんのお母さんの生き方・考え方は、現在(いま)を生きる私たちにとって、立派な「叡智」になっているのではないかと思います。
----------------------------------------------------この話を聞いて改めて歴史を学ぶことの大切さを実感しました。