農業土木科日誌

2019年5月の記事一覧

道普請ウォークin太平山

 5月4日に行われた農業土木科・環境デザイン科主催の市民参加型イベント「道普請ウォークin太平山」。栃木市役所地域づくり推進課・県南環境森林事務所・下野新聞社などのご協力の下、33名の参加者をお迎えして無事に開催することができました。保護者や学校関係者(OB・OG)をはじめ、家族連れや小中学生・NPOの方など、年齢も立場も様々で、講師役の生徒たちは当初かなり緊張していました。
 天候にも恵まれ気持ちの良い春風の中、準備体操後にウォーキングスタート!学校を出てすぐに環境省「関東ふれあいの道」に入ります。いくつかのポイントで、地域の自然環境や防災・減災に関するパネル解説を行いました。同時に、先輩方がここの林道整備を始めることになったきっかけなどを紹介していきます。
 1つ目のワークショップは「新型土のうによる林道整備」。誰でもどこでもできる土木技術・新型土のう「D-BOX®」で湧水による軟弱地盤でも、歩きやすい林道に変えられることを知っていただきました。土のうに使われている材料(土砂)は、災害で発生した土砂廃棄物だけ。セメント系の固化材など使用することなく、堅固で環境影響の少ない道が参加者の手によって作られました。 

 続いてのワークショップは、種団子による緑化方法の紹介です。自生しているシャガという植物の株分け(植物片)を、ケト土や荒木田土の団子に入れて撒いていきます。林道内の地すべり跡地がセイタカアワダチソウ(外来種)に覆われてしまったのをきっかけに、災害後の植生回復に役立てないか研究しており、生態系保全のあり方について市民の皆さんにも考えていただきました。
 
 山頂で休憩した後、下りながら最後のワークショップ「木の人形(木人:きびと)作り」を行いました。すでに何体かの人形を設置をしていたためイメージしやすかったのか、参加者の皆さんもすぐに工具を手に取って、間伐材と格闘。鼻をつけたり、親子にしてみたり…自分なりの思いを木人に託していきます。整備された林道に新たな命が吹き込まれていくようで、私たち主催者の思いが、皆さんに伝わったと感じることができました。
 身近な自然環境やインフラこそ、行政に任せるだけではなく、地域住民や学生など市民の手によって修繕したり、新たな物語性を付加させることで、持続可能なものにできるのではないか。多くの人の居場所やコミュニティの場になるのではないか。今後もこのような協働活動を企画・実施しながら、小さな風を少しずつ大きくしていきたいと思っています。