農業土木科日誌

農業土木科日誌

栃木市役所庭園another story

 農業土木科では、一昨年から廃棄物を素材にものづくりを行う研究を行っています。木質系廃棄物を舗装材に、土砂廃棄物をため池の構造体にするなど、循環型社会に即した土木施工のあり方を学習しています。
 今回の屋上庭園でも実は細部に廃棄物を使用しています。特に目に見える部分で使用しているのは瓦です。栃木市は蔵や瓦葺きの伝統的建造物が多いためか瓦屋さんが多く、以前より廃瓦をいただき、埋め込んだり砕いたりするなど使途を変えて、造園・土木に利用してきました。今回は新井町にある有限会社森久瓦店様よりご提供してもらい、様々な瓦が小江戸の雰囲気を引き立たせてくれています。どこにどんな瓦が使われているのか、ぜひ探して見てください。森久瓦店様ご協力ありがとうございました!

栃木市役所屋上庭園が完成しました!

 栃木市役所屋上庭園は3月16日に完成し、NHK・とちぎテレビ・朝日新聞・東京新聞・下野新聞などでも紹介していただきました。
 17日に片付けなどの作業を行っていたところ、「テレビで見たよ」と市民の方々が早速見にいらしてくださいました。モチーフになっている市内各地の場所について説明すると、「あ~確かにそうだわ」「地図の通りになってる」と喜んでいただきました。ちなみにこちらが制作前のイメージ図です。

 作庭に取りかかると様々な課題が見つかり、若干の変更は余儀なくされましたが、それもまたものづくりの醍醐味です。生徒たちは時間や天気と闘いながらも「あーでもない」「こーでもない」と現場にて議論を交わしていました。もともとはガラス張りの4面を、竹垣によって栃木市を代表する4つの顔にゾーニングしてみたのですが、どうせならば岩舟や都賀、太平という合併前の町の雰囲気も入れてみたいねという話になり、さりげなく加えてみました。

 玉砂利や砕石で河川などを、瓦や割石は建物を表現しています。

 渡良瀬遊水地には市の鳥である「カモ」が泳いでいます。こちらはコンクリートの授業で型枠から製作した手作りのオブジェです。

 タマリュウと砕石を市松模様にして、田んぼや麦畑を表しています。本当はブドウの木を植えたかったんです。大平ですからね。岩舟はここ最近野外イベントなどで若者からも注目のクリフステージ。石組みがピッタリでした。


 太平山は、鉢を並べて季節の彩りを表す着せ替えゾーンです。今回は「巴波桜」を並べています。「梅は咲いたか、桜はまだかいな…」ととち介も花見待ちしているようですね。太平山から繋がる都賀平野にかけては山野草が広がっています。まだ、隙間だらけですが、今後少しずつ緑で埋まっていく予定です。
 
 他にも、ここでは紹介しきれない細かい仕事がたくさんあります。竹もちょうど良い高さで、少し目線を下げて竹を背景に見てみると、小江戸の風情が一層引き出されます。ぜひ、市役所4Fで360℃歩き回って見てみてください。

第2回産業現場研修が実施されました

 先週3月14日、農業土木科の一学年で産業現場研修に行ってきました。今回訪ねたのは、五洋建設那須技術研究所と、もみじ谷大吊り橋・塩原ダムです。
 
 五洋建設は道路や施設といった陸上での建設だけでなく、防波堤や海底トンネルといった海上土木建設も行っている会社です。
生徒たちは、実際にいくつかの研究施設を見学させてもらいました。液状化やコンクリート精製についての実験、津波のシミュレーションなどを見ることができました。建設の現場を支える確かな技術に触れることができたのは、生徒にとって非常に得がたい経験となったと思います。

 研究所につづいて、塩原ダムの見学にも行きました。職員の方に、普段見ることのできない発電設備やダムの内部にも案内していただきました。迫力の景色や放水を目の当たりにし、急な階段を上り下りし・・・ダムという巨大な構造物を肌で感じることができたようです。巷ではダムの魅力に取り憑かれる人が増えていると聞いていましたが、そのわけがわかったような気がします・・・!お土産には「ダムカード」もばっちりいただいてきました。
  

 技術研究所、塩原ダムの皆様、研修にご協力いただきましてありがとうございました。

学校周辺の工事及び植栽等の見学


 農業土木科1年生は、今回、学校周辺の工事及び植栽等の見学を行いました。

○赤津川河川工事見学
 赤津川は、利根川水系永野川の支流の川で学校周辺の地域を流れている川の1つです。今回、坂本産業株式会社様に協力していただいて、赤津川で行われている河川工事を見学することとなりました。河川の河床がシルト層でできており、軟弱な地盤であると聞きました。シルト層の地盤では、大型の機械が埋まってしまい作業することができないため、1tの土のうを設置した仮設工の上で作業している様子を見学しました。また、法面(切取ったり、盛土によって作られた人工的な斜面のこと)整形や護岸工、根固め工などの様子などを説明を聞きながら実際に見ることができました。
 1年生が今学習している内容の中では、今回の河川工事の内容はありません。しかし、今回見学した内容は、2年生、3年生で取り扱う内容が含まれます。また、将来の進路を考える上で実際の現場を見ることは、1年生にとって大きな刺激になったと思います。
   

○新栃木駅前植栽見学
 新栃木駅前には、ロータリーの中心と歩道脇に巴波桜が植栽されています。新栃木駅前の大きな通りの歩道の部分は、昨年度の卒業生が校外実習で巴波桜を実際に植栽した場所です。今回は、実際に植栽した場所を間近で見学しました。
           

○栃木市役所施工実習見学及び栃木グランドホテル庭園見学
 次に、今回実施している栃木市役所の施工実習見学と栃木グランドホテルの庭園を見学しました。1年生は、2年生が実際に校外で実習している姿を見て、施工現場に興味深々でした。また、栃木グランドホテル庭園を見学した際には、実際にお風呂から見える風景を楽しんでいる様子でした。
   
今回の見学で、1年生は普段多くの人々が利用する場所の施工等に、農業土木科の先輩が関わっていることに驚いた様子でした。1年生は、今後知識や技術を深めるとともに先輩の姿を見て校内外に関わらず活躍してほしいと思います。

 今回の河川工事見学に協力していただいた坂本産業株式会社様、本当にありがとうございました。

栃木市役所屋上庭園施工実習

 栃木市役所の4Fに吹き抜けの屋上庭園がありますが、この度農業土木科で改修工事を行わせていただけることになりました。福田屋百貨店時代からある庭園とのことで、限られた条件の中でどのような空間にしていくか、市役所側と打ち合わせを重ね、ようやく施工へと入る事ができました。

 まずは既存の樹木や下草などの除伐・撤去から始まり、整地作業を行いました。その後、間仕切りとなる四つ目垣の施工、築山の施工、竹の植栽と進み、ようやく雰囲気が出てきた感じでしょうか・・・まだ2日目を終えたところです。360度全面から見られている中での作業は大変緊張感がありますが、学習の成果を色々な方に見ていただくチャンスだと、参加している生徒たちは気合十分です。



 施工実習は3月16日まで行う予定です(9:30~15:00)。施工の様子はどなた様でも見ることができますので、ぜひ市役所へお越しの際はお立ち寄りください。

三寒四温と巴波桜

 明日は降雪の予報が出ていますが、春めいたと思ったところで寒さがやってくるのがこの時期の特徴です。3月中旬といえば、農業土木科がとちぎ桜花組合と連携し研究している「巴波桜(うずまさくら)」の開花時期にあたります。温室での促成栽培では1月上旬に開花をしていましたが、自然条件下ではソメイヨシノよりも先行してこの時期。ちょうど小中学校などの卒業シーズンに咲く桜です。花の美しさだけではなく、木肌の美しさも大きな特徴であり、栃木市の新しいシンボルとしてますます広げていきたいと考えています。

栃木グランドホテルでの管理作業


 農業土木科2年生の5名は今回、栃木グランドホテルの管理作業を行いました。
一昨年に、農業土木科の生徒が考えたデザインを基に栃木グランドホテルの設計・施工を行いました。そこで今回は、現在の様子を調査するとともに植栽の状況を見ながら作業を行うことにしました。
 実際に様子を見てみると、笹や竹の植栽を行った場所が成長し、デザインした庭がその場所の雰囲気に調和がとれていました。
 今回の作業は、笹の手入れを行い、竹を植栽した場所周辺にココヤシチップを使ってマルチングしました。このマルチングすることによって、植栽した周辺の雑草防止につながります。今日の作業によって、この庭を一層楽しめるような場所にできたのではないかと思います。

 
(マルチングする前の様子)  (マルチングした後の様子)

 
        (管理作業を行っている様子)

学校林整備


 一年生は今回、太平山の中腹付近にある学校林の植生調査及び整備を行いました。
学校林での実習は時々実施しており、これまで主に管理作業を行ってきました。
1年生が学校林に行くことは、今回が初めてだったのでとても楽しみにしている様子でした。
植生調査では、コドラート法という方法を利用して学校林の植生の状況を調べました。
植生調査が終わったら、学校林の整備を行いました。学校林内は、伐採された木や落ちた枝葉が多い状況でした。そのため、木や枝葉を適当な長さに揃えて一定の場所に集材しました。機会があれば、再度実施できればと思います。

  

モルタルオブジェの制作(農業土木科)


  今回、農業土木科2年生の総合実習の授業で、モルタルオブジェの制作に取り組みました。
 モルタルとは、セメントと砂を水で練り混ぜたものをいいます。
 今回のモルタルオブジェの型枠には、加工しやすい発泡スチロール板を使用しました。
 せっかくオブジェを作るならばと、私たちの学校がある栃木市をイメージしたオブジェを制作しました。  
 栃木市といえば市の鳥である「カモ」、そして「ゆるキャラグランプリ2016」で4位になった「とち介」が有名です。
 そこで私たちは、カモやとち介の形を発泡スチロール板に描き、切り出しました。
       
     切り出した後、練り混ぜたモルタルを流し込みました。
         
    モルタルが硬化した後は型枠から外し、表面を洗い出して完成です。
     
  私たちは、制作したモルタルオブジェの活用方法を探るため、実際に庭に設置するとモルタルオブジェは
  どのように見えるのか知りたくなりました。
  そこで、私たちは試験的に本校の正面玄関から見える庭に「カモ」と「とち介」を設置しました。
   
  本校を訪れた際には、正面玄関の庭にいる「カモ」と「とち介」をぜひご覧ください。

課題研究発表会


農業土木科3年生の課題研究発表会を実施しました。
「課題研究」は、これまでの学習のまとめの研究として3年次に行います。
今回の発表では、「新型土のうを用いたため池の改修」や「間伐竹を用いた空間装飾」、
「苔文字看板の制作」、「つる性植物を用いた壁面緑化の研究」等の研究の成果を発表しました。
「課題研究」で得た知識や経験を、今後の進路に生かしてもらえればと思います。


  
  

農業土木科で学ぶ「総合実習・課題研究」

 農業高校の最大の特徴ともいえる〈総合実習〉と〈課題研究〉。総合実習は読んで字のごとく、各科目に関する体験的な学習を通して、総合的な知識と技術を習得する科目です。そして、課題研究が3年次にまとめの研究を行う科目です。個別や班別でテーマを決め、〈課題設定→計画・設計→調査・研究・実験・施工→まとめ・発表・自己評価〉の手順で継続的かつ生徒達が主体となって行われます。以下は過去に取り組んできた研究題目です。


◎平成24年度の課題研究
「アドベレンガの力学的特性・実用性に関する研究」「センチピードグラスを用いた法面保護工」「堆肥置き場の基礎部補修」「立入防止柵の設置」「廃瓦を使った文鎮制作」「校内階段の施工」
◎平成25年度の課題研究
「グラウンドカバー等の緑化材に関する研究」「コンクリート二次製品の製作」「間伐材を用いた木材加工」
◎平成26年度の課題研究

 「桜の増殖研究と灌水装置の開発」「ウッドチップ舗装の設計・施工」「間伐材を用いた木材加工」

◎平成27年度の課題研究

「巴波桜の生産と関連商品開発」「農業用ため池の改修工事」「間伐材を用いた木材加工」
◎平成28年度の課題研究
「新型土のうを用いた農業用ため池の改修」「間伐竹を用いた空間装飾」「苔文字看板の制作」




農業土木科で学ぶ「環境緑化材料」

 土木工事において各種植物を使用することがあります。例えばシバなどの地被植物(ちひしょくぶつ)が代表的です。法面(のりめん)といわれる土木で造られる人工的な斜面がありますが、そのままにしていては時間と共に崩れたり、風雨で土が飛ばされたりします。表面を植物で覆うことで安定し、景観も向上することから、大規模な法面には欠かせないのです。
 土木で使われる植物の種類や特徴を学び、実際に育ててみる科目が〈環境緑化材料〉です。栃木市で生まれた桜品種「巴波桜(うずまさくら)」の増殖も行っています。3年生の〈課題研究〉の中では、育てた緑化材料を使用して実際に施工まで行うこともできます。

農業土木科で学ぶ「林産物利用」

 農業土木科ではありますが、〈林業〉に関する科目があるのも特徴の一つです。昨年度入学者までは、2年次より土木コースと環境コースに分かれて、主に環境コースで林業の内容は学習されていました。本年度入学者からコース制は行いませんが、選択科目の中で履修することができます。
 授業では、学校の後ろに広がる大平山内には学校林が点在し、そこでの現場実習や引き上げてきた間伐材を用いてのチップづくりやものづくりなどの木材加工実習を行います。生物工学科でも学習しているきのこ栽培も少しだけ行うこともできます。
 これからの時代は〈持続可能性〉といわれる、生物的システムがその多様性と生産性を期限なく継続できる開発が求められます。身近な環境における廃棄物や未利用資源に目を向けて、土木や造園等へと活かしていく技術がますます必要となってくるはず。環境に優しい感性を磨くことができる科目でもあります。

農業土木科で学ぶ「農業土木施工」

 農業土木施工は〈水循環〉や〈農業土木設計〉で学んだことを具体的に実施するための科目です。理論学習として農業農村の多面的な機能や、構造物の施工技術・材料について学び、実習では様々な農業土木技術をできる範囲内で行います。
 3年生では選択科目でも実施していますが、〈2級土木施工管理技術者〉という国家資格に準拠した内容を学習します。1・2年次で学習したことを活かし、土質試験や土量計算など現場でも必要な知識や技術の習得を目指しています。

農業土木科で学ぶ「農業土木設計」

 通称:「設計」と生徒たちが呼ぶこの科目は、生徒たちにとっては最も難しい内容です。ある大学の先生がこの設計の教科書を見たところ「国立大学でも同じ内容を学んでいる。これ本当に高校生がやるの?」と驚いたほど。確かに計算問題などは水循環と同様に謎の記号だらけのような公式ばかりです。例えば以下のような問題が出てきます。

 そもそもbは何なのか。AsとA´sの違いは何か。という具合に、設計計算に使われる記号を数十種類理解しなければ、計算にすら入れません。繰り返し問題に挑戦し、電卓をはじきながら覚え込んでいくしか道はありませんが、数字や記号への苦手意識はかなりあるようです。ちなみに正答は以下のようになります。
 

 計算ばかりではなく、製図を学ぶのも特徴です。定規やコンパスなどの道具を使いこないして図面を完成させていく作業は時間もかかりますが、大体の生徒たちが繰り返していくうちに進歩し、きれいに描けるようになっていきます。描くことによって、図面を読んだり、構造物全体だけではなく部分を見る力が養われていきます。

農業土木科で学ぶ「水循環」

 水循環は2・3年次に土木や農業土木において重要な〈水〉と〈土〉について学ぶ科目です。「水がどこからきて、どこへ向かうのか」「農業に必要な水をどのように確保するのか」など、理論学習を中心に行います。
 流量や流速などの計測や土の組成やふるい分けといった簡単な実験実習も行います。その一方では、様々な法則や計算など数学や物理学の応用と入った内容もあります。以下は土圧(どあつ:地盤内における土による圧力)の計算式であり、難しいのですが現場ではよく使われる考え方です。

 測量で学習する関数電卓による計算などを活かしながら、少しずつ理解して粘り強く学習しています。

農業土木科で学ぶ「農業情報処理」

 農業情報処理は1年次にワープロ操作や情報モラル、表計算やパワーポイントなどを学びます。「農業と環境」のフィールドワークで調査した内容を図化する作業なども行います。
 2年次ではCAD(コンピューター支援設計)による製図を中心に行います。建築CAD検定にも対応しており、全員が4級以上の取得を目標に学習します。情報化時代の土木には欠かせない技術であり、図面を読み構造物をイメージするだけではなく、自ら測量した結果を図面に起こせる力を身につけます。CADは現場作業が苦手な女子でも活躍できる分野でもあり、また違った角度からものづくりができる楽しさがあります。

農業土木科で学ぶ「測量」

 測量は土木や建設などの工事計画や設計・施工において、あらゆる場面で必要な専門分野であり、近年ではGNSS(人工衛星)やドローンといった新しい技術開発が目覚ましい、ものづくりなどの工学には重要性の高い学問です。栃木農業高校農業土木科では、1年次に全員が「測量」を学び、2年次には国家資格である〈測量士・測量士補〉を目指す者が「選択・測量」を履修しています。
 「測量」では、距離測量に始まり、高さを測る水準(すいじゅん)測量。角度を測る角測量などを専門の器械を使って実習中心に学びます。三角関数や比などの応用計算も必要となるため、関数電卓の操作に関する〈計算技術検定〉にも取り組み、全員が3級以上取得を目標に数学の学び直しなども行います。

農業土木科で学ぶ「農業と環境」

 改めて農業土木科の学習内容や様々な活動について載せていきたいと思います。まずは農業高校生なら誰しもが学ぶ基礎科目「農業と環境」についてご紹介します。農業土木科ならではの様々な実習を行っています。
①栽培学習
 農作物を育てる場所は田畑であったり、果樹園であったり。そのほとんどの場所は土木の力で、量も質も高い状態で生産しやすいように維持管理されています。土の状態や水の流れ、日照条件や病害虫や雑草などなど…実際に生産活動をしてみないと見えない土木がたくさんあります。そのためトウモロコシやジャガイモ、ハクサイ、ダイコンなど、季節毎の野菜や栃木市で生まれた巴波桜など、実際に栽培学習を行います。もちろん加工実習までやりますよ。

②環境学習
 他の学科ではなかなかやらないような、生物調査や植生調査を行います。学校周辺の自然状態をGIS(地理空間情報)という技術を使ってマッピングしたり、ドングリ苗木を育てて植樹活動を行ったりもします。

③命を学ぶ学習
 土木は工事段階から、できあがりの状態(施設や構造物など)において、自身の命を守り且つ市民の命を預かる学問です。そのため毎年、生命の尊さや感謝の心を学ぶためにニワトリの解体実習を行っています。

他にも、地域の環境課題・社会問題(例として耕作放棄地や放置ため池)などについて学び、
2・3年次の課題解決学習に向けた取り組みも行っています。毎年3年生にアンケートを取ってみると、3年間で印象に残っている授業の上位にあげられる科目です。

高校で農業土木を学ぶ

 高等学校の農業土木科で学ぶ内容は、かつての農地開発や農村整備といった農業生産に関する土木だけではなく、私たちの暮らしを豊かにするような土木技術や、人間以外の生物・地域環境に配慮した環境工学まで幅広く学習します。

 そもそも「土木」という漢字の語源は、中国史にある〈築土構木〉という四字熟語であり、「人々の幸福に資する倫理的行為」を意味するそうです。さらに、土木は英語で「 civil engineering 」と訳され、別名「市民工学」ともいいます。なんだか難しく感じますが、一言でいえば「人や自然環境の役に立つ知識や技術」を習得することを目的としています。栃木農業高校農業土木科で学ぶ科目には以下のものがあります。

農業と環境…農作物の栽培や動物の飼育、環境と農業の関わりについて学ぶ
測量…測量器械を使っての実習や測量結果の計算処理について学ぶ
農業情報処理…情報モラルやPC操作、CADについて学ぶ
総合実習…機械・製図・測量など班別実習を行う
課題研究…各自各班で設定した課題解決学習を行う
水循環…水環境や農業における水や土の役割について学ぶ
農業土木施工…土木工事や各種施工について学ぶ

農業土木設計…土木工事のための力学や設計について学ぶ
選択:測量…高度な計算や応用測量、測量士補試験対策について学ぶ
選択:
林産物利用…木材加工や森林生態系について学ぶ

選択:環境緑化材料…樹木やグラウンドカバーなど緑化材の生産について学ぶ

 土木や農業土木は大学から学ぶという方が多いようですが、地域の課題に即した学習内容や実際の実習経験など、高校からならではの利点もあります。近年は、インターンシップでお世話になった建設会社や造園会社に即戦力として入社したり、大学や専門学校でさらに深化した内容の土木を学びたいという生徒も増えてきました。

「測量」実習風景



農業土木科1年生は、1年を通して「測量」を学習しています。
今回の授業では、デジタルセオドライトを使った「角測量」実習を行いました。
今までの授業で学んだ観測方法、据え付けの方法を駆使して、それぞれの場所に設置された三角形の角度を観測しました。そして、その観測した結果を野帳に記録した後、観測値を基に計算を行って平均角を導きました。
今回据え付け作業に時間がかなりかかってしまう生徒や、観測した角度が大きく間違えていたりと課題が多い実習になりました。3学期も継続して「測量」実習を行うので、据え付け作業や観測を正しく効率よくできるようになってほしいと思います。

 

「農業と環境」実習風景

 1年生では「農業と環境」という授業を受けます。この科目は、各科の専門分野にとらわれずに、幅広く農業について学習するものです。今回の授業では、学科の圃場で栽培した野菜を使って調理実習を行いました。今年度は、サツマイモや、ブロッコリー、大根、白菜、かぶ、レタスなど多くの種類の野菜を栽培し収穫しました。
 調理実習では栽培した野菜の中で、白菜と大根、サツマイモを使って「キムチ」と「大学芋」を作りました。
 キムチは、前日に白菜と大根の塩漬けを作っておき、当日に食べやすい大きさに切り分けました。そして、唐辛子や魚粉、ニラやニンニク、塩辛など様々な調味料を用意し、各生徒の好みでヤンニョムを作りました。このヤンニョムを、白菜漬けに和えてキムチの完成です。
 大学芋は、食べやすい大きさに切った後に油で揚げました。そして、大学芋のタレと絡めて出来上がりです。
 今回の実習で、農業の楽しさや収穫の喜びを学ぶことができたのではないかと思います。

 
 

栃農祭の準備をしています


農業土木科3年生は、栃農祭の正門周辺に行う装飾の準備をしています。
竹やコケを使って、栃農の正門周辺を模様替えしていきます。
正門前、正門の通路、ロータリー前の温室周辺を装飾していく予定です。
栃農祭当日にお越しの際は、ぜひご覧ください。
  

林業基礎トライアル研修を実施しました


農業土木科2年生環境コース10名と3年生2名が、10/28(金),10/31(月)に林業基礎トライアル研修に参加しました。

1日目は、刈払機取扱作業者に対する安全教育
2日目は、森林内での刈払機作業体験研修、林業作業現場視察  を実施しました。

 1日目は、刈払機取扱作業者に対する安全教育の学科が行われました。刈払機を使用する作業は、作業者の転倒や刈刃の跳ね返りなどよるケガや振動障害が起こる可能性があります。刈払機を正しく安全に使用できるように、取り扱いの知識を学びました。
 2日目は、午前中に森林内で刈払機の実技が行われ、午後に林業作業現場の視察を行いました。実技では、実際に森林内で刈払いを行い安全に刈払機が取り扱えるように講師の先生から教えていただきました。林業作業現場の視察では、高性能林業機械やチェーンソーによって木を伐採する様子を間近で見ることができました。


産業現場研修

 10月17日(月)に、農業土木科1年生が鹿沼市にある栃木県21世紀林業創造の森で産業現場研修(林業)を実施しました。
 午前は、担当者の方から栃木県の林業の現状について講義をしていただきました。栃木県は、関東甲信越の中で最も品質がよい木材を生産し、豊かな森林資源があると聞きました。
また、実際にチェーンソーを使って玉切り体験を行いました。初めて触れるチェーンソーに、生徒は興味津々でした。力を入れすぎてしまうと上手に切れないため、玉切り作業に四苦八苦している生徒もいました。
 午後には実際に林業の現場にへ行き、高性能林業機械を使った伐倒や機械操作の体験が行われました。目の前で行われるハーベスタによる伐倒、枝払い、玉切り、集積の一連の作業に、ダイナミックな動きに生徒は驚きを隠せませんでした。機械操作の体験では、実際に生徒がフォワーダ等に乗り丸太の集積作業を体験しました。
 当日、雨天での実施になりましたが、様々な林業体験をさせていただきました。実際の現場での体験は、1年生にとって貴重な体験です。今回の産業現場研修をきっかけに、栃木県の林業に少しでも興味をもってもらえたらと思います。

ジュニアキャリアアドバイザー実施(農業土木科)


9月24日(土)に農業土木科主催でジュニアキャリアアドバイザーが行われました。
今回のテーマは『自然素材でものづくり』でした。


                紙すきの様子です。


              紙えんぴつ作成の様子です。

次回のジュニアキャリアアドバイザーは10月実施予定です。

農業土木科 栃木グランドホテル浴室庭園施工実習


 昨年12月、栃木グランドホテル様から「浴室の改装工事を行うが、そこから見える庭園のアイデアを出してほしい」との依頼を受けました。そこで農業土木科において造園設計の基礎やデザイン技法について学び、業者さんが作ってくれた模型を参考にデザイン設計を行いました。その成果をもとにコンペを行い、3年生2名のアイデアを合わせたデザインに決定しました。


施工前


設計デザイン

 栃木市といえば、巴波川と蔵の佇まいが美しい小江戸の風情。それを竹林と瓦、白砕石で表現した庭です。隣接する蔵を借景とし、宇都宮市の若山農場で開発された伸びない孟宗竹「ヒメアケボノモウソウチク」をメインに、ガクアジサイやハウチワカエデなど季節を彩る樹もデザインしました。
 どうせならばできる範囲内で施工までしてみたいという意見が出され、グランドホテル様も快諾。3月から対象地の伐採や整地作業を行い、植栽工や石組工などの作業も行わせていただきました。


伐採・整地


竹の植栽

 竹の植栽当日は冷たい春の雨。それでも現場は休むことができないため、カッパを着て作業に取り組みました。5月2日に笹の植栽を終えて、無事完成することができました。


瓦の根止め


整地・防草シート敷き


ササの植栽


砕石搬入

 
背景の蔵とヒメアケボノモウソウチク


完成

 高校生でも地域のため役立つことができたと、関わった生徒達の表情は達成感にあふれていました。また、デザインから始めたものが形になっていく行程を経験でき、学校では学習できない深化した内容まで取り組めたことは大きな自信となりました。

石組とハウチワカエデ


ご指導・ご協力いただいた、栃木グランドホテル様、若山農場様、栃木瓦工業様、アンビエンタリスタ様ありがとうございました!